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金正恩の大暴走をロシアが手放しで喜ぶワケ

2017年10月18日 | 迫り来る危機
金正恩の大暴走をロシアが手放しで喜ぶワケ
米国には目障りな中国・ロシア戦線
http://toyokeizai.net/articles/-/179568

●北朝鮮が長距離弾道ミサイル(ICBM)実験を行ったことによる最も恐ろしい影響は、中国の習近平国家主席と、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、北朝鮮危機に対し共同戦線を張ることに合意したこと。この戦線の標的は米国。
●米国は「かつてないほど強いロシア―中国戦線に直面している。」
●「中国とロシアは、少なくとも朝鮮半島に関して、米国の北東アジアにおける戦略的支配を大幅に弱めたいと望んでいる。」
●「中国とロシアは北朝鮮を破綻させないようにし、あらゆる厳しい圧力から北朝鮮を守るだろう。」
●「習近平が、重要な地政学的価値がある北朝鮮を、米国の貿易譲歩と引き換えに放棄することを期待するのは甘い考え。」
●ロシアの北朝鮮政策は、米国による韓国内での軍事行動の中止と、中国と戦略的アライアンスの締結。

金正恩の大暴走をロシアが手放しで喜ぶワケ
米国には目障りな中国・ロシア戦線
(ダニエル・スナイダー : スタンフォード大学教授)より


北朝鮮が長距離弾道ミサイル(ICBM)実験を行ったことによる最も恐ろしい影響は、ミサイルが日本海に落ちたことではない。中国の習近平国家主席と、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、北朝鮮危機に対し共同戦線を張ることに合意したことである。もちろん、この戦線の標的は北朝鮮ではない。地域で軍事力を高めつつあるとして、中国とロシアが共に非難している米国である。

7日からドイツのハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)サミットを目前に控え、中国とロシアの首脳陣は、北朝鮮によるミサイル実験を理由に自分たちに有利に事を運ばせようと考えているに違いない。

中国とロシアによる共同声明は、緊張状態を緩和するため中国とロシアは「公正な」アプローチを講じているとうたっている。この概念は、中国版によれば、北朝鮮は核実験と弾道ロケット打ち上げの一時停止を「自発的に」宣言し、米国と韓国は「大規模な共同軍事演習」を中止するということだ。

トランプ大統領には打撃

この考えは、朝鮮半島から米国軍の駐留を実質的に拒否するものとして、米韓両国は以前から強固に却下している。

ロシア側はまた、終末高高度防衛(THAAD)弾道ミサイルシステムの韓国内の配備について継続的に反対する中国側を全面的に支援すると申し出ている。両国によって出された共同声明で、この配備は「ロシアと中国を含む関連地域の戦略的安全保障上の利益に深刻な損害を与える」とし、「ロシアと中国はこのシステムの配備に反対し、関連国に対しては配備プロセスを即座に中止するよう求める」と述べた。

ロシア専門の政治アナリストたちは、この新たな戦線は、ドナルド・トランプ大統領に北朝鮮問題を解決させようという企みが失敗したことを意味する、と断言する。また、これによってトランプ大統領はロシアとの関係改善をあきらめるよりほかなくなるが、米国のエスタブリッシュメントによる「仕組まれた関係後退」とアナリストたちは見ている。

北朝鮮によるミサイル発射後も、トランプ大統領はまだ、中国が「北朝鮮に対して厳しい姿勢を取り、このばかげた行為を今回限りで終わらせるはずだ!」と望みを抱いていた。

しかし、今の米国には(トランプ大統領以外に)中国に期待している政治家はほとんどいない。それは、トランプが必死になって習国家主席をフロリダに招いたときも同じだ。それどころかトランプ政権は、台湾への兵器販売の再開や、中国の違法な輸出に対して関税を増やすと脅迫するなどして、中国政府をいらつかせてきた。

ロシアが北朝鮮に近づく理由

こうした中、トランプ大統領はドイツへ向かう直前、「中国との協業はもはやこれまでだ。が、挑戦しなくてはならない」といらだちをあらわにしたツイートをしている。

いまや米国は、中国には頼れず、「かつてないほど強いロシア―中国戦線に直面している」と、アジア太平洋地域の専門家であるアルチョム・ルーキン・ロシア極東連邦大学教授は話す。

「中国とロシアは、少なくとも朝鮮半島に関しては、米国の北東アジアにおける顕著な戦略的支配を大幅に弱めたいと望んでいる」とルーキン教授は指摘する。 「北東アジアにおける軍事戦略的存在感を弱めるなど、米国が新たな安全保障体制に移行する準備をしない限り、中国とロシアは引き続き北朝鮮を破綻させないようにし、あらゆる厳しい圧力から守るだろう」。

同教授はまた、北朝鮮危機に中国が介入するというトランプ政権の考えをこう否定する。「習近平が、重要な地政学的価値がある北朝鮮を、米国の貿易譲歩と引き換えに放棄することを期待するのは最初から甘い考えだった」とルーキン教授は話す。 ロシアもまた、北朝鮮に関して米国と協力することはありえないという。

「ロシアはもちろん、北朝鮮の仲間ではない」と、プーチン大統領の「アジア回帰」を注意深く観察しているカーネギー・モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長は話す。「確かに金一族は強情で難しいが、ロシア政府は北朝鮮の指導者を『わけがわからないヤツ』だとは、実は思っていない。ロシア政府は、北朝鮮にとって核兵器は金体制存続のために必要なものだと理解している。おそらく金正恩は、サダム・フセインや、ムアンマル・カダフィの顚末を見てそう考えているのだろう」

トレーニン所長が5月に記したところによると、ロシアの北朝鮮政策は2つのことを目的として練られている。1つは、ロシアが恐れる米国による韓国内での軍事行動を止めること、そしてもう1つは、中国と戦略的アライアンスを締結することだ。

一方、中国にとって、北朝鮮は「地政学的重要性」を有している、トレーニン所長は指摘する。「中国との安定した協力関係、一種の主要国協約が確立しているというのに、ロシアにとって2次的な重要性しかない地域で中国との関係を悪化させるのはばかげていることだ」。

ロシア政府はこれまで、自らが北朝鮮危機の「仲裁役」になれると考えてきたフシがある。そして、北朝鮮との関係構築を視野に、ロシアの極東から北朝鮮への原油の輸出を増やすことでその影響力を増大させようとした。推定によると、3万~4万人の北朝鮮人が現在ロシアで働いており、サンクトペテルブルクでのワールドカップスタジアムなどの建設工事や、極東ロシアでの林業や農業に従事している。

抜群のタイミングで中ロ関係をアピール

しかし、これらの限られた支援によって、北朝鮮のパトロンとして中国が果たしている役割に取って代わろうという意図はない。

「現在の米ロ関係の悪化を考えると、米国、日本、あるいは韓国を喜ばせるような協力体制をロシアと中国が築くことは考えられない」とトレーニン所長は話す。「ロシアは対北朝鮮戦略について、すべて中国をまねするつもりはない。ただ、中国に不利益になるようなことは絶対やらないはずだ」。

こうしたロシアの戦略は4日、モスクワで示された。中国とロシアの首脳2人が、ガスパイプラインから増大する中国の対ロ投資まで大声で喧伝する一方、主要なメッセージは米国に向けられていた。G20サミット直前、という抜群のタイミングで。

金正恩が狙うのは、はるか離れた米国だが、今回放ったミサイルで勢いづいたのは、間違いなくロシアだったのである。

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