鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝:第十話

2018-10-24 18:02:30 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第十話


私が意識を取り戻すと、そこは独房のベッドの上だった。
私が目を覚ました事を見張りのクルーが、何処かに連絡しているがようだった。
でも、それはすぐに解った。
副長も古代も留守で、他の艦橋組は多忙で尋問どころではない。
クラウスは私を庇った事で負傷、此方も尋問どころではない。
治療に専念する事が優先される。当たり前だけどね。
私を確保した航空隊隊長の加藤が、私を尋問に来たのだ。

「俺は知っているとは思うが、航空隊隊長の加藤だ。」
「階級は二慰だ。」

「呼び方は違うけど、クラウスと同じなのね。」

「ああ。」

「副長も古代も、留守だからな。俺がお前を尋問する。」

ある程度のと云っても、艦医である佐渡から身体検査の結果くらいしか情報はない。
私は"白銀の巫女シファル・サーベラー"とだけ、彼に告げた。
彼、加藤はイライラしているようだ。
彼の息が掛かるほど顔を私の顔に近づけ、睨み着けて来る。
拳を壁に叩きつける。



感情に振り回される哀れな人・・・

これだけ感情に振り回される人なら、此方が逆にヤマト脱出に利用出来そうね。
私はそう思い、彼、加藤を利用する為に、加藤の情報を収集する事にした。
そんな思いを巡らせていた時であった。
隣の傀儡にも、感じ取れたらしく、落ち着かない様子が伝わって来る。
アベルト・デスラーを感じたのだ。
私にもそれは解った。
アベルトの艦に同乗するガトランティスの将校の微弱な精神感応波を感じる。

「加藤と云いましたね!?」
「今日はこれ以上、話さないわ。」
「古代になら話をしても良いけど。」
「留守じゃ仕方ないわね。」

加藤は再び私を睨むと、腰掛けていた椅子から腰を上げ、「いいだろう。今はこれで引き上げる。」と言葉を残し、私の居る独房をあとにした。

「尋問が終わった訳じゃないからな!」



「どうぞお好きに。」と心に思い、隣の様子を伺った。

私は感応波での会話を試みた。

「貴女、アベルト・デスラーの衛兵でしょ!?」

「……オマエは誰か?」

「私はシファル・サーベラー。」
「唯一無二のガトランティスを操る巫女。」
「今はこの艦(ヤマト)に囚われてしまったわ。」

「……ガトランティス……ガトランティス……大帝……アベルト・デスラー………。」

「苦しいのね。」
「それと貴女、妊娠しているわね。」
「私が貴女を苦しみから解放してあげるわ。」

「………頼む……タノム。」

私は精神感応波のレベルを上げた。
彼女の苦しみを和らげるのと同時にアベルト・デスラーの艦(ふね)に同乗する将校に私の存在を教える為に。

何か邪魔するものが有るのか?
ノイズが混じる。
全く相手からの精神感応波が、キャッチ出来ない訳ではなく、途切れ途切れに成ったり、かと思えば以心伝心的に通じ合ったりと、イライラさせられる。


ー祈りの間テレザリアムー




「お待ちしておりました。」
「ヤマトの皆さん。」

テレサのその言葉に古代が問う。

「なぜ、我々だったのでしょうか?」
「もっと高度な科学力を有する知的生命体でも、良かったはず。」

テレサは古代の問いに応えて来る。

「私が選んだのではありません。」
「私の祈りに共明した波動が、あなた方を呼び寄せたのです。」
「あなた方は、そう云う宿命に居たのです。」

「大いなる和。縁の導きによって。」

「大いなる和?縁ですか?」

「そうです。大いなる和。縁です。」
「その縁、導きかれたもう一人の方が、お見えに成られたようです。」

そのテレサの言葉に古代、真田、斉藤が、テレザリアムの入り口に視線向けた。




そこに現れたのは、戦死したと思われアベルト・デスラーであった。

「久しぶりだね。ヤマトの諸君。」

その声、その姿、驚きを隠せないヤマトの先発クルーたち。
その先発クルーの中では古代が、一番先に口を開いた。

「生きていたのか。デスラー総統。」

「死んだと思っていたかね?」
「ヤマトの坊や。」
その言葉に「ムッ」とする表情を覗かせる古代。
そんな古代に不適な笑みを浮かべ、さらに口を開くアベルト・デスラー。

「私は大義によって生きている。」
「そう簡単には死なんよ。」

「大義!?」

「ああ。そうだ。大義だ!」



そうアベルトが告げた時であった、第十一番惑星で殺戮を繰り返した、ニードル・スレイブ数体がテレザリアムに侵入、アベルトを取り囲むように護衛に着いた。
"殺戮の矢"が矢継ぎ早に、古代らを襲う。
「カシュン!カシュン!」と機械音がテレザリアムに響き渡る中、殺戮の矢が四方八方から飛び交う。

古代らは、携帯する小火器で応戦する。

時を同じくして、クラウス・キーマンが動き出す。

「此方、クラウスだ。艦橋(ブリッジ)聞こえているか?」
艦内無線を飛ばすクラウス。

「此方、艦橋、聞こえている。何か?」

「ツヴァルケを発艦させたい。」
「妙な物体をキャッチした。古代らの支援に向かいたい。」
クラウスは、発艦許可が下りると、踏んでいたのだろ。
既にフライト出来る体制で、艦内無線を飛ばしていた。

「了解した。怪我は大丈夫なのか?」

「怪我の方は完全ではないが、飛ばすのに支障はない。」

「了解した。」
「ヤマト後方、上空にガミラス艦艇を確認している。」
「レーダーに障害が発生している為、正確な艦艇数は解らない。」
「少なくとも、二十から三十隻あまりと推測される。」

「クラウス了解した。」

私が放った精神感応波の影響で、ノイズが混ざって、ヤマトのコスモレーダーに障害と成って現れていた。

そんな中、クラウス・キーマンの愛機白いツヴァルケが発艦した。



「ガミラスのツヴァルケが発艦した?」
「……隊長たちに何かあったのか?」
空間騎兵隊副隊長を任せられた永倉 志織が自身の機動甲冑を無断で発艦させた。


第十一話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。