ギャラリー縄「しょう」

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ギャラリー縄コレクション

2007-12-04 | ギャラリー縄コレクション
小山冨士夫先生と永江港史先生



今年の夏から秋にかけて、訃報が相次ぎました。
8月には川瀬竹志先生、9月には二代川瀬竹春先生、10月は永江港史先生と
日頃筆の進まない私ですが、永年親しくしていただいた お三方の訃報に接し
さすがに感慨深く、様々なことが思い起こされます。

永江港史先生も、小山冨士夫先生に紹介していただいた、陶芸家のお一人です。
岐阜の花の木窯をお訪ねした ある日。 美濃焼を代表する「織部の一番
いい人はどなたですか」とお伺いしたところ「となりに居てる永江さんや」
とのお答えでした。
小山先生の花の木窯は、土岐の市街地から県道を北へ、大萱へ行く途中
県道より脇道にはいった、谷の突き当りにありました。
その間、民家は一軒のみ、それが永江先生の陶房でした。
さっそく永江先生のところへ行き、拝見した織部焼は魅力にあふれた
独特の焼き物でした。

永江先生の織部焼きは、細部まで目の行き届いた丁寧な作り、
端正でありながら柔らかな、品のある造形。
なによりも鉄絵の部分には長石釉がかけられて、志野のような緋色と
トロリとした肌合いを持ち、緑釉は草色で明るく、微妙な濃淡がある
志野と織部という相矛盾した焼成を、一つの器の中に具現した織部です。
そのような織部は伝世品にも、ごくわずかしか見られません。
唐津の西岡小十先生と同様に、ただ単に古い物を写し再現するのではなく
自身の美意識によって、古唐津、古織部以上のものを作ろうとした
現代陶芸の、作家としての姿勢、生き方、苦労を、お二人に見てきました。

永江港史先生は、知る人ぞ知る 織部焼の名匠ではありましたが
長年、食器造りに専念されて、展覧会の比較的少ない陶芸家でした。
そのせいもあって、名前を知っていても実物をあまり見たことが無い方
若い人では、名前も知らない方々が結構おられるようです。
あらためて、永江港史先生の陶歴をご紹介しておきます。


1926 岐阜県土岐市に生まれる
1955 父 陶六(多治見県立陶磁試験場工芸室に勤務)に師事
1961 松山祐利先生(武蔵野美術大学講師)に師事
1964 桃山古窯の地 五斗蒔に(市の沢窯)を築き独立
1972 日本橋三越本店工芸サロンにてグループ展(以降五回)
1977 大阪セントラルギャラリーにて個展(以降八回)
1986 京都 野村美術館にて作陶展
1999 織部焼にて土岐市の無形文化財保持者に認定
2002 日本橋三越本店にて個展
     ギャラリー縄にて個展
2004 ギャラリー縄にて個展
2007 10月 逝去


20年来、これで お茶を毎日飲ませていただいています
小ぶりの湯飲み碗です。
たまには お酒もはいります。











展覧会案内

2007-12-04 | 展覧会のお知らせ

   白から黒へ
高橋和也 展
-12月8日(土)


1978 神奈川県生まれ
1999 武蔵野美術大学短期大学生活デザイン科卒
2000 第38回朝日陶芸展 奨励賞
2003 白磁・青磁の世界ー板谷波山・富本憲吉から
     現代の軌跡ーに出品
2004 THE SHOW in NY (ニューヨーク)
2006 「磁気のうつわ展」に出品
     その他各地で個展

 

 

 

 

若くしてデビューした高橋和也さんの白磁には、鮮烈な印象がありました。
直線ないし曲線によってなる簡潔な形、ふつうならば無機的になりがちな
白磁が、むしろ妖艶ともいえる、不思議な魅力をかもしだしていました。
おそらく卓越した造形感覚と、成形技術のなせる技だと思われます。
この度は、白磁に加えて、新しい手法の黒釉銀彩も出品していただきました。
大阪では初めての個展です。