つい先日 こんなことを聞かれました。
「アロマに詳しい友人から聞いたのですが 品質の良い精油だったら飲用できるって本当ですか?」
む~~~~~~~う
最近 この手の質問をされることもちょいちょいあったり
話題を耳にしたりすることが 実に多い というか また増えた気がします。
結論から言いますと
「精油の経口摂取(飲んだり食べたり)は
リスクが高い(=危険を伴う)ので やらないでね」
というのがワタシの見解です。
少し長くなりますが 何故飲まないほうがいいよ という見解なのか
触れてみようと思います。
少し調べてみたら
「飲んで良い」とうたわれている精油は
『そこらへんで売ってる精油とは違って品質が良いから』
『厚生省から食品添加物の認可を受けて輸入されているから飲んでもOK』
『海外で薬局で内服用に売ってたり、医師が内服をすすめたりしている』
とか、こんな感じのことがけっこう書かれてますね。
あらかじめ言っておきますが、
精油の飲用を薦めている人、団体などについて 批判をしたり意見をしたり
そういうつもりはありません。
ひとりのアロマセラピストとして これまで得た知識とか理解とか
そういうことから導いてきたワタシの個人のひとつの見解 と思って
読んでくだされば いいかな と思います。
で、本題。
海外(一部の国・地域)で 精油を医師が処方し、内服をすすめるという
治療を行っている というのは本当です。
かなりざっくりした話でまとめるならば
フランス式 とよく言われますが、おそらく戦争中に軍医であった
ジャン・バルネ博士が 戦時下で抗生物質などの医療物資の足りない中
ラベンダーやティートゥリーなどの精油を負傷兵の治療に使ったという
臨床経験などを元に 精油の持つ薬理的効果に注目されてきたという歴史があります。
その延長線上で フランスやドイツ、ベルギーなどの国の
一部の医師の中には 精油を薬と同等に扱っていることもあり
内服をしたり 原液塗布を
医師の処方のもとに 薦めている とうことが行われていると聞いています。
フランスでも精油を薬のようにばんばん使ってるわけではなく
そこらへんの薬局で 市販薬やサプリメントのように売ってるわけではない のです。←ここ大事
『LD50(半数致死量)』という言葉があります。
簡単に言うと 毒性の指標、めやす、その物質にどれくらいの毒性があるか?
ラットなどの被験動物が その物質を経口摂取したとして
100分の50 つまり 半数が死に至る量は 体重1Kgあたりにどれくらいか?
というのを数値にしたものです。
ある精油のこのLD50の数値は 0.4g/kg
この精油は 仮に体重50Kgの動物なら20g
体重10Kgだったら わずか4g
経口摂取したら 半分は死に至る ということを示した数値です。
もちろん動物と人間では代謝作用も違うことがたくさんあるだろうけれど
動物を人と置き換えるとすると・・・どうでしょう?
実際は 肝臓が弱い人だったり 体力が弱ってる人だったりしたら
代謝機能が落ちるので もっと危険度が高くなります。
精油はたくさん種類があり、この数値は極端に毒性の高いものを敢えて書いてます。
でも どれが毒性が高いのか そうでもないのか?
その区別は 一般の方で ご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
セラピストでさえ、細かい数値までは 覚えてない・・・というのが正直なところだと
思います。
毒性の強い精油がどれか精油の名前 くらいは頭に入ってると思いますが。
動物には「代謝」という機能が備わっています。
代謝というのは 人が食物を口にしたり皮膚から吸収されたものを
必要な栄養素だったり物質に分解したり作りかえて再合成したり
いらないものは排泄に回したりする生きていくためには重要な機能です。
(これまたざっくりな説明ですみません)
そもそも人の代謝経路において 精油の中に含まれる成分が
どういう代謝の経路をたどるのか 現段階ではほとんど解明されていないそうです。
余談ですが 猫のいる場所でのアロマの使用には注意が必要なのは
猫は ほとんどの精油に含まれる とある代表成分の代謝に必要な
グルクロン酸抱合酵素の生成ができないことがわかっているから です。
解毒できずに身体の中に溜め込んでしまうのですね。
結果 中毒症状を起こしたり 腎不全を起こしたり 死に至ることもあるといいます。
「そうは言っても 人は海外で実際に内服している人がいるんだから
人間には それなりの精油に対する代謝機能はあるってことじゃ?」
って思いがちですが・・・
人種によって 代謝機能は異なる ということもあるのです。
人間は進化してきた生き物ですから その住んでる土地に合わせて
進化をとげてきているのです。
お茶代わりに子供のころからアルコールをよく飲んできた民族と
日本人では あきらかにアルコールの代謝機能が大きく違うのだそうです。
だから 日本人の半数はお酒に弱い(ワタシもそのひとり)のだとか。
そんなことを考えたら 海外でやってるんだから大丈夫 と考えるのは
どうでしょう?
「精油を飲んだらデトックスできる」なんて記事も見かけましたが
飲んだ精油の成分が原因で消化不良起こして下痢を引き起こす?
(下痢は体内の毒素を排出させるための強制手段)
ってこと・・・かな???
強制的にでも 排泄できればまだ良いけど もともと脂溶性物質は
排泄しづらいのだから そううまくいくとも思いづらいし。
となると どんどん溜め込んでしまわない?
香りを楽しむ芳香で 呼吸器から吸収される精油成分と
トリートメントオイルとして植物油で十分に希釈されて塗布されたことにより
皮膚吸収される精油成分はごくごくわずかなものです。
それでも 毎日のように精油を扱うセラピストの中には
特定の精油を連続して使うことによって アレルギーを発症してしまったりする人もいて
「偏った精油を連続使用しないように」と気を付けるよう啓蒙されているほどです。
一方 それに比べ経口摂取する場合は 体内にダイレクトに精油を
入れるわけです。
間違って大量に入れてしまったら 死ぬことだってあるのにです。
ほんの数滴であったとしても・・・
原液を口にするというのは まず口内・喉内・消化管・・・
粘膜へ与える影響も大きいだろうし、吸収されてからの代謝経路もはっきりしてない。
そこまでのリスクをおかしてまで 飲用する必要があるのか?
「カプセルに精油を入れて服用」なんて記事も見ました。
粘膜への刺激を考慮してのことなのか・・・?
でも カプセルが溶けたあとどうなるのか?
疑問は次々にわいてきます。
『飲用は自己責任で』なんてことを書いてあるサイトも見ましたが・・・ねぇ・・・
それって 言い換えたら 「飲用して何かあっても責任はとりません」ってことですよね。
なんか・・・ねぇ・・・ずるくない?
「精油は飲めます」と書いてある各サイトに共通するのは
精油が体内に入ってから どういう経路?どういうしくみ?メカニズムで
作用して 求める薬理効果を発揮するのか という
そのあたりのことが 何も触れられてない ということです。
ここが一番気になるところだし、大事なとこじゃありませんか?
これらの理由からも ワタシは 精油は飲用すべきではない と考えていますし、
問合せを受けた時は 「飲むのは危険」と伝えます。
生徒さんにも そう教えています。
お友達に精油の飲用を勧められて断れなくてどうしたものかと困って・・・
という方もいるかもしれません。
そういうときは こう聞いてみるのはどうでしょう?
「こないだ検査で肝臓の数値がちょっと悪かったから やめといたほうがいいよね?」と。
きちんと勉強している人が相手なら それ以上は薦められないと思います。
肝臓が悪いかも→代謝できなかったら危険
ということを理解しているということですから。
もし それでも強く薦めてくるようであれば
はっきり言いますが、その人の知識は あやしい と疑って間違いないです。
もし、何らかの理由で精油をどうしても内服、飲んでみたいなら
精油をきちんと医療に取り込まれているお医者様も日本でも少しずつですが増えているそうですから
そういう「医師免許を持った」お医者様を探して まずは相談されることをオススメします。
お近くのアロマセラピストに と言いたいとこですが
セラピストやインストラクターが飲用を薦めているケースもあるので
言えないところが 心苦しいです。
精油を飲用利用することが メディカルアロマだ と言ってる人たちもいるようですが
それは違うと思います。
精油はお薬ではないです。アロマテラピーは医療にとって代わるモノでもありません。
ここについては 長くなるので これ以上は今回はやめておきます。
いずれにしろ 飲用利用とか メディカルアロマ という認識について
間違った解釈が これ以上広まらないことを願わずにはいられません・・・。
どうか 飲んでよいものか そうじゃないのか?
リスクを冒してまでも 飲む必要があるのか?
冷静に 考えてくださいね。
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