合衆国通貨1ドル、エリオット君、陳アソシエイツ会長就任記念紙幣
年末年始の恒例行事として、新年相場に関する見通しがマーケット関係者を慌てさせ、そして悩ませている。当方もいくつかのインタービューを受け、主な予測記事は「マネーポスト」と「投資の達人」(共に1月号)に載せていただいた。
東西、ジャンルを問わず、昨年年末から、当方もいろんな予測を随分読んできた。そのうち、もっとも「邪道」な予測は、なんとアメリカが2012年頃分裂し、内戦状況に落ちるというもの。同預言者は周りから当然のようにバカされているが、本人は全く意を介さず、自信満々で持論を展開している。
元KGBアナリスト出身の同預言者の主張はともかく、彼の言い分には感慨深い節がある。彼に言わすと、アメリカでは、最初ソビエトの崩壊を予測していた人物が周りからバカにされるどころか、全く無視されたようだ。というのは、当時殆どの専門家がソビエトの脅威と拡大に西側が対抗できず、資本主義の敗北ではないかとばかりに危惧していたから、バカしてやる余裕さえなかったからだ。(余談だが、知り合いの20代男性何人に聞いていたところ、彼ら全員がKGBを知らないし、聞いたこともないという。時代が違うとは言え、・・・・・・)
ジャンルが違うものの、相場に関するアナリシスの真実はどうやら一緒のようだ。即ち、専門家らは小さい変化を予測できたとしても、歴史的な転換点においては殆ど素人と同様に鈍感で不正解であった。また、圧倒的な多数派の関心事ほど圧倒的に予測された「あるべき姿」で現れない。
このような事態の発生は予測者の能力と関係なく(諜報機関にしても、金融機関にしても、アナリストらは高学歴のエリートから選ばれている)、予測の不確実性という永遠不変な法則にある。相場予測における不確実性の本質は日本のことわざ、「風を吹けば桶屋が儲かる」のように語られるファンダメンタルズにおける因果関係の複雑さだけではなく、原因がそのまま結果として新たな原因を作り出すといった因果関係そのものの複雑さにある。
最近の好例では、9日英中銀は50ポイントの利下げを断行、1694年同行設立以来最低水準まで金利を引き下げた。が、金利決定が伝われた後、英ポンドは下落ではなく上昇していた。利下げ幅が予想より小さかった、或いは「うわさの売りで、事実の買い戻り」といった「従来の解釈」が聞こえてきたが、的を射ているとは言い難い。英ポンドの大幅安が英中銀の金利決定に影響した、というニューアンスが声明文から読み取れたので、ショート筋が一斉に手仕舞いに走ったのはどうやら本当の引き金のようだ。
このように、本来原因である利下げ観測が英ポンドのレートを大幅に押し下げ、その結果自身が金利決定における判断基準となり、元の観測と逆の市況をつくる。そして、新たの市況は次のコンセンサスや予測に影響を与え、新たのレートをつくり出す。相場における因果関係はお互い絡み合い、どちら原因で、どちら結果なのかを断定的に言えないケースが多い。
年末年始の恒例行事として、新年相場に関する見通しがマーケット関係者を慌てさせ、そして悩ませている。当方もいくつかのインタービューを受け、主な予測記事は「マネーポスト」と「投資の達人」(共に1月号)に載せていただいた。
東西、ジャンルを問わず、昨年年末から、当方もいろんな予測を随分読んできた。そのうち、もっとも「邪道」な予測は、なんとアメリカが2012年頃分裂し、内戦状況に落ちるというもの。同預言者は周りから当然のようにバカされているが、本人は全く意を介さず、自信満々で持論を展開している。
元KGBアナリスト出身の同預言者の主張はともかく、彼の言い分には感慨深い節がある。彼に言わすと、アメリカでは、最初ソビエトの崩壊を予測していた人物が周りからバカにされるどころか、全く無視されたようだ。というのは、当時殆どの専門家がソビエトの脅威と拡大に西側が対抗できず、資本主義の敗北ではないかとばかりに危惧していたから、バカしてやる余裕さえなかったからだ。(余談だが、知り合いの20代男性何人に聞いていたところ、彼ら全員がKGBを知らないし、聞いたこともないという。時代が違うとは言え、・・・・・・)
ジャンルが違うものの、相場に関するアナリシスの真実はどうやら一緒のようだ。即ち、専門家らは小さい変化を予測できたとしても、歴史的な転換点においては殆ど素人と同様に鈍感で不正解であった。また、圧倒的な多数派の関心事ほど圧倒的に予測された「あるべき姿」で現れない。
このような事態の発生は予測者の能力と関係なく(諜報機関にしても、金融機関にしても、アナリストらは高学歴のエリートから選ばれている)、予測の不確実性という永遠不変な法則にある。相場予測における不確実性の本質は日本のことわざ、「風を吹けば桶屋が儲かる」のように語られるファンダメンタルズにおける因果関係の複雑さだけではなく、原因がそのまま結果として新たな原因を作り出すといった因果関係そのものの複雑さにある。
最近の好例では、9日英中銀は50ポイントの利下げを断行、1694年同行設立以来最低水準まで金利を引き下げた。が、金利決定が伝われた後、英ポンドは下落ではなく上昇していた。利下げ幅が予想より小さかった、或いは「うわさの売りで、事実の買い戻り」といった「従来の解釈」が聞こえてきたが、的を射ているとは言い難い。英ポンドの大幅安が英中銀の金利決定に影響した、というニューアンスが声明文から読み取れたので、ショート筋が一斉に手仕舞いに走ったのはどうやら本当の引き金のようだ。
このように、本来原因である利下げ観測が英ポンドのレートを大幅に押し下げ、その結果自身が金利決定における判断基準となり、元の観測と逆の市況をつくる。そして、新たの市況は次のコンセンサスや予測に影響を与え、新たのレートをつくり出す。相場における因果関係はお互い絡み合い、どちら原因で、どちら結果なのかを断定的に言えないケースが多い。