No.75 ジョージはインドネシア好き？（11.10.08）

　3日の夜、日本に帰って来ました。9月1１日に出発して、パダン滞在は約3週間だけでした。
　今回の目的は就労ビザについて、向こうの人達と話をしてくるというのが目的で、行く前からちょっと気が重かったんですけれど、滞在中はわりとノンビリもしてました。
　2月に帰国してくる前、9月からの新学期に合わせて、外国人講師の枠を確保するということで、ブンハッタ大学と約束してたのです。2月から9月まで半年以上ありますから、その間に就労ビザの手続きとかを済ませる、ということで。
　ビザの取得に必要なもので、私から提出しなきゃいけないものは全部渡してあったはずなんですよ。就労ビザを取るためには、「非正規」の手数料を含めて、けっこうお金がかかるんですけど、それは大学側が負担するという約束でした。
　何度か日本から電話やメールもしてたんですけれど、反応がほとんどないんですよ。どうにもラチが開きそうもないから、直接話をしに行ったという訳です。
　ということで、9月に入ってから慌てて飛行機の手配などしましたので、高くて手が出ないようなのばかりしか残ってませんでした。なんとか取れたのが、中華航空で、北京、厦門（アモイ）経由のジャカルタ行き。それでも往復で9万円ほどでした。

　NGOのツアーに参加したり、パダンに何度も行ってるせいでしょうか、日本でもパダンでも、「ジョージは旅慣れている」と友達に思われていることがあるんですけれど、そんなことないんですよ、実際は。
　インドネシアの到着ビザは米ドルで$25だし、北京で乗り継ぎに数時間あるから、ちょっと飲み食いするためと思って、少しだけ米ドルを用意してました。
　でも、北京から厦門は国内線。入国審査のゲートを通っちゃうと、米ドルは使えないし、両替所もありません。

　出発は朝早かったけど、ジャカルタに着いたのはすでに夜。そして入国審査でトラブル発生。
　2月に帰国したばかりなのに、また到着ビザで来るなんて認められないと言うのです。もちろん、そんな決まりなんてあるわけない。理由なんて何でもいいから、言い掛かりを付けられればいいんでしょう。
　つまり、ワイロの要求なんですよ。かなり直球で$100よこせってきましたね。
　私の日本の携帯はプリペイドで海外ローミングはないし、インドネシアの携帯はデキに預けてあったので、まだ手許にありませんでした。まさか、ここで来るとは思ってなかった。
　こういう汚職は、お役所全体で組織的にやってるそうですから、多少暴れて、上の人間連れてこいってなったぐらいでは、連中は痛くも痒くもないでしょう。仕方なく、多少値切って支払いました。
　こういうのって、金銭的なことよりも、従わざるを得なかった屈辱感の方が遥かにツラい。

　パダンの友人によく言われるんですけれど、「パダンの人はみんな日本に行きたいと思ってるのに、ジョージは何回もパダンに来る。なんでだ？インドネシアが大好きなんだな」って。
　いつも答えずお茶を濁してますけど、答えを言うと、「好きな国」ってないんですよ。インドネシアも含めて。
　例えば、GENの活動を通して関わった中国。あんな一党独裁で役人が高慢な国なんて、私は大嫌い。でも、緑化活動やホームステイした先で知り合った人たちって、すごくすてきで、言葉はほとんど分からなくても、心が通じ合えると思える相手なんですよ。尊敬できる人もたくさんいる。
　同じように、インドネシアに関して言っても、こんな国の玄関先からワイロ漬けの国、人権活動家が国営航空の機内で暗殺されるような国なんて、好きになりっこない。
　でも、友達になれた人たちはもちろん、そうでなくても、明るくて、親切で、冗談好きな、普通の生活者である人たちのことは好きですよ。キライな人も、もちろんいるけど。
　つまり、本当に民主的な国だったら、国民＝国だから国を好きになれるでしょうけど、そんな国は今のところありませんからね。北欧諸国には少し興味ありますけど、今の時点では一番マシというところでしょうか。
　日本は？なんて聞かないでください。鼻で笑ってしまいます。
　ただ、誤解されたくはないのですけれど、日本の文化や自然環境なんかは大好きなんですよ。そういうものを守り、育んできた先人たちのことは尊敬しているし、誇りにも思っています。
　あ、文化や自然環境が好きってのは、「日本の」に限りませんね。