誉田哲也 著 光文社文庫 2023年 7月20日 1刷
6つの短編からなる。 まさにオムニバスで、ひとつひとつは別々の短編ながらまとまるときっちり1冊の優れた物語となる。
姫川玲子その人だったり、姫川玲子と組んで捜査や取り調べを行う相棒、、の心情吐露だったりで物語を進めていく。
なんといっても、姫川玲子のキャラクターに尽きると思う。
ストロベリーナイトからしばらく続いていた陰惨なシーンは . . . 本文を読む
澤田瞳子 著 文春文庫 2023年 6月10日 1刷
私にしては珍しく時代物を手に取ってしまいました。
舞台は比叡山のふもとにある比丘尼御所。その御所内の林丘寺。
比丘尼御所だの尼門跡寺院だの、分かるような分からないような(苦笑)
とにかく、格式の高いお寺で、普通の者は気軽にお参りなどできない場所でありながら、いろいろ問題を持った市井の人が駆け込んで悩みを打ち明ける場所にもなっている。
. . . 本文を読む
高里椎奈 著 角川文庫 令和5年 7月25日 初版
シリーズ2作目。
雨宮陽人 海星兄弟と、陽人(はると)の旧知の中である本木匡士(ほんもくきょうじ)=警察 の3人が活躍する《美と謎に満ちた骨董ミステリ》。 骨董ミステリって何だ?(笑)
そういう新分野があるのね(笑)
ずい分と読みやすくなったけれど、同じ著者の《薬屋探偵》シリーズとテイストは似ているように思う。
深山木 秋(妖怪) 座木( . . . 本文を読む
椹野 道流 著 角川文庫 令和5年 7月25日 初版
妖魔だの下僕だのという言葉が出てくるのに、なぜか椹野さんの作品はほっこりと温かい。
同じ著者の《最後の晩ごはん》シリーズにも通じる。
平安時代からの宿敵カギロイ(陽炎)が、今作でも出てきて妖魔の司野や、その下僕となった正路に害をなそうとする。
大学を2浪中の正路を司野の留守中に5歳児に変えてしまう。
妖魔のかけた呪は、かけた本人でしか . . . 本文を読む
阿川佐和子 著 中公文庫 2023年 6月30日 5刷
これ、新聞広告の文がとても良かったので、買ってしまったけれどちょっと思っていたのと違った。
勿論、阿川さんの本なので一定のレベルはあるし、面白かったけど。
ちょっと期待しすぎたのかも。
手元にあの新聞広告がないのでご紹介できないのが残念。
ただ、人生を変える歌、という章で書いていたのが、次郎物語の主題歌で、ああ、懐かしいな~と思いなが . . . 本文を読む
榎田 ユウリ 著 角川ホラー文庫 令和5年 7月25日 初版
シリーズ10作目にして、完結編。
ああ、終わってしまった。。。
著者はBL作品も書く人なので、ちょっとそういう部分も出てくるよね。
洗足伊織と青目甲斐児の関係とか、伊織を命を賭してまで守ろうとする芳彦の献身ぶりとか。
出だしが重苦しかったけれど、そして、伊織の不自由さには拍車がかかってしまったけれど、きっと妖琦庵には以前と変 . . . 本文を読む
山口恵以子 著 ハルキ文庫 2023年 7月18日
食堂のおばちゃんシリーズ14作目。
美味しそうなお料理と人情味あふれるこの世界観、大好きです。
今回ははじめ食堂の並びにある焼き鳥屋さんがやめて、その店の後にラーメン屋が出来るというお話からの広がり。
はじめ食堂で働いている皐のおじいちゃんも時々、店を訪れて食事をすることがある。
今作のタイトルはそのおじいちゃんの唯一?の得意料理でもある . . . 本文を読む
綿矢りさ 著 新潮文庫 令和2年 5月25日 5刷
たしかに、京都を舞台とした4姉妹の物語、細雪とも相通じるものがあると思う。
これは3姉妹だが、3人とも各々性格が違うし職場や大学院生という環境の違いはあるけれど、その描き分けもうまいなーと思う。
京都が舞台、というだけでちょっと身びいき的なところもある(笑)
京都に詳しい人や、住んでいる我々からしたら物語の背景の景色がよく見える(笑)し、季 . . . 本文を読む
夢枕獏 著 文春文庫 2023年 6月10日
百人一首って、ほぼ覚えていないのだけれど蝉丸法師の「これやこの行くも帰るも分かれては知るも知らぬも逢坂の関」は覚えている(笑)
なんとなく行く、帰る 知る、知らぬ、という言葉の調子が良くて覚えやすかったから。
もっとも一番好きなのは河原左大臣源融の歌だけど。
その逢坂の関が割と近くにある。
湖国方面に車を走らせていると、ああ、ここがそうなんだ . . . 本文を読む
はらだみずき 著 新潮文庫 令和5年 6月1日
入院中の祖母に頼まれて庭を見てきてほしいと、孫娘の真芽はかつて祖父母と暮らしていた懐かしい家に向かう。
祖母は花木が好きで、見事な庭を持っていた。
ところが真芽が訪れた時には庭はすっかり荒れ果てて、雑草が生い茂っていたり桜の樹が枯れて倒れそうになっていた。
家の中には入らないようにと言われていたが、真芽が入ったら家の中もひっくり返っているよ . . . 本文を読む
星 新一著 新潮文庫 令和4年 8月25日 79刷
画像にはないけれど、文庫には帯がかかっていて『どうしようもなく困ったらこの箱を開けてごらん』という文字が書かれていて、それがぱっと目に入った。
多分、この箱・・という部分をこの本・・・と読み違えたのだと思う(笑)
すごく大変な事じゃないけれど、小さなことがちまちま積み重なって、こんな私でも精神的にいっぱいいっぱいになってたんだなー。
. . . 本文を読む
山口恵以子 著 PHP文芸文庫 2023年 4月20日 1版4刷
穏やかでお菓子作りが上手な母親茜と、法律事務所に勤めるしっかり者の娘の七。
ある日突然、茜は医師の夫から離婚を言い渡されてしまう。
理不尽な要求に茜も七も傷つくが、茜の得意なバナナケーキとダークフルーツケーキを焼き、いろいろな幸運も重なって二人の名前をとった『アカナナ洋菓子店』をオープンする。
もちろん、トントンと良い事ば . . . 本文を読む
内館牧子 著 講談社文庫 2023年 4月14日 第1刷『今度生まれたら、この人とは結婚しない』と70歳の佐川夏江は自分がやり直しのきかない年齢になっている事に焦りやショックを受ける。著者と世代的にほぼ同じせいか、学生時代や職場、世間での考え方等、身につまされる(笑)うちの親も4大に行きたいと言うと、女の子が4大なんかに行くと縁遠くなる、というような事を言ったクチだ。もともと、短大の付属高校に行 . . . 本文を読む
原田ひ香 著 双葉文庫 2023年 4月15日 第一刷
『疲れた心と体にじゅわっと沁みる絶品オフィスご飯!』
完全に予想を覆された感じ。
『サラメシ』のような、オフィスのランチタイムを思い浮かべながら、ひ香さんの本によくあるハートウォーミングな物語を想像していたら、予想に反して重いものだった。
以前読んだ『ドライ』ほどの衝撃はなかったけれど、学生時代の仲間が作った超多忙なベンチャー企業で . . . 本文を読む
知念実希人 著 光文社文庫 2023年 5月20日 初版第1刷
これはコロナ禍以前の2016年に幻冬舎文庫から出ていたものを加筆修正が加えられて光文社から出たものだという。
2016年に、致死率95%の凶悪なウィルスが大流行して収束した世界を舞台にした小説を書いていたの???と驚いた。
日本でもコロナウィルスが広がり世界的にもパンデミックが宣言された時、人々は未知のウィルスを恐れ、ステイホ . . . 本文を読む