陳 満咲杜の「為替の真実」

陳満咲杜のFXブログです。ブログ引っ越ししました。新ブログはhttp://chinfx.blog136.fc2.com/

クロス円相場を読む(四)

2007年10月19日 13時21分32秒 | クロス円の真実
当方の予測通り、ドル/円は117.94前後で頭打ち、反落して来た。それよりも、ユーロ/ドルの史上最高値がまた更新したことをよそに、ユーロ/円の軟調が示唆に富む。このような動きが続けば、私が丁々指摘していた「ドル安の受け皿として、円本来の役割を発揮してくる」というシナリオもますます有力視されよう。言い換えれば、目下の位置付けとして、クロス円相場の「バブル」が「終りの始まり」という段階に過ぎない。

さて、ユーロ/円をはじめ、クロス円相場の反落を当然視する根拠として、やはりテクニカルの客観的な検証が必要で、今回もこのような視点でRSIを使ったユーロ/円の分析を行う。

前回のクロス円相場を読む(三)では、年足におけるレートと移動平均線との距離を測り、相場の「行き過ぎ」を探った。このような方法はオシレーター系指標の基本となり、RSIを初め、オシレーター系指標も使い方次第、アナリシスにとって強力な武器となる。

上のチャートはユーロ/円の週足とRSI(14)を併用した図で、2000年10月から昨日までの値動きを表す。2000年安値を起点し、2005年安値を連結するサポートラインがきれいな右上がりのラインを描き、約7年間のブル相場を顕示してきたが、8月のSPショックを背景としてた急落で、このラインを一時ブレイクしたことを看過すべきではない、とRSIが示唆していた。

まず、2000年10月からの周期を三段階に分けられる。即ち2000年10月~2003年5月の上昇期と2003年5月~2005年12月の中段保ち合い期間や2005年12月以来の期間となる。今年7月まで、一貫してブル基調を維持してきただけに、週足におけるRSIも2001年5月以前の「離陸期」を除き、下限はほぼ38の数値を保った。2005年に一時36.21のレベルまで下げたものの、すぐ反転し、このからのブル相場を示唆した。前述のように、8月の急落でレートは一時長期サポートラインを割り込んだので、RSIの数値に照らして見ると、明らかにトレンド転換のシグナルを発していたと受け取れる。というのは、2003年5月~2005年12月の中段保ち合い期間と違い、2005年12月以来の強い上昇期間にいるにも関わらず、RSIが36.21を下抜け、34.30という異常な安値を記録した。図が示すように、RSIにおける7年間の「ベア・ライン」を切った以上、トレンドの転換が近いといった認識、或は警戒を持つのは当然の判断である。

また、当方が常に主張している「ファンダメンタルズが値動きの後を追随する」を証左するように、米サブプライム危機が表面化する前に、ユーロの翳りがすでに見え始めた。図のA、B点のレートと対照するRSIのA'、B'点に注目していただきたい。AよりBのレートは遙かに高かったのに、RSIのB'はA'よりかなり低い。この様な「背離」は「ダイバージェンス」と呼ばれ、早晩レートの急落を暗示するものとして認識されている。言い換えれば、ユーロの急落はテクニカル的な必然性を以って、あとの米SPショックが単に「引き金」となった蓋然性は高かったのである。

その上、もっと注意すべきなのは、SPショック以降、ユーロの揺り戻しが急速であったものの、せいぜい58ぐらいのレベルに留まり、図示の「ブル・ライン」を超えずにいる。2003年5月~2005年12月の中段保ち合い期間において、この「ブル・ライン」の抵抗意義に鑑み、ユーロの急反騰も限界があるものと読み取れた。

ちなみに、RSIの分析では、8月13日以来のユーロの急反発もある程度予測できたものの、やや複雑なので、ここでの解釈をとりあえず先送りしよう。

来週また台湾出張。向こうの投資者らは円買いには何の躊躇もなく、かつインカム・ゲインのスワップ金利を気にする方はあまりいない。投機行為なのに、キャピタル・ゲインとしてのレートの差額ではなく、スワップ金利に拘る「日本的」スタイルにはやはり違和感を感じる。

にほんブログ村 為替ブログ 為替投資情報へ


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (CLOUD9)
2007-10-19 15:49:58
陳様、こんにちは。
物凄く勉強させていただきました!
有難う御座います!

こちらこそ (陳)
2007-10-19 15:57:30
CLOUD9さん:
 今日は。いつも温かいごメッセージをいただき、誠にありがとうございます。
 CLOUD9さんのコメントを拝見し、素晴らしいセンスに感心しているところです。こちらこそ、勉強になった部分も多いので、今後ともよろしくお願いします。
いつもありがとうございます (あんず)
2007-10-19 20:28:30
陳さんのブログ、毎日読ませて頂いていますサブプライム以降、クロス/円はやらないと自分ルールを作ったのですが、たまに破ったりしていました。

陳さんのブログに出会ってからは、やっぱり円は、売り以外はやるもんじゃないんだ・・
と固い決意ができ、今は ドル売りとの通貨ペアを中心に取引しています。

おかげで、毎日、利益がいっぱい出せてます。
ありがとうございます。円としかやれなかった私が方向転換できました!

昨日はポンド/米ドル4枚ロングを決算させました♪感謝・感謝です。

G7の影響もありますが、今のクロス円レートを見てて、やっぱりやらなくてよかった。。。

と強く感謝です。円ショートだけちょっと参戦しました。円は、売りで利益だせそうな時だけやろうと思います。

後の○○/米ドルのポジションは、まだまだ温め予定です。G7あけの月曜日に期待しています♪

これからもよろしくお願いします。
〈長くなってすいません。〉
こんばんは (ペル)
2007-10-20 00:40:13
いいブログですね
お気に入りに登録しました
これからも、頑張って下さい
出張お気をつけて。 (弓吉)
2007-10-20 07:51:47
陳様・コメントされている皆様こんにちは。
毎度思うのですがこちらにコメントされている方々の
謙虚で勉強熱心な様、いつも感服致します。
自分も見習わなくてはと思います。

陳様が常々おっしゃられていた「117.94前後まで上がるリスクも残されている」の予測が結果的に見事に的中されていますね!!どう見ても円は理由もないのに過剰に売られ過ぎておりチャンスであったはずなのに
私自身その段階でショートする勇気が持てませんでした。
昨夜も流れは明らかに円高でしたが
昨日はG7を控えイベントリスクを取りたくなくて
ドル売りポジションも一旦閉じておきました。
今朝になって蓋を開けてみれば前面円高。
いつかの陳様の記事の「114.8割れ売りトリガー」の
水準も下回って来ており、G7後の月曜日からの取引でも
無論遅くはなくおっしゃるように終わりの始まり。クロス円むしろこれからだろうの予感が致します。月曜は様子を見ながら円買いの予定です。

ところでひとつ単純な疑問が解けません。
円高というのは日本経済にとっては相当にプラスなのでしょうか。私はある程度の円安の方が日本の輸出産業にとってはプラスだから行き過ぎない程度の円安の水準の方がメリットがあるとずっと思っていましたがどうなのでしょうか。小学生のような疑問ですが。苦笑

ご出張、またお疲れが出ませぬように
お気をつけていってらっしゃいませ。
ありがとう (陳)
2007-10-21 23:15:47
あんずさん、ペルさん、弓吉さん:
  こんばんは。コメント、ありがとうございます。自分の見解がすこしても皆さんにお役に立てれば、これこそ幸いであり、光栄に思います。
 ただ、一個人のストラテジーが必ず限界があるので、そのまま受け取る必要がないことや相場には「絶対的」なシナリオがないことをここで改めて強調して置きたいと思います。言い換えれば、私の考え方をあくまで参考程度で、絶対視してはいけません。取引の真髄はやはり「相場は相場に聞け」にあります。
 さて、弓吉さんの質問ですが、円安が輸出企業にプラスという事実には異議がありませんが、日本経済全体によいかどうかはまた別の視点が必要だと認識しています。かなりマクロ経済の知識が必要であるだけに、私の能力ではうまく纏められない恐れがありますから、元日銀総裁の著作「強い円、強い日本」の一読をお勧めします。目下の状況を限定して見れば、「円安バブル」に対する修正の途中であり、所謂「悪い円高」とのレベルには程遠いと思っています。
  では、台湾へ行って来ます。皆さんよいお取引を!