Re:SALOON & VBA

012:裸足

市街地を裸足になって歩き出す、心地よき不安、会社を辞めて



娘が息子の顔を蹴って、息子が泣き出す。
「お前のすることを弟が真似る、そうしてもいいと弟が思うんだ、あかんやろ」と家内が娘を責める。娘は、なかなか謝ろうとしない。
謝らないのは、級友が蹴ったりするからだろうし、ピアノのレッスンで母親から叱られているからだろうし、発端は弟だ、何んで自分だけ・・・と思っているのかも知れない。爆発したい気持ちが暴力になる。
叱るのは父親の役目なのかも知れないが、日頃の関係から、うちでは母親になってしまう。
僕では叱責の理屈が出てこないのだ、慣れていない。手が先に出そうになる。実際に叩くとかいうのではないが、激昂して乱暴になると思う、逆ギレの様に・・・。
ただ、無言で僕は泣き出した娘を抱きしめる役に回る。罪を憎んで人を憎まず。やったことはよくないが、君が嫌いな訳じゃないのだ。

フリーで働いていると、いろんな会社の人と仕事することになり、反って会社というものを考える。
外注(個人契約)に対するその会社の接し方というのもある。
使い捨てなのか、継続して、いい人材を確保しようとするのか。
今度の会社は、かなりユニークだ。(特にいい面を上げると)中途採用がかなり多い。それも、ポリシーに惹かれて入ってくる。上流工程志向、直請、長期(当然、運用も入ってくる)、系列なし、そして、外注を抱え込む。優秀な外注は、仕事が無くても継続して雇うこともあるらしい。会社に体力がなければ出来ない。

会社を辞めて二年になる。二年前は苦しかった。
だが、会社が嫌いだった訳ではない、恨みも無い。育てて貰った恩もある。
ただ、居場所が無かった。
上流工程の仕事(基本設計)は、滅多になかった(僕はしたことがなかった)し、純粋な直請けもなかった。いつも、ベンダーに絡まった仕事だった。危険性もないかわりに、真面に立てないことから、会社も伸びないし、社員も育たない。また、下流工程しかなければ、僕のような年配者は、マネージャになって、プロジェクトの管理をするしかなくなる。
で、僕は(マネージャとしての能力がなかつたので)居場所がなくなった訳だ。

自分の能力が高ければ、そういう上流工程の仕事が会社に来るようになるし、そうすべきだと言われる。そして、自己責任と言われる。
でも、果たしてそうなのか。
会社の流れが、下流工程のところを、上流工程の流れを作り出す才能は、並大抵ではない。
普通に、上流工程の能力があったとしても、会社の流れは逆流なので、二倍の実力が必要だと思う。
僕はそれをやれと言われたが(言ってないといわれるかも知れないが)、9回の裏に代走で出て、ホームランを打てと言われているようなものだと感じた。
僕は、それほどの器ではないし、また、そういう人物は、実は思い及ばなかった。
実際、僕の見てる範囲では、出来る社員がどんどん辞めて行かざるを得ない会社だった。
出来るとは、設計の出来る社員だったのだろう、管理のできる社員ではなかったのだろうけれど・・・。

会社員でなくなったので関係はなくなったが、会社員は会社での立場が常に念頭にある。
役職、ランクもあるし、職場での実際の上下関係、人間関係もある。
職場での仕事だけでなく、部門の運営(会議や教育、個人と会社の価値を高める活動など)もある。
僕にはそれらが無くなった。それは、気楽でもあり、淋しくもあり・・・。
また、収入面での保障はない代わりに、仕事を選べるという自由もある。

僕の辞めた会社。復帰というのはありえないと思っている。
また、今後、お世話になることもないと思う。
でも、今の同世代の社員達が、生き残っていける会社であって欲しいと思う。
僕は、残ることはできなかったけれど、基本設計の出来る会社になって欲しいと思う。
僕が、辞めなくて残っていればと羨む、悔やむ会社であって欲しい。心の靴を脱いで仕事できる会社であって欲しい。

近況報告
スナックでそこの常連のお客さんに、アリとキリギリスの石井さんに似てると言われたので、髪を切りました。(自分では、ユースケ・サンタマリアに似てないこともないかなと思っていたのですが・・・セノビーとは・・・?)
で、切ったら、髪の短い筧利夫さんかなっ?・・・と
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