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その2 アカシジミの災難

2013-05-19 | フィールドノート(多摩丘陵)
アカシジミというチョウがいる。通称ゼフィルスと言われるミドリシジミの仲間で、多摩丘陵では5月の末頃から見られるようになるのだが、今年は、ちょっと早く現れた。
ゼフィルスというのは、その名をギリシャ神話の【西風の神】ゼピュロスに由来している。成虫は、年に一度初夏に現れ、夏までには産卵し、一生を終える。産み付けられた卵は、夏、秋、冬を、ずっと卵のままで過ごし、春、木々が葉を広げる頃孵化し、一気に成長する。

5月19日。10人ほどの仲間を案内して、多摩丘陵を散策した。歩きだして、いきなりアカシジミが現れた。
早い…。こんなに早くに出会った記憶はないと思う。
帰宅後でこれまでの記録を調べてみたが、1994年に5月22日の記録が最も早いものだった。
しばらく行くと、また1頭。こちらも、羽化したての様で、翅はとてもきれいだ。そして、ついに3頭目、今度は散策路上を、不格好に翅を広げて歩く個体が現れた。まさに羽化したてで、翅がきちんと伸びていない様子だ。しかし、なぜこんなところに…。しかも翅が途中で折れ曲がっているように見える。ちょっと様子がおかしい…。

ところで、今日は当初雨の予報だった。だが、晴れの神がいたようで、予定通りの散策ができた。しかし、風は強めで、南風が木や草を揺らし、観察するには、ちょっと見づらい状況だった。この強い風が、どうやらアカシジミに、思わぬ災難をもたらしたようだ。

チョウは、羽化後、葉や茎に止まった姿勢で、翅に体液を送り込み、その重力を利用して、翅をきちんと伸ばす。しかし、強風に煽られたアカシジミは、翅が伸び切る前に地面に転落してしまったのではないだろうか。放っておくと、翅がきちんと伸ばせないと思い、木の枝をそっと差し出して止まらせ、その枝を道脇にさしてぶら下がれるようにしてやった。しかし、時すでに遅し、きちんと翅を伸ばすポジションをとってくれない。翅は折れたまま、すでに固まってしまっているようだ。あと1時間早く出会っていれば…。残念でならない。

結局、哀れなアカシジミを木の枝に止まらせたまま帰ってきた。ズキリ! ちょっと心がいた。
【西風の神】も、今日の南風には勝てなかったということか。


今年初めてのアカシジミ 2013-05-19 多摩丘陵


不格好な翅で散策路上を歩いていたアカシジミ


木の枝に止まらせてやったのだが…。良い姿勢にならなってくれない!


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