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お腹すいたよ。

おいしいものが大好きで、、、気が付いたらこんなお腹になっちゃった。食べたい。でも痩せたい。そんな日記です。

上京物語 終章

2006-08-29 22:38:40 | グルメでもダイエットでもない
「おれ新幹線で帰ってもいいか?」宮田がポツリという。

「ええけど金あるんか?」

「・・・ないけど・・・」

「ないんなら仕方ないじゃん」なぜか一日で東京弁になった私が、ちょっとむっとしていう。

「はあ。もう二度と・・・」

「いうないうな。わしもおんなじこと考えよるよ」

そんな険悪なムードになったときだった。

「おー探したよー。お前ら、ここにおったんか。」

振り返るとそこにオジンがたっていた。

まさに神出鬼没。

「オジン!なんでおるんや。」

ここは東京駅。広島ではない。

「帰りの電車がちょうどお前らの行動と合うように、わしの最後の旅をしてきたんじゃ。」

オジンがにやりと笑った。

東京駅でオジンと再会するというサプライズと共に我々を乗せた列車は静かに動きだした。


「そういや、さっき最後の旅って言ってなかった?もう旅やめるんか?」

宮本が問う。

「いや、そうじゃない、今回の旅で一通り全国の列車に乗ることができたんよ。」

オジンは得意げだったし、何かを達成したせいか、輝いて見えた。

たった二日旅しただけで、もうすっかり辟易している私たちはなんと情けないことか。

「全国の鉄道を全部走破したってこと?ほんまかー?うっそーいうなや。」

半信半疑の私はどうせ冗談だろうと思っていた。

「ほんまじゃーや、ほんで今までノートに書いてた旅日記を本にするんじゃ」

オジンの発言をだんだんと信じ始める私たち。

「ええ、すごいじゃん。」
「ほんなら、わしらのことものるんか?」

口々にいう。

「まあ、自費出版じゃけ、わしの好きに書くんじゃがの」

オジンはすっかり作家気取りだった。

「ほんなら絶対載せてくれ!まじで載せてくれ!」

本に自分が載るという経験はなかなかないので必死だ。

帰りの列車はオジンも入れて3人。

多分二人だけなら口げんかだとか、無視して口も聞かないというのが関の山だっただろう。

今回の我々の珍道中を本に載せて欲しさに一生懸命オジンに話してるうちに、皆で笑いあい、そして気が付いたときには広島駅についた。

「お疲れさん。」

そういって別れた。

終わってみれば、この辛かった旅もいい思い出。

スムーズな旅ほど記憶に残らないものだ。

私はこの旅を決して忘れることはないだろう。


そうだ、オジンの本、今度実家に帰ったら押入れの中を探してみよう。

あんなにたくさん話してやったのに、たったの1行にまとめやがって。

結局何冊売れたんだろうな。

何気にネットで検索したところ、


「2万キロの軌跡 高校生のかいた国鉄全線完乗記」 高根茂雄


ナ、ナント、プレミヤ価格で古本屋で売っていた。
驚愕
http://w1.newgenji.co.jp/cgi-bin/search.pl?CID=1&ds=newsgenji02&sm=s&rc=50&of=1&gf=author&gk=高根茂雄&ff=1


終わり

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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終わりよければ (sin goto)
2006-08-31 17:58:56
すべて良し。ですね。

活躍しなかった楽器はいまだに東京駅のロッカーの中ですか?
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楽器は (いくじっと)
2006-08-31 19:06:00
ちゃんとつれて帰りましたよ。笑



見るのもいやで当分弾きませんでしたけど。
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