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お腹すいたよ。

おいしいものが大好きで、、、気が付いたらこんなお腹になっちゃった。食べたい。でも痩せたい。そんな日記です。

最後の晩餐 伝説の鯛めし 後編

2006-03-07 18:03:13 | グルメダイエット
初恋の人に逢えるような喜び不安で、どきどきしながら特急列車にのった。

三十年ぶりの再会。

瀬戸内海沿岸を走る列車から見る風景は広島の呉線から見える景色と似ていてどこか懐かしい。

林芙美子風。

夕暮れの瀬戸内海。

静かな夕暮れ。

波のない静かな海。

大型の船が静かにすすんでいく。

そしてそれを心静かに眺める私。

列車は静かに駅についた。

田舎の小さな駅。

当然スイカもイコカも使えないし、自動改札もない。

改札に立つ駅員さんに切符を渡す。

駅から歩いて八分と聞いていた。

教えられたとおりに歩き、難なく看板をみつけた。

店に入ると開店したばかりなのか、店内は静かで他にお客さんはいない。

目的の鯛めしを注文し、先に運ばれてきた生ビールで緊張をほぐす。

しばらくしてそれは静かにはこばれてきた。

夢にまでみた鯛めしと再会。

一人前の釜に入った、鯛をご飯と薄口醤油で炊き込んだタイプの鯛めし。

以前は大人数でいったからおおきなお櫃のようなものに炊かれたご飯と大きな鯛がのっており、仲居さんが器用に骨を取出し、よそってくれたように覚えている。

小さな釜に入ったそれは、見た目にはほとんど白飯と区別がつかない。

一人前だからなのか、十分ほぐされた身はご飯に絡み付く程度でごろごろはしていないのだ。

一口。

そして二口。

黙って黙々と食べる。

ほんのり鯛の味が薫る米。

神経を研ぎ澄まさないと見逃してしまうかもしれない。

意識を口の中に集中される。

あぁ、こんな味だったのか。

うーん、おいしいな。

一気に食べた。

ただ、濃い味付けに慣れた私には初恋の味は少しあっさりしすぎだったのかもしれない。

来月からシーズンインで鹿島の本店も再開するとのこと。


昔と比べ客足も遠退いていると帰りのタクシーの運転手がいっていた。

もう一度あの場所で確認したいな。

こんどは大人数で。

それまではまだまだ最後の晩餐にすることはできない。

逢わなきゃよかったとは決して思わないよ。

あの時、親父が私に食べさせたかった味(伝えたかったこと)に再会できたから。

こんどの墓参りで報告することがまた一つ増えたってこと。。。

そんなことを考えながら、静かにお店を後にした。



おしまい

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