本アジサイの品種の一つのアナベルは、真っ白な装飾花が手毬状に咲くので、とても目立つ。両性花は委縮してほとんど目につかないという。少し黄色を帯びてみえる白の花の塊がいかにもアジサイらしい花の形とともに、アジサイ園のなかでもことさら人目を惹く。
(2019-06 東京都 神代植物公園)
アジサイ【アナベル】
学名…Hydrangea arborescens ‘Annabelle’
和名…アメリカノリノキ
科名…アジサイ科
属名…アジサイ属(ハイドランジア属)
原産国…北アメリカ東部
花色…白、ピンク
樹高…1m~1.5m
日照…半日蔭~日なた
アナベルは、北アメリカ東部に自生するアメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)の変種を品種化したアジサイです。
園芸品種として作出されたものではなく、イリノイ州のアンナ市の近くで発見された、野生のアジサイです。
通常のアメリカノリノキは小さな装飾花が花序の周囲に額のように付きますが、発見された変種は大きな装飾花を手毬状に咲かせるものでした。
この変種をオランダで選別・改良し、品種化したのがアナベルです。
アナベル花期は6月~7月。
花期になると、分枝した茎の頂部に半球状の花序を出し、小さな花を多数咲かせます。
花のように見えるのはガクが大きく発達した「装飾花」と呼ばれる部分で、雄しべと雌しべが退化しています。
雄しべと雌しべを持つ本来の花(両性花)は、装飾花の内側でひっそりと咲いており、花弁を持ちません。
花序は径20㎝前後、大きいものになると30㎝にもなります。
純白の装飾花が咲くのは6月~7月ですが、蕾から咲き進むにつれて変化する花色もアナベル大きな魅力の一つです。
蕾の頃は淡い緑、花が咲くと純白、咲き進んでいくと再び緑に変化し、秋にはドライフラワーのように乾燥した茶色になります。
花色は基本種の白の他、ピンク。
白花のアナベルと同じように、淡い緑→ピンク→淡い緑→茶色と、花色が変化していきます。