知り合いの話
その彼M氏も、実家から遠く離れて住んでいる母親がいるそうで
会いに行った時、その母親に、頼まれごとをしたのだそうだ
今度来るとき、実家に寄って、
勲章を持ってきてほしい
彼の父親は、生前、文化勲章を授与されていた
気は進まなかったが、仕方ないので、実家にわけを話し、
勲章を持って飛行機に乗ろうとしたら
手荷物検査で、それがひっかかった
係官は、ひっかかった荷物の中から勲章の入った箱を取り出し
中を見て仰天した
そして、M氏をじろじろとみて、
なんで、あなたがこんなものを持ってんの?
と訊いた
M氏は体育会系、綿シャツにジーパン姿でズタ袋を提げ、 無精ひげがちらほら ん~と…、ん、と…
どう説明したものかとつまるM氏
それが災いして、ますます疑惑の目を向けられたらしい
ちょっと、こっちへ
とうとう、別室に連れて行かれ
いわゆる、簡単な尋問を受けた
そんな人、滅多にいないから、
後ろに並んでいた人には注目を浴びたようで
あの人、何をやったの? 的な眼差しが
M氏に突き刺さった
文化勲章とジーパンは、かなり不釣り合いだったようだけど
仕事じゃないんだから、別にいいじゃない
なんか、かわいそうなM氏
ちなみに、M氏、普段は普通のサラリーマン
この手の話は、私にもある
父の納骨のため、飛行機に乗ったとき
さすがに、遺骨を預けるわけにもいかず、
さりとて、おおっぴらに持っているのもはばかられ
バッグの中に入れて、持ち込もうとした
画像をのぞいていた係官、仰天
さすがに、
なんで、こんなものを…?
考えてみれば、手荷物検査の係官って、大変だなあ
と、ひそかに同情した
遺骨見せられたり、怪しげな怪しくない人を疑ったり
いや、他の仕事だって、大変には違いないけどね
ふつーの主婦やってて、良かった!
その昔、仕事をしていた時は、
「不良主婦」とか「非主婦」とか呼ばれていたけど