粗茶淡飯

中国・台湾・日本のお茶に関する色々。執筆者・徳田志保。

銀球茶(中国貴州省雷山県)⑤

2016-09-20 23:35:50 | 緑茶(中国茶)
最後は工場…

設備は旧式のものが多いのですが
基本、そんなに他と変わりません。



驚いたのはこの光景…。
炒り葉機にお箸を使って生葉を入れてるの、わかりますか?

おじさんが、独り、黙々とお箸を使って生葉を投入しているのです…まさに人力。
思わず私も数分凝視してしまいました。(苦笑)



熱源は石炭。
温度が固定できれば安定して良いのかもしれません。

お箸を持ったおじさんは、生葉を入れながら
音や香りで温度の確認もしていて、



炒り葉機のある部屋の外にいる女性は炒り上がったものをチェック。
その様子で石炭を増減していました。

この日、この産地についての話もありました。
元々中国の中でも貧しいことで有名なこの貴州省、
その困窮を脱するために茶業の推奨があったわけですが、80年代は国が浙江省から大量の龍井茶の種を送ってきて、この地で蒔き、発芽し、苗に成長したものを日本で言う、普及所みたいなところが配布していたそうです。その後90年代頃からは福建省から大量の苗が運ばれて配布されるようになったとか。

そこで思い出したのが8年前にこの地域を通りかかった時のこと。あれ?ここの土壌はお茶向きだなぁと、思った直後に茶畑が点在し始め、茶摘みをしているおばあちゃんに遭遇しました。

普通話(標準語)聴き取れるかなぁ?と心配しつつ
「ここのお茶は緑茶ですか?」
と聞いたら、笑顔で、コテコテの苗族訛りの普通話で
「龍井だよ!」
と話してくれました。
当時は、なんで貴州省で龍井なんだろう!?おばあちゃん、良いお茶は皆んな龍井茶だって思ってるのかなぁと思ったものですが、おばあちゃんは間違っていなかったことになります。(会ったらごめんなさいしないと…。)

雷山県には、他にも美味しい緑茶がありますが、
美味しいのは、画像のような作る人の勘どころが
工場の随所に生きていること、そして、この地に在来種の龍井茶がある…ということも一因なのかもしれません。

この、有名産地とはちょっと違う雰囲気のお茶作り。まだもう少し、のんびり感は続くでしょう。この大らかさは今の中国では立派な個性だと思います。

(終わり)





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