教育基本法ね

教育基本法をさまざまな角度から視る

責任者不在体制

2006年05月23日 | 地教行法

 現在の、学校、自治体、教育委員会、文科省の関係を定めているのが「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(通称 地教行法 ちきょうぎょうほう)です。
 この法律を簡単に言えば、文科省が
「学校でこういうことをしたらいいんじゃないですか」
というと、教育委員会が
「文科省から方針が出たぞ。やらないわけにいかんな」
と実行するシステムなのです。
 判断し実行しているのは、あくまでも教育委員会であることになっています。

 そうしたら、教育全体で、いったい誰が判断し、誰が責任を負っているのか、わからなくなってしまいました。

 現在、ほとんどの人は、教育は文科省がやっているのだと思っています。ところが、これは事実と違うのです。正確には、公立小中学校の責任者は、市町村教育委員会です。文科省は、指導・助言している立場です。

 なにかがうまくいかなかったとき、このシステムは大問題を起こします。責任をもって対処するところがないのです。地方からすると、「言われたとおりやっただけなので、何がなにやら....」という立場ですし、文科省からすると「せっかく任せているのに、こちらのせいにされても困る」という立場です。

 日本教育では、形式責任者と実質責任者が分離しています。
 実行する人たちが、「なぜ、なんのためにそれをするのか」をよく理解していないのです。
 いろんな施策が失敗しやすいのは、このためです。
 文科省は、「ゆとり教育」で失敗しました。こんどは「学力」で失敗するのが目に見えています。どちらも、膨大な現場知が必要なものです。中央官庁が指揮してうまくいくような問題ではないのです。
(転載歓迎 古山明男)


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1 コメント

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まったくです (清水信之(狛江市議))
2006-05-25 05:53:01
まったく納得です。その無責任体制が問題だと小沢代表は党首討論で言いたかったのですよね。人事権は都道府県に握られ、予算権限もない、合議体で責任者不在のインチキ独立(?)行政委員会があたかも政治的中立や地方分権を装っているというシステムの「教育委員会解体論」を実行しようとしたのが、埼玉・志木市の前市長・穂坂邦夫でしたよね。
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