弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

判事ディード 法の聖域 第22話 沈黙の侵略

2011年08月19日 | 判事ディード 法の聖域

判事ディード 法の聖域 第22話は沈黙の侵略(原題 Silent Killer)です。

Silent Killerというのは、運動ニューロン病の原因と主張されたmicrowaves
やイラク未亡人の死亡の原因と主張されている劣化ウラン(depleted uranuim)
のことと見ることができます。

今回のテーマは地方公共団体(council)や政府(government)の責任です。

権力的活動による個人の損害に対する救済の問題で、いわゆる行政事件といわれるものです。

今回はいろいろな職名が出てきますので、整理しておきましょう。

Attorney General  法務長官(国、政府の最高法律顧問、検察部門の最高責任者)
   Solicitor General というのも出てきました。これはAttorney Generalとは違います。
   字幕ではAttorney Generalと混同していましたが。
   Deputy of the Attorney General  です。
   Solicitorといわれますが実際はbarrister から選任されています。
  なお、Attorney Generalについては、単にAttorney という表現が多かったようです。

 Lord Chief Justice  2005年憲法改正法(Constitutionl Reform Act 2005。2006年
   4月3日施行)によってイングランドとウェールズの司法組織のトップとなりました。それまではトップが
   Lord ChancellarでLord Chief Justice は2番目に高いランクでした。
   首席裁判官と訳されていますが、控訴院長官という感じです。
   控訴院(Court of Appeal)の刑事部の長です。判事の配置や仕事の割り当てなども仕事の一つです。
  なお、Chief と省略していることが多かったようです。字幕ではChief をAttorneyと混同
  していることが多かったようです。ハーグの国際戦犯法廷にディードを送ろうとするのはChief であって
  Attorneyではありません。Attorneyにはそのような権限はありません。
   モラグがイアンに会った後、欧州刑事法廷の件をディードに話していましたが、法務長官ではなく
   首席裁判官の方からの頼みです。Chief と言っています。ディードはどうしてChief が自分に直接聞
   かないのかという具合です。

 Lord Chancellar もともと、Lord Chancellarには3つの主な役割がありました。
   ・ 司法組織のトップとしての役割  (司法)
   ・ Lord Chancellar’s Depertment の大臣 (行政)
   ・ Speaker of the HOUSE of LORDS(上院の議長) (立法)
  すなわち、司法、行政、立法という三権全部のトップだったのです。
   したがって、権力の分立の原理に反すると考えられ、2005年の改正により、
   司法に関するものはLord Chief Justice に、 立法に関するものは 新設のLord Speaker 
   に委譲されたのです。
    そして、行政部のトップとしてのLord Chancellar’s Depertment の大臣の
   役割に集中することになったのです。Lord Chancellar’s Depertment は
   Depertment of Constitutional Affairs(2003年6月12日)となり、さらに
   Ministry of Justice(2007年5月9日)となり現在に至っています。
   裁判官の選任や裁判所の組織・運営などについての権限を有しています。
   イアンはこの部門の事務方トップではないかと思います。
   ですから、モラグのハイコートジャジの選任に便宜を図ったのではないかと推測されます。

Ministry of the Home Office 内務大臣 ニールです。
    内務省は移民や旅券、楽物取締、犯罪、テロ、警察などを管轄しています。  
    2007年のMinistry of Justice(司法省)設立のときに、内務省の権限の
    一部(刑務所など刑の執行に関するもの)をMinistry of Justiceに委譲しています。
    いずれにしても、警察、犯罪などを通してMinistry of Justiceや
    Lord Chief JusticeやAttorney General と密接な関係があるわけです。

Master of the Rolls 記録長官
    Lord Chief Justiceにつぐ2番目のポストです。  
    控訴院(Court of Appeal)の民事部の長です。

イギリスの裁判所組織については末尾に図を載せておきます。
2009年10月1日の改正前と改正後です。参考にしてください。日本のような画一的な制度ではありません。
きっと理解が深まると思います。
なお、19回から22回までは、2006年1月放送です。

それでは、今回、気づいたことを述べてみます。

1 ブリッジズの件(運動ニューロン病)で、モンティは、ディードに担当させたいのです(あるいは自分は
  やりたくない)。ディードはなんだかんだと口実をつけて断ろうとしていますが、そこはモンティ。
  ティム・リストフィールドの名前を出せば、ディードが食いついてきました。しかしディードもさすがです。
  イラク未亡人の件を押しつけます。(後でわかったことですが、本当はモラグに期待されていたのですね。)
  それはそうと、ティム・リストフィールドについては、バロン殺人にかかわったとして何らかの処分があったと
  思っていたのですが、どうなったのでしょうね。また、何らかの裏の手をつかったのでしょうか。
  モンティも含めてティム・リストフィールドとは関わりを持ちたくないようですね。
  いずれにしても、イアンたちは、ディードはずしを画策しています。

2 その一つが、ディードを外国に追っ払ってしまうことです。
  ハーグの国際戦犯法廷にディードを送り込むことです。ディードは早速ジョセフ・チャニング判事と
  話をして情報を収集してしています。
  ディードが生き残っているのは、こまめに準備をしているからと思います。なお、この場面で
  Chief を法務大臣と訳していますが、間違いです。どこかで首席判事と訳していいましたが
  だとすると、この場面でも首席判事と統一すべきでしょう。 

3 ブリッジズの民事手続きですが、モンティはディードにdirections hearing を頼んでいます。
  公聴会と字幕にありましたが、違うと思います。
  日本にはないのですが、裁判前の手続きのようで、今後の進行をどうするかについての審理の
  ようです。
  カウンシルの代理人のジョージは2004年の高裁判決を例に法律上の根拠がないと主張し、
  これに対して、ジョーは電波塔の種類が違う(テトラマスト)等の説明をします。
  どうやらディードは高裁の判決にしたがうつもりはないようです。ということで、
  結局、本審理(full hearing)をすることになり、しかも原告の病状の進行状況から期日を早く
  入れることにしたようです。
  日本でも事実上こういうことがないわけではありませんが、大抵は電話とか書面とかで書記官を
  とおして事務連絡のような形でするだけですが、イギリスでは口頭で法廷で審理をするという
  ことのようです。つまり法廷中心主義ということがわかります。
  いずれにしても、この事前手続きで、不要な裁判をふるいにかけ、実質審理をする事件数が大幅に
  減少したようです。

4 原告の取下の申請に対するディードの訴訟指揮ですが、この程度のことは、当然のように思います。
  低電磁波の影響ですが、ジョージの危険性の証拠はないとの発言に、ニールが安全性の証拠もない、だから
  心配だというのが、あるいは本当のところかもしれません。
  いつものブラムズ教授の証言ですが、どの程度有効だったか疑問です。
  最後の爆弾証言(中止の助言を無視した)はこれだけでは決定的ではありません。  
  原告側の証人の神経外科医のマンスリッジですが、完全に逃げています。
  本来なら、被告側の女性証人のように、明確に言い切らなければいけないのですが、
  それができていません。
  ジョージの証人尋問は上手いと思います。
  マンスリッジが「政府が安全性に関し、長期的な検証をしていない。なぜだろう。」と答えていますが、
  多分これは、安全性の検証を望んでいない、あるいはむしろ逆の結果になることを恐れ(知って)て
  ということもあり得ます。これに対して即座に「安全だったからでは」と質問しましたが、答えをしていませんね。
  マンスリッジは安全とは思っていないのですよね。それで、委員会の監査役だったことを持ち出し、
  きっちりと回答させています。
  ただ、ディードの事前手続きで控訴判決に対するコメント(フリーズドライではない)などの訴訟指揮から
  何をやってもむなしいという感じになると思います。
  そういうジョージの気持ちがよくわかりますね。

  さて、ジョーがブリッジズの取下げを翻意させようとするときに、strongest case と言って説得
  していますが、新しい判断が出るのは、理屈以前に何とかしなくてはいう気持ちになるものである
  ことが、一番重要なのです。
  つまり、結論は決まっている。あとは如何に理屈を考えるかというものでなければならないのです。

5 原告が勝つか被告が勝つかは、このケースの場合はどちらもありです。
  おそらく、保守的な判事の場合は被告の勝ちとするような気がします。証明がないという理由です。
  ディードの理由は、生物物理学協会のレポートを根拠に最小限のテストしかせず、それでも健康上の
  問題の可能性があるときに、それでも新しいテクノロジーを採用するのは刑事問題になるほど
  無責任だという考えです。
  内務省などの技術の進歩に犠牲がつきものというような、人命軽視の考えが許されないことは
  事実ですが、どこまで責任を認めるかは、難しい問題もあると思います。
  ただ、カウンシル側のやり方は分譲所有者に事前の説明もなく、屋上の使用権を譲渡
  するなど所有者・居住者に対する軽視ぶりや、居住用のビルの屋上に建設しなければ
  ならないという必要性も認められないなど、17・6メガヘルツは特に危険だということは
  立証されているようですので、これらを考慮すると、ディードの結論は、正義にかなうように
  思います。
  ディードが控訴されたら、審理する判事たちの家族がこういうところで眠れるかと聞いてみれば
  いいというのは、尤もな気がします。

6 イラク未亡人ケースはどうでしょう。
  イラク未亡人の場合は、ブリッジズがカウンシル(自治体)であるのに対し、国(国防省)が相手で
  ある点と劣化ウラニウム弾という軍事機密に関するもので、より政治性があるという点で異なって
  いますが、公権力による損害賠償という点では同じです。日本でいえば国家賠償法に関するものです。

  ただ、問題は、イラクで発生したものであること、直接の被害者も原告もイラク人であることなど
  インターナショナルなので、裁判権の問題が生じるということのようです。
  こういう複数国家が関わる事件の裁判管轄がどこになるかは、法律的に大変難しいのです。
  専門的にいうと「conflict of law」と言って、まだまだ法律的に整備されていない分野なのです。
  私も個人的にそういう事例を扱ったことがありますが、考え方の問題で何が正解(理論的に正しい)
  とは言えないのです。

  ジョセフ・チャニング判事は、南アフリカのアスベスト事件の判例を根拠に、イギリスで裁判できる
  可能性がある(現地では実質的正義が行われないというような場合)と考えているようです。
  「forum non conveniens」と言っていました。
  「forum non conveniens」というのはラテン語で「「forum not agreeing」という意味だそうです。
  「便宜でない法廷」という意味で、英米法における国際民事手続法の法理で、管轄を有する裁判所
  であっても、この法理を理由として、訴状が拒否される場合があるという意味だということです。
  そうすると、これもどうやらストレートではないようです。
  だから、ディードはチャーリーに詳しくリサーチするように頼んでいるのです。そして、チャーリーが
  ディードに「イギリスで訴訟を提起する権利を認めたことは事実だ」でも「使えるかしら」と報告して
  いるのは、ストレートではないからです。
  なお、私の経験では、ズバリそのものの判例でない場合は、裁判官はやはり斜めに構えるようで、
  結構しんどい法律論が続くものなんです。

  ただ、南アフリカは確かコモンウェルスの一員で、イギリスと特別な関係があり、法律的にも
  例外的に宗主国であるイギリスの裁判所に上訴できるなどの制度があったと思いますので
  この判例があるからと言って、安心というわけではありません。
  だから、チャニング判事のいうように、長い長い法律論争が続く可能性があるわけです。
  訴訟をイギリスで起こすとなると、すぐに直面する問題です。
  しかし、主張の足がかりになる判例が見つかったことは、前進に向けての一歩です。

  ところで、モンティは、ファイルを見て深刻な問題だと思ったようですが、直ちに裁判を起こすという
  やり方では、失敗する、その前に「judicial review」をすべきとディードにアドバイスします。

  この「judicial review」(司法審査)という手続きは日本にないので、どのように考えるか
  難しいですが、若干、調べたことをもとに、私なりに、分析してみました。

  モンティが言っているのは、国防省(MOD)は、どうやら通常の審問で、劣化ウラニウムの使用を
  否定したようです(字幕ではこのあたりのことがわかりませんが、拒否したということが大事なのです)。
  MODが否定しているのに、劣化ウラニウムの繰り返し使用が直接の原因で死亡したと主張しても
  どうしてそういうことが分かるというのだ、というわけです。だからまず「judicial review」をすべきと
  いうのです。
  それに対し、ディードは「1998年法の判例はあるのか」と聞いているわけです。イギリスでは
  いつも判例は?となるわけです。
  モンティは、ある、イギリスの占領時のイラクで身内が死亡した事件について、欧州人権条約の対象外
  だとしたケースがある、だから「judicial review」をすべきだというのです。
  ちょっとわかりにくいのですが、「judicial review」が認められる場合というのは2つで、一つは欧州人権条約
  に該当する場合、もう一つは1998年人権法に違反する場合などです。
  モンティのこういう説明の仕方を考えると、この事例もストレートではないのだと思います。しかし、
  欧州人権条約に該当しないというのに「judicial review」が認められているというのは
  1998年人権法違反と認めたからではないかと言っているのだと思います。
   「may that quite clear」というのはそうではないかと思うのです。
  なお、「judicial review」を求めるときに、この1998年人権法違反というのは、迷えば兎に角、人権法
  違反を主張しておけば、さしあたりはOKというような、非常に使い勝手のよい便利は主張なのだと
  思います。

  その後、ディードはモラグに「judicial review」を担当してはどうかと勧めています。そのとき、MODの劣化
  ウラニウム弾の使用に関する調査(public inquiry)の拒否について見直しをしてはどうかと言っています。
  なお、その前段階としてモラグに行政裁判所(administrative court)のジャッジになったことを
  確認しています。
  「judicial review」というのは、administrative courtの管轄なのです。このadministrative court
  で一定の要件に該当することが認められ、 「judicial review」をするとの判断を得て初めて可能なのです。
   「judicial review」をするかどうかは、法律の定める条件がありますが、かなり裁判官の裁量による
  部分も大きいようです。
  なお、先ほどからMODの拒否(refusal)があったと何度も説明しているのは、行政機関による何らかの
  処分(disition)があることが前提だからです。処分(disition)があるから見直しができるわけなのです。
  こういうものの考え方はある種日本でもあるのです。
  わかりやすくいうと拒否したことが違法かどうかを審理するのが「judicial review」というわけです。
  私も日本の行政事件は詳しいのですが、通常の事件とは違って、訴えの利益がないということで、実体審理に
  入る前に却下されることが多いのです。日本では、普通の裁判所で、普通の手続きで行いますが、
  イギリスでは、事前に、特別の「judicial review」という手続きをしなければならないということのようです。

  結局、モラグは「judicial review」を認める判断をしました。ただ勝負はこれからで、見直しをした結果
  やはりということもあるわけです。でもさしあたりは一歩前進ということです。

7 例によってディードの裁判を中止させようとする妨害の謀議が執拗に続いていますが、それぞれ
  の立場が微妙に違っていて足並みが必ずしもそろわないのが面白いです。
  リストフィールドは例によって汚い手段です。イアンたちは、ディードを陪審員にするとか、ハーグの
  法廷に異動させるなど、信じられないようなことを考えているようです。外務省に責任が押し付けられるから
  いいなどのイアンの発想はいかにも役人的です。

8 モラグが異例の抜擢をされたのはイアンがスパイの役割を期待してのようですが、なかなか思い通りに
  いかないようです。
  イアンが法務長官に信頼できる判事がいるからと自信を持って言っていますが、そうではないようです。
  イアンがモラグの法廷を荒々しく出たことについて、モラグが文句を言っています。
  イアンにしたら恩を仇で返されたという感じでしょうが、モラグにしていみれば、自分はハイコートジャッジ
  なんだからというわけです。
  選挙の時には、有権者に頭を下げて一票をお願いしますが、当選すれば、自分のしたい放題をする
  政治家、特に菅直人の姿がちらっと浮かびました。
  モラグをadministrative courtのジャジにしたもの、おそらくイアンでしょう。
  administrative courtのジャジはハイコートジャジの中から選任されるのですが、名誉あるポストの
  ようですね。
  モラグがモンティに「所詮、小娘(just girl)の私に」と言っているのはそういう感じでしょう。
  また、同時にモラグのカマトトぶり?はちょっと印象的でした。

9 モラグはイアンのプレッシャーにもかかわらず、「judicial review」を決めてしまいました。
  法務長官のいうように戦争中だからと言ってすべてが秘密というわけにはいかないというのは
  正論です。
  モラグは、結構、芯のある女性ですね。
  特に、その法廷で、フセイン夫人がテロ防止法違反で逮捕されたことがわかったときに、即座に今後の
  審理に影響がないとして、「judicial review」を決めたことは印象的でした。
  実際、審理が始まってしまえば、代理人がいるわけですから、本人の不在や身柄拘束は法律的には何ら
  影響がないはずのものです。

  こうして外国のドラマをみていて勉強になるのは、ものの考え方についてです。
  今の世の中、法律や規則だけでは、現実の事態に対応できません。そういう場合は自分の頭で考えなければ
  なりません。いまやグローバル化の時代です。そういう中では、どこででも通用する価値観とか考え方の
  基準が必要です。
  イギリスでは、ジャジはもとより一般人も発想は柔軟です。ドラマの具体的な事件をフォローしながら
  考えられるのは、本当の勉強になります。

10 前々回で気がかりを述べましたが、マークの異常ぶりが表面化してきましたね。
  2人の将来に暗雲が??

11 チャーリーは、フセイン夫人の突然の逮捕が内務省の差し金だと聞いて、ニールのところに抗議に
  出かけます。ディードそっくりですね。この父にしてこの子ありですね。

12 フセイン夫人の逮捕がアメリカの要請であることがわかりました。もちろん、互いに緊密な連携を取って
   のことでしょう。extradutionの要請ということでしたが、また飛躍しますが、アサンジのスエーデン検察
   からのextradition請求のことが頭をよぎりました。
   こういう政府間の政治的思惑によるやり取りは結構あるのだと思います。

13 日本では、本来の審理もそうですが、directions hearingや「judicial review」をするかどうかなど
  の事前的な審理は大抵、書面のやり取りです。本来の裁判の審理も証人尋問以外はすべて
  書面のやりとりです。これでは、裁判官が何を考えているかわかりません。
  ですから、日本の場合は、判決を見るまでは、裁判官が何をどのように考えているかを知ることは難しいので
  す。ですから、そんな風に考えているなら、きちんと証拠を出して説明できたのにと思うことがしばしば
  あるのです。ある意味、判決で不意打ちをくらうということです。
 
  こうして、民事についても何回かイギリスの裁判を見てきました。法廷の場で、書面ではなく、口頭で
  議論すべきと思いました。
  そうすることで、裁判官の考え方もわかるし、相手方の考えもわかり、その場で、問題点を深めることが
  できます。真実の発見がやりやすいです。
  日本では、裁判官は何も言いません。だから何を考えているのかわかりません。そして、疑問点を深める
  こともせず、どうだといわんばかりに問答無用の判決です。これって卑怯なやり方ではないかと思います。
  そして、公開の場で議論することで、実力もわかります。政治家のような現実を無視した議論ではありません。
  証拠に基づいて議論するのです。
  裁判のやり方を口頭主義に変えることで、政治の場も、個人生活の場も、もっと透明性のあるものになる
  のではと思います。

  実際のところ、日本の法律でも口頭弁論主義なのですが、時間がかかるということで、形骸化しているのです。
  刑事事件では裁判員制度の採用などで、調書主義ではなく、法廷での生のやりとりで判断するように
  なっています。
  民事事件についても、同じ流れになってほしいと思います。

今回は法律的に難しいものでしたが、それだけに、おもしろかったし、勉強になりました。

最後に、イギリスの裁判所組織図を示しておきます。

ますは、2009年前のものです。ということはこのドラマの時代のものです。
(ペンギンライバラリーのLAW 辞書から)

 

現在の裁判組織です。インターネットからの引用です。
Supreme Court は全く新しいものです。