１６年

ミントの入ったバーボンカクテルをオーダーした後
彼女はバックから便箋を取り出し、手紙を書いていた。

隣にいてくれるのが当たり前だと思ってきた。
少しくらいわがままになってもいいかと思ってきた。
調子に乗って、その度合いもエスカレートして、困った顔見て満足していたの。
もっと、困ればいいからって、からかって。

でも、肝心な時にいつも居てくれた。

どうして、そんな大事なことに気付かずに、
バカなことばかりして、距離を置いたんだろう。
ちょっとでも一緒に居れたらが、もうちょっと一緒に居たくなって、
あともう少しになって、ずっとになって、いつしか当たり前で、最後は無い物ねだりの連続。
肩を寄り添える二人だったのに、私が一方的にあなたの肩に寄りかかっていたんだね。
それなのに、そんな私をあなたはずっと黙って受け止めていてくれた。
それがとても幸せなことだって、大事なことだってどうしてわからなかったんだろう。
そして、今頃やっとそのことに気付いた私を、無下に突き放したりしないで、
黙って抱きしめてくれたあなた。
それだけ愛してくれている。
幸せの波に埋もれている。
欠けていた思いやり。
新月から満月へと満ちていく月の光とともに、あなたへの思いやりと愛が私の中へも満ちてゆく。
愛に満ちた二人がひとつになって溶けてゆく。
きっと、この世で一番あなたを愛してる。
Love actually is all around。


手紙を書き終えた、
カウンターの上にきっと頃合良く「ミントジュレップ」が置かれていると思っていた。。。。

その頃、マスターはルースターに電話していた。
『おい、どうやって作るんだっけ？』