鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第八話

2019-10-17 22:25:21 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第八話(最終話)


地球連邦防御軍の追撃を振り切り、ストレイガー都督の操るカラクルム級は、小笠原海峡へダイブ、深く深くと潜る。

カラクルム級がダイブすると同時に砲撃を中止させた真田は、ソナーの代わりに空間レーダーで捉えられるだげ、捉えようと試みた。

「どうだ?カラクルム級を捉えられそうか?」

「……ハイ。何とか深度600メートルまでは、捉えましたが、どうやら更に沈降したもよう。」
「圧壊までは確認出来ませんでしたが、このまま沈降すれば、おそらく深度800~1.000メートル辺りで圧壊でしょう。」

「……うむ。」
「レーダー士。無理を言って済まなかったな。」
「警戒を厳とせよ。」
「急浮上しないとは言い切れんからな。」

「了解。」

真田は指示を飛ばすと、通信士に新見の研究、解析室へホットラインを繋ぐよう命じた。

「大佐。駄目です。」

「駄目?」

「ハイ。幾らコールしても繋がりません。」

「……分かった。切ってよし。」

膠着状態が続き、一時間が過ぎた__。

「浮上した様子も伺えない……。」
真田は顎の下に軽く握った拳をあてがった。
ただ単に、一時的に何かの拍子に回路的なものが繋がり、暴走したのか?
研究、解析中、誤って暴走させてしまったのか?
どちらにしても、暴走した事には代わりはない。

深海をゆくカラクルム級。
一時間で約半分の4.500メートルをダイブした。
残り一時間強で目標の海底だ。
あの世とこの世の境目、高次元と呼ばれる特異点空間。
目標の核(コア)が、その入りであり、出口だ。
今回のミッションで消え去ってしまうかも知れない。
このまま、存在し続けて欲しい気持ちと、消滅して欲しい気持ちが、交互にガーランド大尉の頭の中を駆け巡る。

「ストレイガーだ!聴こえるかガーランド大尉!」
「今、着底した!」
若干のノイズは入るものの、概ね感度は良好だ。

「聴こえる!聴こえるぞ!ストレイガー都督!」

「宇宙より真っ暗な場所に感じるぞ!」
「ただ一部を除いてな。」
「こんなちっぽけな場所だったのか?高次元とやらは。」
「だが、サーベラー様の彷徨う感応波は、かなり増大しているようだ!」
「我れの感応波に共鳴しているのだろう!」

顎の下に軽く握った拳をあてがっいた真田は、月軌道上に人工的に運び込まれ、改造された小惑星基地イカルスに、緊急回線を繋ぐよう、通信士に指示を飛ばした。

「大佐。イカルスの桐生中尉と回線、繋がります。」

「うむ。」

「此方、洋上にて試験航海中の真田だ。」
「桐生中尉。アレを使う。」
「発射体制に入ってくれ!」

「真田大佐。アレはまだ試射もまだ行われていませんが。」

「分かっている。」
「緊急時なのだ。試射を兼ねて今、発射しなければならない事態なのだ。」

「ハッ ハイ!分かりました!」
「サジタリウス起動します!」

「うむ。桐生中尉。今から座標を送る。」
「1mmたりとも間違えるな。」

「……真田大佐!座標までの射程距離が足りません!」

「大丈夫だ!!桐生中尉、サジタリウスのリミッターを解除するんだ!」
「解除すれば、最大射程内に余裕で収まる!」

「ハッ。ハイ!」
笑顔を浮かべ桐生は返事を返した。

「超量子粒子レーザー"サジタリウスの矢"を起動します。」
「超量子粒子チャージ開始!」

小惑星基地イカルスに造られた防御用レーザー砲。
最大射程400.000キロメートルのロングレンジ攻撃が可能な防御兵器である。
只し、連射は可能なのだが、速射が出来ない。
レーザーエネルギーをチャージしなければならない。
その為、桐生は真田の指揮の下、チャージ時間を短縮する為の開発中である。
現在、開発、試験中の為、最大射程をリミッターにより300.000キロメートルに絞っている。
これでは月軌道上に存在する小惑星イカルス基地から、小笠原海峡に潜るカラクルム級までは、およそ384,410 キロメートルである事から射程距離が足らないのだ。
その為、破損する可能があるが、真田はリミッターを解除させたのである。

「超量子粒子レーザーエネルギー、チャージ完了!」
「サジタリウス送射ッ!!」

小惑星イカルス基地から真一文字に蛍光ピンクに輝く、超量子粒子レーザーが小笠原海峡の海底、コスモリバースの核(コア)を目掛け、突き進む。

だが、真田の指定した座標では、阻止する事が出来なかった__。
真田の送った座標は正解なのだが、海流、即ち"潮"の流れを計算に入れ忘れた真田の焦りが、誤差を生じさせてしまったのだ。
僅かに屈折され、着弾してしまったのだ。

「ん!?」
「直撃はしなかったが、この海溝の底まで攻撃出来るとは。」
「近くに敵を感じない。」
「では、何処から?」
ストレイガーは感応波を張り巡らせる。



「ん!?」
「あら、お空の上かぁ。」

「ガーランド大尉。今、お空の上から攻撃されたよ。」
「急いだ方がいい。」
「砲撃の修正がされる前に。」

「砲撃は確かか?」

「確かよ。」
「外れたけどね。」

「分かった。あと四分待て。」



「ストレイガー都督。始める。」
「あの光点目掛け、感応波を。」

ストレイガーの送り出す感応波と物質転送波が混ざり合う。
二つの異なるエネルギーがガーランド大尉と新見少佐を包み込む。





「この次元に自らの意識で来る人間がまだ、いたのですね。」
高次元と言われる空間にその姿は現れた。

ガーランドと薫は高次元に転送された。

ガーランドは辺りを見回した。

薫は辺りを見回した。
二人は同じ場所に転送されたはずだった。
だが、薫とガーランドは別々の場所に転送された。
転送された感覚と言った方が、正解なのだが、薫もガーランドも、どちらも互いを確認出来ていないのだ。

「ガーランドと仰いましたね。」
「あなた方を視させて頂きました。」

「何かを得るには、何かを失うリスクもあるのですよ。」
「ガーランド大尉にその覚悟が、お有りですか?」

「ガトランティスという人種が誕生するならば、自分が、そのリスクを背負ってゆく。」

「それで良いのですね?」
「後悔「あともどり」は出来ませんよ。」



ガーランド大尉は覚悟を決めた__。

このテレサの波動が感じる事の出来る次元に、ガーランドは残る事を決めたのだ。
これがテレサから出された条件であった。

「薫。俺たちの子を頼んだぞ。」
「ストレイガー都督。約束は果たした。」
「君は純粋なガトランティスの人間として、これからは歩み出す。」
「そして、デスラー総統が君の善き理解者と成るだろう。」

イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199ー星巡る方舟ーより。




◆◆◆◆







「これは私からのささやかな、プレゼントだ。」
「白銀の貴女に合わせて造らせた艦(ふね)だ。」
「それと、貴女のガトランティスの技術を応用して造らせた正当なる護衛艦も二隻だが、お供させましょう。」
「貴女を含め、ガトランティスには恩があるのでね。」
「それに貴女は、これから一国一城の主に成られるお方だ。」
「我々、ガミラスは何時でも力をお貸ししますよ。」

「デスラー総統。感謝いたしますと、言いたいのだけど、何故?と疑問が先行してしまう。」

「流石はガトランティスの女王と成られるお方だけの事はある。」
「ならば、こうしよう。」
「我が、新生ガミラスと同じく新生ガトランティスの門出、共に種の繁栄の為の門出。」
「そう。我々の新たな門出のプレゼントだと思って貰いたい。」



「そこまで貴方が仰るのなら。」



「新生ガトランティス。前進!」
その姿はストレイガーではなく、生前のシファル・サーベラーそのものだった__。


◆◆◆◆


金色の輝きを纏うガーランド・ルドルフ。
ガーランドは思う。
"白銀の残影"と名付けられ、事件を引き起こす"引き金"と成ったが、偶発な事が幾つも重なり、事故として処理された事を__。

あのヤマトが、宇宙戦艦ヤマトが帰還し、"打出の小槌"と言われた時間断層は、宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった事を__。

その核(コア)の周りだけ、例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)のある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
手を伸ばせば届く距離にそれは存在する。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
縦に長い超巨大な円柱空間である。

今現在、その核(コア)に触れた者はいないと__。

「俺は、パンドラの匣を開けてしまったのかも知れんな。」


~fin~





◆◆◆◆



【ガミラス・デスラー専用座乗艦:戦闘空母(改)】
※新生ガトランティス・サーベラー座乗艦:ガトランティア
(デスラー座乗艦と同型で基本、同性能だが、改良点として感応波対応である。)

全長:540m
全幅:64m
自重:126.000t

武装

三連装陽電子衝撃砲塔×4基(ブリッジ前部2基、後部2基)

連装無砲身陽電子ビーム砲塔×4基

三連装陽電子ビーム砲塔×14基

八連装輪胴速射砲塔×4基

6連装ミサイル発射管×2基(12門)

量子機雷発射口×12門

亜空間魚雷発射管×12門(艦首×6門、艦尾×6門)

物質転送波システム機×2基(機)

分離式デスラー砲×1門(デスラー砲艦×1艦)
※超波動粒子収束直撃砲=ガトランティス式波動砲(波動砲艦)

脱出用トップ・ブリッジ×1艇
※四連装ビームバルカン×2基

搭載数
※機体により異なる。
:48機(ツヴァルケ)
:42機(甲殻攻撃機デスバテーターⅡ)

甲殻攻撃機デスバテーターⅡ(改良機)

全長:16.2m

搭乗員:3名→1名

武装

速射輪胴銃座×1基

前方機関銃×8門

空対空ミサイル×6基(発)

対艦用大型ミサイル×1基(発)



【分離式デスラー砲=デスラー砲艦】※波動砲艦

全長:250m

武装

デスラー砲(波動砲)×1門

亜空間魚雷発射管×6門

小型八連装輪胴速射砲×6基



【ラスコー級 雷撃型巡洋艦】

全長:240m

武装

大型八連装速射輪胴砲塔×6基

小型八連装速射輪胴砲塔×6基

艦首大型対艦空間魚雷×2本(発)

八連装速射対空輪胴砲×6基

ミサイルランチャー×8基

量子魚雷発射管×2門


◆◆◆◆


あとがき

2202版ヤマトで"人間"としてではなく物として扱われた感が、私の中では堪らなく嫌だった。 せめて二人のサーベラーは生き残って欲しかった。 そんな思いから、この物語りを書きました。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

最新の画像もっと見る