もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

締め切りという感覚24~異動の季節

2006-07-20 08:04:54 | 締め切りという感覚
 先日、業界紙ライターという仕事に絡めて書いている「締め切りという感覚」の中で、官僚達の人事異動に触れた。
 この季節、民間でも多くの人が動く。

 完璧な組織はなく、完璧な人間はいないわけだから人事に理不尽は付き物だが、それを全否定してしまえないのは、その真逆もあるからだ。
 システムの不完全さを縫って、上手く渡り歩く人は必ずいる。
 仕事という自己実現とのせめぎ合いにおいて、やる気、目標、居心地の良さなどのプラス面と、緊張、不安、挫折などのマイナス面をチャラにさせている人も必ずいる。
 結局、自力で走るだけでも、他力で走るだけでも満足や充実はなく、そのバランスなのだと思う。

 自分は、どうしても自力で走っているという感覚が足りない。今の場所が居心地が悪いわけではないが、他力によってもたらされた環境を、その枠内で楽しもうという限界を感じる。

 異動の季節には他人の人生の起伏が垣間見える。あくまで仕事上だが。今回、顔見知りの中で地理的に最も遠い場所に赴任する先は南米、最も高く役職の階段を上った先は大手企業の社長だった。

 南米への赴任が左遷ではなく、社長になることが成功でもないと映るのが妙味のあるところで、実人生に全肯定、全否定はない。

 自分はどこに行こうとしているのか、何を持って満足できるのか、取材をしながら自問する季節でもある。

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