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日心小講演:田多英興先生

2010-09-26 14:33:21 | Weblog
今回の日本心理学会では多くの小講演が開催されました。

テーマ「まばたき研究の過去・現在・未来」
講演者 田多英興先生
日時:2010年9月22日(水)13:30-14:20
場所:大阪大学豊中キャンパスC203

このところ、博士学位取得者を指導教員が司会してという形態が多いようですが、本来の小講演のあり方とは少しちがうようにおもいます。

ポスター発表全盛の今日、50分もの時間をかけて一人で話しきるという学会本来の姿を知っている私たちには物足りない思いがしてなりません。

シンポジウムも然りで、90分か120分を4-5名で話し分けるのですから、一人あたり20分が限度。

聞いているほうが、話にひきずりこまれ、研究テーマに興味をそそられ、聞きほれるということがなくなってきたようにおもいます。

小講演とはそういう本来の学会口頭発表を知る参加者のためにこそあれとおもうのは私一人でしょうか。

で、写真でしめされているのは、まばたき研究の大御所である田多英興先生の小講演。
「まばたき研究の過去・現在・未来」と題した50分の怪気炎でした。

18世紀に逆戻って科学の歴史を振り替えり、まばたきの測定法からテーマなど面白く聞かせていただきました。

また、研究者の動機も今と余り変わらないのだなと改めてきづかされました。

20世紀に入ると、Ponder & Kennedy(1928)の歴史的論文が現れるのですが、きちんと整理されて、わかりやすいものでした。瞬目間間隔の分析から、人間の性格や気性、性差から社会的役割などに至る広範なテーマがこの論文には描かれていたのです。

Hall & Cusack(1972)の批判的レビューは、まばたき研究の質を高めるのに大いに役立ったとの評価。私も同感です。研究論文はたくさん出ていても、誰かが評価してくれなくては、本当に役立つ研究かそうでないか、分からなくなりますものね。

そしてSternら(1984)の内因性瞬目というタイトルの時代を画する名論文。SPRの会長講演としてなされた内容を論文としたものですが、私たち3人(田多先生、福田先生、そして私)の結束を強めてくれた最重要な論文でした。

私たちの活動もフォローしていただきました。日本心理学会のワークショップ「瞬目行動の研究」は、1986年が第一回でした。

1991年には「まばたきの心理学」(北大路書房)が出版され、翌1992年からは日心とは別にまばたき研究会がスタートしました。いずれも今に続き、日本心理学会の研究部会の1つとして継続・進化しつづけているのですが、そのあたりの話までしていただきました。

そして今後どう発展すべきか、などの残された将来へのテーマは、若手研究者の育成にかかっているとおもっています。

終わってからは、写真のように仲間が集い、記念写真としました。
いやあ、みなさんいい顔しています。

2010/09/26記


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