ジョージのインドネシア体験記

パダン(Padang)という、インドネシア、西スマトラの地方都市での生活体験記。

No.4 えっと、誰? (09.05.25)

2009-05-25 11:30:58 | No.0~No.10
 パダンでは日本人は珍しいせいか、ぶらぶらしてたりすると、声をかけられることがよくあります。
 知らない人を呼ぶ時、インドネシア語では、お兄さん、お父さん、おじさん、おとうと、とかって意味の単語を使います。だいたい、相手の見た目の年齢で使い分けます。日本語でも「兄ちゃん」とか「おじさん」て使うのと同じですね。
 そういう呼ばれ方をすれば、ふつうは知らない人ですから、適当に挨拶を返して終わり。何かつづけて話してくることもあるけど、インドネシア語だってあんまりわからないのに、そういう時に限って、ミナン語(パダンを含む西スマトラのミナンカバウ族の言葉)のことが多くて、全然わからない。

 名前で呼ばれたり、先生って呼ばれれば、知っている人のはずなんですけど、「え?誰だっけ?」みたいなことも、しょっちゅう。自慢にならないけど、私は人の顔と名前を覚えるのが苦手。先生って呼び方をするのは、私が教えている生徒でなくても、日本語をどこかで勉強している子がよく使います。

 ここからは、ちょっと言い訳。
 パダンで日本人は珍しいから、私のことはすぐに覚えてもらえるようですが、私からすれば、みんな同じインドネシア人ですからね。これが、人の名前を覚えられない最たる理由。しかも、この前の文化祭の時みたいに、いっぺんにたくさんの人と会うことも多いのです。こうなると、もう、よっぽど印象に残った人でないと覚えられない。

 インドネシア人は一般に名字を持ってない、というのもあります。普段は、たいてい2音節の愛称で呼びます。たとえば、アミ、アデ、トゥティ、ディアン、ララ、リカ、といった感じ。フルネームは、よっぽど公式の場でないと出てきません。しかも、愛称がフルネームの一部とは限らないのです。それで、同名となる人が多い。上に挙げた名前は、すべて私の友人の名前ですが、それぞれ2人以上います。
 今のところ、私の知り合いで同名の人が同じ場にそろって、ということはありませんが、以前、藤井さんのおつれ合いのアユさんの教室で、3人が同名ということがあったそう。そういう時は、背の高い○○とか、ジルバブ(イスラムの女性がかぶる頭巾)を使っている○○、などと区別するようです。

 インドネシア人のフルネーム、たとえば、ユドヨノ大統領のフルネームはスシロ・バンバン・ユドヨノだそうですが、姓・名ではないのに名前が並んでいるように見えるので、親の名前を使うのかとも思って、何人かに聞いてみたことがあります。ミナンカバウ族は母系の民族なので、母親の名前を付けているのか、イスラムだから父親の名前をとってくるのか、と聞いたんですが、どうもはっきりしない。どっちもあり得るし、あんまり名前にこだわりがない、という感じで、まだよくわかりません。普段使っている愛称も、日本人が使うあだ名と同じで、学校と職場で違うなんてことがあるそう。

 名前で呼んでくれば、誰かは思い出せなくても、ほぼ知り合いだと判断できます。こっちに来たばかりのころは、新しく知り合った人には名字で名乗っていました。これだと、私の場合2文字ですから、こっちの人も呼びやすいよう。でも、私自身が名字で呼び捨てにされることに、なんとなく違和感がある。
 それで、最近は「ジョージ」と下の名前で名乗るようにしたんですが、こっちの人にとってはうまく聞き取れないし、発音も難しいようです。何度か「ジョージだ」と言ってもダメなときは、書くか、名刺をわたします。Georgeとなれば、相手も納得した顔をする。
 でも、発音はrが巻き舌になるので、「ジョルゲ」みたいに、フランス語とドイツ語を混ぜたみたいな感じ。「ホルゲ」とスペイン語みたいに発音する人もいました。でも、英語的にジョージとなる人は、なぜか皆無。まあ、いろんな呼ばれ方することを楽しむことにしましょう。ただ、パスポートと同じくJojiと書けば、だいたい「ジョージ」に近くなるようですが、この書き方はダサいから、極力使いたくない。
 
 引っ越してきたとき、近所の、町会長のようなおじさんには名刺をわたして、フルネームで名乗りました。後日会った時に、こっちを向いて大声で「ヨルギ!」。名字と名前がごっちゃになったのでしょうか。誰だ、それ?

No.3 大学の文化祭 (09.05.18)

2009-05-18 11:43:03 | No.0~No.10
 5月11日から13日までの3日間、パダンにあるブン・ハッタ大学の文学部(直訳では文化学部)日本語学科で、「日本文化祭」がありました。大学と私には直接の関係はないけれど、パダンにいる日本人は10人もいませんから、こういう日本関係のイベントがあれば、呼んでもらえるんですね。
 
 私は、大学に在学中、1回しか文化祭に行ったことがないし、どんなことをしてたかって、あんまり覚えていません。印象に残ってるのは、校門前に集まってたナンパの車ぐらい。日本の大学では、学校全体で文化祭を行いますけど、ブン・ハッタの文化祭は、日本語学科だけですので、学校全部が休みになったりはしないようです。

 日本の大学の文化祭は、クラブやサークル単位で催し物をすることが多いようですが、こちらでは、学科でするので、プログラムの内容は授業の延長のような感じ。たとえば、朗読、スピーチ、クイズ、カラオケ、etc…。もちろん、すべて日本語の、です。クイズの問題も、クイズと言うより、日本語のテストの問題。どれも競技形式で、上位の人にはトロフィーと副賞が贈られます。
 スピーチコンテストには、国際交流基金がスポンサーになっていて、優勝者は次回、スマトラ島最大の都市メダンでのコンテストに進みます。さらに勝ち進めば、首都ジャカルタ、そして日本への留学の権利がもらえるそう。

 参加者は、ブン・ハッタの学生だけでなく、西スマトラの他の大学の学生、パダンの高校生と、さらに中学生もいます。高校では、第二外国語に日本語が入っているので、日本語をかじっている高校生は多いのです。
 それぞれの部門の予選、決勝があって、その合間や昼休憩の後なんかに、踊りや楽器演奏が入っています。特に初日は、園田女子大学から日舞の人が3人いらっしゃって、舞踊を披露されました。やっぱり、芸のある人って、見ていてうらやましいですね。
 学生たち自作の寸劇やコスプレなんかもありましたが、こちらは「日本の事を勉強してるにしては、ちょっと誤解してないか?」という感じ。でも、面白かった。

 インドネシアの人は一般的に言って、時間にルーズ。「ゴムの時間」なんて言ったりもします。私が見に行ったことのある、ある幼稚園のぬり絵大会では、理由もよくわからないまま、開始が2時間ほども遅れたことがあります。
 そんな中で、私が感心したのが司会進行。昼休憩が30分ぐらいのびたり、合間の余興が盛り上がって時間がずれたりしても、だいたい予定通りに進めていくんですね。トークも、テレビ番組なんかの司会の人のように、堂に入ったもの。うまく会場を盛り上げていって、飽きさせない。もともと時間に余裕を見てプログラムを組んでいたのかもしれませんが、大したものです。
 
 今回、藤井さんは事前にスピーチコンテストの審査員を頼まれていたようですが、私は見学だけと思って、お気楽に構えていました。すると、2日目に、「明日のカラオケコンテストの決勝の審査員をして下さい」って、突然頼まれたんですよ。まあ、その程度のことならって、安請け合いしました。ですが、課題曲が日本の歌っていっても、私の知らない曲ばかり。その日は終わってから、あわててCDを借りて、ネットで歌詞を確認して、何度か聴きました。

 決勝の後、審査も無事終わると、「あとの余興で、1曲お願いします」。えっ!?なんだって?私は、カラオケなんて、日本でもあんまりしたことがありませんよ。
 一度は、できないって断ったんですけど、それで逃げれるわけがない。まあ、下手糞な歌で一時の恥をかいても、盛り上げに一役かって、それで私に親しみを持ってもらえれば、しめたもの。そう覚悟を決めて、インドネシアの曲を歌いました。耳慣らしの足しにでも、と思ってインドネシアの曲を聴いていたのが、意外なところで役立った。

 そのおかげ、ではなく、単に滅多に会えない日本人だからですが、終わった後には「一緒に写真撮ってください」ってのがひっきりなし。おバカな私は、ちょっとしたアイドル気分。
 私の趣味の一つに囲碁がありますが、文化祭は毎年するようだし、そのうち囲碁コンテストもできたらいいな、なんて、調子に乗って考えてみたりしています。

No.2 新築っていい?

2009-05-11 10:07:32 | No.0~No.10
 私がインドネシアに移ってきたとき、住む家はまだ決まっていませんでした。それで、しばらく、と言っても結局は1か月ほどもですが、私が勤める日本語学校の経営者の、藤井さんのお宅に居候していました。

 日本だったら、部屋探しは不動産屋に行けば、入居までに必要なことは、そこでほぼ全て終わりますが、ここではそうはいきません。まず、不動産屋がない。無い訳じゃないようですが、不動産屋と言うより不動産ブローカーみたいなのになってしまうそう。信頼できる組織としての不動産屋はないようです。

 じゃあどうするかと言うと、自分の足で探し回るか、コネを使う。実際、学校の近くで借りられる部屋がないか、聞いて回りましたが、いいところはありませんでした。で、並行して、友人にもそれぞれの家の近くで探してもらってたんですが、それで今の家を見つけてもらったんですよ。

 見つけてもらった家は、新築の一戸建て。居室が2部屋とバスルームに応接間、リビング、台所のスペースがあるので、2LDKでしょうか?一人で住むには十分すぎる広さです。
学校へはアンコット(angkot)という乗り合い自動車で約30分。少し遠いけど、乗り換えなしで行けるのがいい。友人も近くに住んでいるので、安心できます。
そして、気になる家賃ですが、4百万ルピア。約4万円。1か月ではなく、1年間です。

 ここまでだと、いい事づくめですね。私も気に入ってるのは確かです。でもそれだと、話のネタになりません。やっぱり、いいことばっかりな訳がない。

 家の賃貸契約をして、最初に私がしたことは、ペンキ塗り。実は、新築と言っても、内装とかは終わってなかったんですよ。

 契約の前提の約束として、家の外側のペンキ塗りと、部屋のドアノブの取り換え、バスルームに水を溜めるための水槽の設置は大家さんがすることになりましたが、それ以外、家の内装などは自分ですることになりました。
 それで、ペンキ塗りに必要なものを買ってきて、デキっていう、電気技師の友人にも手伝ってもらって、やったんですが、初めてのことで要領が悪かったり、授業や他の用事との都合で、ペンキ塗りだけで、結局、1週間ぐらいかかってしまいました。

 2部屋あるうちの、1つは外側に向けて窓が開くので問題ないんですけど、もう1つは居間の方にドアが付いているだけで、窓が一つもありませんでした。ちなみに、2部屋のドアは両方とも、新築なのにノブが壊れていて、そのためにドアノブの取り換えが必要でした。まるで中国のトイレのドアみたいですね。
 窓のない部屋は、湿気がこもって、まるでサウナのよう。家自体も、3方が隣とぴったりくっつくように建てられていて、換気口がありません。とにかく空気が通るようにと、デキに、コンクリートの壁に穴を開けてもらって、換気口を作りました。それだけで、実際に部屋の温度も下がったけれど、湿度が下がった分、体感的にずいぶん涼しくなりました。

 こんなこと、家を建てる時にわかりそうなことなんですが、そうはなってないんですね。施主の大家さんは、自分で釘を打ったこともなさそうな、おばちゃん。だから、どんな工事をしてるかとか、わからない。会ったことはないけど、大工にしたって、何も言われなければ、余計な事、面倒な事はしたくないのでしょう。自分が住む家でもない。だから、見えない所なんかは、手抜きが多い。
 バスルームに設置された水槽も、下にコンクリート用の砂が敷かれているけど、セメントで固めてない。だから、ちょっとずつ砂が流れ出すんですよ。そのうちに、排水溝が詰まりかねない。

 水槽の事は、大家さんの分担という約束だから、大家さんに来て見てもらいました。で、どうせ直すなら、しっかりした、もう少し大きいものに作り直した方がいいと、提案したんですよ。修理は私の方でするし、費用も半分負担してもいいってところまで譲歩して。
 ですが、「大きいのを作るのはいい。でも、金は出せない。それに金を出せば、赤字になる。」なんて言い出す始末。大した額じゃないんですよ。全額、私が負担できなくはない。でも、シャクに障る。
 けれども、たとえケンカして、相手を言い負かしたとしても、1年で追い出されでもしたら、今まで手をかけた分が、惜しい。やれやれです。

No.1 水はあれども…

2009-05-04 13:46:21 | No.0~No.10
 記念すべき(?)第1号の話題は何にしようかな?と思いましたが、やはり、ここは黄土高原だよりを真似て「水」の話題にします。

 黄土高原だよりのNo.1は「水が涸れる」でしたけど、ここパダンは赤道直下。ケッペンの気候区分でいえばAfで、年間雨量4000ミリ。大同の約10倍、日本の約2.5倍もあります。
 ですから、水が涸れるなんてことはもちろんなくて、逆に、ひとたび雨が降れば、あちこちの道路が川のようになります。そういう雨の降り方が、一年中いつでもあります。

 こっちの人たちは、普段、朝と晩の二回、マンディといって水浴び(シャワー)をします。他にも、洗濯や食器洗いなどを見ていても、けっこう盛大に水を使うんですね。
 私のパダン人の友人たちが日本で生活していたときでも、水の使い方は無駄使い気味でした。水を節約して使うという意識はあまりなさそう。それだけ水が豊富にあるわけですね。

 普通、家庭には水道が引かれているか、井戸水をポンプで汲み上げています。水道と井戸を併用しているところもあります。ですが、この水道水なり井戸水なりの、水質がよくないんですよ。

 たとえば、我が家には水道がなくて、井戸水を使っています。家の中にポンプが設置されていて、蛇口を開ければ自動的にポンプが作動して、水が出てくるようになっています。出てきてすぐの水は、見た目には透明できれいなんですけど、恐ろしく金気くさい。還元状態で、鉄イオンなどがたっぷりのよう。バケツに汲んで、一晩も置いておくと、朝にはすっかり茶色く濁って、表面は油膜がはっています。
 濁りは溶けていた金属成分が酸化するためでしょうけど、油膜の由来はなんでしょうね?食器などを洗ったあとの水垢は、まるで血でも付いたように見えます。

 以下に、パックテストでテストしてみた結果を記します。蛇口から出してすぐの水と、1日置いておいた水(カッコ内)です。(単位はPH以外すべてppm)

 PH 6.5~7.0 (7.5)
 過マンガン酸カリウム消費量 12~15 (12)
 COD 13~20 (13~20)
 りん酸 0 (0)
 アンモニウムイオン 0.2 (0.2~0.5)
 亜硝酸イオン 0 (0)
 硝酸イオン 0 (0)

 ほかに、大腸菌群も多数検出されました。まだ1回ずつしかしてませんし、パックテストなので正確ではないけど、飲用にできないのは確かです。沸かせば大丈夫なのかもしれませんが、重金属類の何が入っているか、わからないですからね。
 私は、炊事と歯磨き、うがいには、ボトルドウォーターを使っています。膜処理した水が20リットルほどのボトルに入れてあちこちで売られています。
 友人がそのお店をやってるおかげで、私はただでもらってるんですけど、ボトルが2万ルピア、中身の水だけなら、5千から2万ルピアだそう。値段の違いはメーカーによります。
 1円がだいたい100ルピアですから、円に換算すれば大したことなさそうですけど、所得水準からすれば、こっちの一般の人にとっては、けっして安いものではありません。

 あんまりいつまでも、ただで配達までしてもらうのも悪いし、井戸水をマンディや洗濯に使ってて、爪が黒ずんできたり、洗濯物に色がついたりってのも、気持のいいものではありませんからね。

 今、自宅に生物処理(緩速ろ過)の装置を作ろうと思っています。濁り除去の前処理と、ポンプを使わないで数か所の蛇口に配水するのをどうしようか、思案中です。

No.0 ブログ開設

2009-05-04 13:35:56 | No.0~No.10
 今年(2009年)の3月から、インドネシアのパダンという町で生活していくことになりました。職は日本語教師です。

 このブログで、ここでの見聞や自分の思いをつづっていこうと思います。
 先に言ってしまいますが、緑の地球ネットワーク(GEN)の事務局長、高見さんの「黄土高原だより」のマネです。内容も真似できればいいんですけど、そこまではできないから、カッコだけ。「黄土高原だより」はメルマガですから、ブログで真似ると、だらだら~と長い文章は読みづらいでしょうけど、更新のし易さと、写真を載せれるので、ブログにしました。

 インドネシアと言えば、たいていの人が思い浮かべるのはバリ島かボロブドゥールで、パダンを知ってる人なんて、ほとんどいませんでしょ。バリでもボロブドゥールでもなく、日本ではあまり知られていないインドネシアの一面に、興味を持ってもらうきっかけとなれば、うれしいですね。
 また、一先ずはほとんどの読者がそうなるでしょうけど、直接の知り合いには近況報告にもさせてもらいます。更新されてるうちは、とりあえず無事ということで…。