若田浄水場では、川の取水口から浄水場まで水を引いてくる導水管で、小型水力発電を行っています。発電量は大したことありませんが、流量が一定ですから、安定した発電ができているはずです。それに、発電量が少なくても、若田浄水場では使用する電力も少ないのです。
取水から沈殿池を経てろ過池まで、若田浄水場では地形の高低差を利用した、自然流下だけで水を送るので、ポンプを使っていないということです。
設備としては薬品混和池もあるけれど、生物浄化なので、薬品を投入することはなく、素通りです。
処理工程のメインであるろ過池では、太陽光によって藻が繁殖します。藻は光合成をして酸素を出しながら繁殖するわけです。繁殖した藻は、濁りを補足し、一部は動物の餌ともなります
酸素が豊富な環境であれば、バクテリアや微小動物が活発に活動できます。バクテリアは水の汚れ成分である、有機物を栄養にして増え、微小動物がそのバクテリアを餌にし、それらの微小動物は、さらにより大きな動物群の餌になるという、食物連鎖があるわけです。
近年、「エコ」って言葉が流行ってますね。なんだか意味のよくわからない使い方がされることもありますけれど、もともとはエコロジー(生態学)の略だったはず。
生物浄化法のろ過池は、一つの生態系(エコロジカル・システム)になっていて、水はそこを通っていく過程で浄化されます。正に「エコ」な浄水方法なのです。
砂層表面から剥離した藻は、越流管を通って排出され、川へ戻されます。沈殿池に溜まる砂やゴミは、今は廃棄処分されているそう。
藻は河川水の成分によって繁殖したものだし、沈殿池に溜まるものも、元は河川水に含まれるものだったわけだから、どちらもそのまま川へ返したとしても、それほど問題にはならないと考えられます。
ですが、藻は収穫して堆肥化するとか、バイオエタノールやバイオガスの原料にすることも考えられるでしょう。
そうなれば、浄水場はただ水を供給するだけでなく、資源をも生み出す施設ともなるかもしれません。
浄水場を案内して下さったSさんのご厚意で、若田浄水場から数百メートル離れた剣崎浄水場も見せていただきました。
剣崎浄水場も生物浄化法の浄水場で、作られたのは1910年。なんと、100年間も現役で稼働しているのです。
給水能力は5500t/日で、若田浄水場の10分の1程度。給水量からすれば停めてしまえるけれど、使わなければせっかくの施設が傷んでしまうので、現在も稼働させているそうです。
沈殿池やろ過池はコンクリートではなく、石組によって作られていて、一部は文化財としての指定もされているのだそう。
沈殿池もろ過池も壁面は斜めで、いわゆるすり鉢状です。のちに増設されたのは垂直の壁で、箱型の池。
後から増設された沈殿池にはエアレーターが設置されていました。熱帯魚などの水槽で使うブクブクの巨大なものを想像してもらえばいいでしょう。水に空気を送り込む装置です。
夏季は表面近くの水温が高くなって対流しなくなり、下層が貧酸素の状態になってしまうためです。
古い方のすり鉢状だと、対流が起こるので、エアレーションの必要はないのです。対流が起こっていることは、Sさんが若いころに池の中に入って確かめたのだそう。
作られた当時に、すり鉢状なら対流が起こることまで計算していたとは思えませんけれど、出来上がったものは100年後の現在においても「最先端」を行けるほどの素晴らしいものだったわけです。
この浄水場の見学に際して、ちょっと調べてみると、まだ全国のあちこちに生物浄化(緩速ろ過)の浄水場があることを知りました。
見学できるかどうかはわかりませんけれど、川崎市や名古屋市のような大都市にもあるし、関西にも意外とたくさんあります。
私の母校の大学のすぐ近くにも、所在は西宮市ですが、神戸市の上ヶ原浄水場があるんですね。
上ヶ原浄水場は、生物浄化と急速ろ過と両方の施設を持っているようです。生物浄化の方は1917年に完成した施設で、給水能力は急速ろ過のと同程度ですが、2003年から休止しているようです。
在学当時は全く知らなかったし、興味もありませんでした。今にして思えば、灯台もと暗し。あーあ。
取水から沈殿池を経てろ過池まで、若田浄水場では地形の高低差を利用した、自然流下だけで水を送るので、ポンプを使っていないということです。
設備としては薬品混和池もあるけれど、生物浄化なので、薬品を投入することはなく、素通りです。
処理工程のメインであるろ過池では、太陽光によって藻が繁殖します。藻は光合成をして酸素を出しながら繁殖するわけです。繁殖した藻は、濁りを補足し、一部は動物の餌ともなります
酸素が豊富な環境であれば、バクテリアや微小動物が活発に活動できます。バクテリアは水の汚れ成分である、有機物を栄養にして増え、微小動物がそのバクテリアを餌にし、それらの微小動物は、さらにより大きな動物群の餌になるという、食物連鎖があるわけです。
近年、「エコ」って言葉が流行ってますね。なんだか意味のよくわからない使い方がされることもありますけれど、もともとはエコロジー(生態学)の略だったはず。
生物浄化法のろ過池は、一つの生態系(エコロジカル・システム)になっていて、水はそこを通っていく過程で浄化されます。正に「エコ」な浄水方法なのです。
砂層表面から剥離した藻は、越流管を通って排出され、川へ戻されます。沈殿池に溜まる砂やゴミは、今は廃棄処分されているそう。
藻は河川水の成分によって繁殖したものだし、沈殿池に溜まるものも、元は河川水に含まれるものだったわけだから、どちらもそのまま川へ返したとしても、それほど問題にはならないと考えられます。
ですが、藻は収穫して堆肥化するとか、バイオエタノールやバイオガスの原料にすることも考えられるでしょう。
そうなれば、浄水場はただ水を供給するだけでなく、資源をも生み出す施設ともなるかもしれません。
浄水場を案内して下さったSさんのご厚意で、若田浄水場から数百メートル離れた剣崎浄水場も見せていただきました。
剣崎浄水場も生物浄化法の浄水場で、作られたのは1910年。なんと、100年間も現役で稼働しているのです。
給水能力は5500t/日で、若田浄水場の10分の1程度。給水量からすれば停めてしまえるけれど、使わなければせっかくの施設が傷んでしまうので、現在も稼働させているそうです。
沈殿池やろ過池はコンクリートではなく、石組によって作られていて、一部は文化財としての指定もされているのだそう。
沈殿池もろ過池も壁面は斜めで、いわゆるすり鉢状です。のちに増設されたのは垂直の壁で、箱型の池。
後から増設された沈殿池にはエアレーターが設置されていました。熱帯魚などの水槽で使うブクブクの巨大なものを想像してもらえばいいでしょう。水に空気を送り込む装置です。
夏季は表面近くの水温が高くなって対流しなくなり、下層が貧酸素の状態になってしまうためです。
古い方のすり鉢状だと、対流が起こるので、エアレーションの必要はないのです。対流が起こっていることは、Sさんが若いころに池の中に入って確かめたのだそう。
作られた当時に、すり鉢状なら対流が起こることまで計算していたとは思えませんけれど、出来上がったものは100年後の現在においても「最先端」を行けるほどの素晴らしいものだったわけです。
この浄水場の見学に際して、ちょっと調べてみると、まだ全国のあちこちに生物浄化(緩速ろ過)の浄水場があることを知りました。
見学できるかどうかはわかりませんけれど、川崎市や名古屋市のような大都市にもあるし、関西にも意外とたくさんあります。
私の母校の大学のすぐ近くにも、所在は西宮市ですが、神戸市の上ヶ原浄水場があるんですね。
上ヶ原浄水場は、生物浄化と急速ろ過と両方の施設を持っているようです。生物浄化の方は1917年に完成した施設で、給水能力は急速ろ過のと同程度ですが、2003年から休止しているようです。
在学当時は全く知らなかったし、興味もありませんでした。今にして思えば、灯台もと暗し。あーあ。
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