あるフォトジャーナリストのブログ

ハイチや他国での経験、日々の雑感を書きたくなりました。不定期、いつまで続くかも分かりません。

写真展のお知らせ 「テヤ・トランブレ ‐ハイチ大地震‐」

2010年09月23日 | 日記

写真展開催のお知らせです。2010年10月19日から29日まで、東京・新宿のコニカミノルタプラザで佐藤文則写真展「テヤ・トランブレ -ハイチ大地震-」を開催することになりました。
写真展名の「テヤ・トランブレ」とはハイチのクレオール語で、「地震」を意味する言葉です。直訳すれば、「地が揺れている」。その他にも、地震を表す言葉はあります。ハイチ人に確認したところ、地震を感じた時、「あっ、揺れている!」、そんな表現に近い言葉だそうです。
ハイチに到着したのは、地震発生から3週間後でした。1日でも早く、被災地を訪れ、取材をすることがフォトジャーナリストの仕事です。ですが、取材の依頼が相次ぎ、延期しました。残念ながら、ハイチの状況を理解し、説明できるのは、日本には数名しかいません。このような機会を利用して、地震前ハイチの状況を説明することも、自分に与えられた重要な使命と思ったからです。

ハイチに出発するにあたり、多くの人々から励ましと支援をいただきました。視察という形で仕事を下さったNGOのグループ、また個人や写真愛好家の方々からもカンパをいただきました。
支援をしてくださった方々への感謝の気持ちと、ハイチの1日でも早い復興を願って、写真展を開催したいと思います。

展示するのは、2010年1月と2月に撮影した未発表の白黒写真、約40点。皆さまのご来場をお待ちしております。

詳細は http://konicaminolta.jp/plaza/schedule/2010october/gallery_a_101019.html

ハイチ 災害救助隊が記した謎のマークの正体

2010年09月19日 | 日記

2010年10月19日から29日まで、新宿のコニカミノルタプラザで写真展「テヤ・トランブレ ハイチ大地震」を開催する予定だ。
展示する写真のキャプションを書いているが、どうしても分からない情報があった。ハイチ地震時、倒壊した建物の壁にはアイスランドの災害救助隊ICE-SAR(Icelandic Association for Search and Rescue)の捜索終了のマークが数多く残されていた。そのマークには、日時や生存者情報らしきものが記されているのだが、意味がよく分からない。それで、写真を添付し、ICE-SARにマークの意味をメールで尋ねた。数日後、私の写真を元に、図を使って説明した返事のメールが届いた。メールを送ってくれたのは、恐らく広報担当の人だろう。
「分からないので、担当者に尋ねた」と書いてあった。

上の写真は、写真展で展示する写真ではないが、マークがはっきりと記されているので、これで説明する。レオガンの倒壊した学校の塀に記されていた。ICE-SARの説明によれば、

K9(災害救助犬)によるSEARCH(捜索)。枠の中は、ICE-SARが、1月17日の15:00時から16:30時まで捜索したとの意味。枠外の左0は「生存者0」、右の0は「遺体回収0」の意味。上のGOの「入場」、下の?は、「行方不明者?」の意味だ。

これまで、様々な機関に問い合わせをしてきたが、これほど、迅速で丁寧な対応は初めてだった。後に知ったことだが、地震発生からハイチに一番乗りをした国際救助隊はICE-SAR。それも、24時間以内の到着だった。これは、ただの偶然だろうか。























新刊 『「戦地」に生きる人々 (集英社新書) 』 のお知らせ

2010年09月11日 | 日記


「これは遥か遠い土地に住む見知らぬ人々の悲劇ではなく、受け手である私たち自身の物語でもある」(「まえがき」)より

私が所属している日本ビジュアル・ジャーナリスト協会編の新書が、集英社から9月17日に刊行されます。

目次は、
まえがき 見知らぬ人々の悲劇ではなく 堤未果
序章 「閉ざされた声」を届けたい
第一章 チベット── 人々の祈り 野田雅也
第二章 ビルマ(ミャンマー)──辺境から見る軍事政権 山本宗補
第三章 マーシャル諸島──蝕まれゆく島で 森住卓
第四章 ハイチ──聖地の村で 佐藤文則
第五章 チェチェン──闘う女性たち 林克明
第六章 レバノン──境界線に生きる 豊田直巳
第七章 パレスチナ・ガザ──封鎖下に生きる人々 古居みずえ
あとがき
初出一覧


私はハイチの村スヴェナンスについて書きました。「聖地の村で」とあるように、ヴードゥー教で有名な村です。しかし、今回はヴードゥー教ではなく、村人の暮らしと過疎化の問題について触れました。ハイチ全土の村で、人口の増加と農業経済の不振から、農業を諦め、仕事を求めて都会に移り住む人々が増えています。
当初は、スヴェナンス村の話で終る予定でしたが、1月12日にハイチで大地震が発生。急遽、後半に地震の記事を付け足しました。地方と震災を受けた首都ポルトープランスは、今後のハイチの復興と未来を考えるうえで、けっして無関係ではありません。なぜ、死者23万人以上の大きな被害が生まれたのか、そして、なぜ130万人以上の人々が今でも、不便な被災民キャンプにしがみついて、生きてゆかなければならないのか。「聖地の村で」に、その答えが隠されています。

日本ビジュアル・ジャーナリスト協会は、私のようなフリーのジャーナリストの集まりです。今回は集英社のご好意で、メンバーの仕事を新書の形で発表することが出来ました。これからも、継続的な活動を続けるには、皆さまの力が必要です。9月17日前後に、書店に並ぶとおもいます。よろしくお願いします。

アマゾンで予約できます。

JVJA写真展「世界187の顔」のお知らせ

2010年09月05日 | 日記
私が所属しているJVJA(日本ビジュアルジャーナリスト協会)の写真展です。

日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)のメンバーたちは、生命が危機にさらされている戦場や飢餓、被災地や環境破壊など様々な現場を世界各地で取材し、伝えてきました。そして民族も宗教もことばも異なる人々の多様な営みも見つめてきました。
「世界187の顔」、これは今という時代を、この地球に生きる人々の顔を見つめなおしてみようという試みです。気候変動も、戦争も、自然災害も、遠くで起きているような出来事でも、すべては私たちの毎日に関わっているのです。
「世界187の顔」は、昨日の私たちであり、今日の私たちであり、明日の私たちなのかもしれません。人間の生きる多様な世界を想像し、隣人の心に触れていただければと願います。

[出品者] 山本宗補/豊田直巳/佐藤文則/古居みずえ/小林正典/森住卓/桃井和馬/綿井健陽/権徹/國森康弘/野田雅也


【期間】9月5日(日)~16日(木) 
【会場】信濃デッサン館(長野無言館内)
【住所】〒386-1213 長野県上田市古安曽3462 
http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/sys/20090914111443494.html
【開館時間】9:00~17:00