文や写真のブログ

思いつくまま書いた文やローカルな写真を載せています。

箴言集(ラ、ロシュフコー)

2013年04月26日 | 本と雑誌

1、人は決して自分で思うほど幸福でも不幸でもない。
2、この世で最も仕合せな人は、わずかな物で満足出来る人だから、その意味では、幸福にするために無限の富の集積が必要な王侯や野心家は、最もみじめな人達である。
3、我々に起きる幸不幸は、それ自体の大きさによってではなく、我々の感受性に従って大きくも小さくも感じられる。
4、人間の幸不幸は、運命に左右されると共に、それに劣らずその人の気質に左右される。
5、我々は、どちらかといえば、幸福になるためよりも
幸福だと人に思わせるために、四苦八苦しているのである。
6、人それぞれの運命がどんなに違うように見えても、それでもやはり禍と福の相殺といったものが存在していて、それが全ての運命を平等にするのである。
7、幸福とか不幸とかは、たいてい、すでに最も幸福な、もしくは最も不幸な人のところばかり重ねて訪れるものである。
8、我々は皆、他人の不幸には充分耐えられるだけの強さを持っている。
9、人は他人の欠点をすぐ非難するが、それを見て自分の欠点を直す事はめったにない。
10、自分の内に安らぎを見出せない時は、外にそれを求めても無駄である。
11、賢者は征服するよりも深入りしないことを得策とする。
12、葬式の盛大さは、死者の名誉よりも、生者の虚栄心の為のものである。
13、頭のいい馬鹿ほど、はた迷惑な馬鹿はいない。
14、頭がよくて馬鹿だ、ということは時々あるが、分別があって馬鹿だ、という事は絶えてない。
15、人生には時として、少々狂気にならなければ切り抜けられない事態が起る。
16、年とった気違いは、若い気違い以上に気違いだ。
17、我々は生涯のさまざまな年齢に全くの新参者としてたどり着く。
だから、多くの場合、いくら年をとっていても、その年齢においては経験不足なのである。
18、我々の自尊心にとっては、自分の意見をこきおろされるよりも、趣味をこきおろされる方がいちだんと
苛立たしく我慢出来ない。
19、慎ましさとは、妬みや軽蔑の的になる事への恐れである。
幸福に酔いしれれば必ずそういう目にあうからだ。
栄達を極めた人々の慎ましさは、その栄位をものともしないほど偉い人間に自分を見せようとする欲望なのである。
20、太陽も死もじっと見つめる事は出来ない。
21、小さな事に熱中し過ぎる人は、概して大きな事が出来なくなるものだ。
22、世間の付き合いでは、我々は長所よりも短所によって人の気に入られる事が多い。
23、よい結婚はあるが、楽しい結婚はない。
24、心中得意になる事が全くなければ、人にはほとんど何の楽しみもなくなるだろう。
25、我々が他人の美点を誉めそやすのは、その人の偉さに対する敬意よりも、むしろ自分自身の見識に対する得意からである。
だから他人に賛辞を呈している様に見える時でも、実は自分が賛辞を浴びたいと思っているのである。
26、人は普通、誉められる為にしか誉めない。
27、運命は理性の力では直せない数々の欠点を改めさせる。
28、優れた面を持ちながら、うとんじられる人がおり、欠点だらけでも好かれる人がいる。
29、短所でひき立つ人もいれば、長所で見劣りのする人もいる。
30、我々が自分の欠点を告白するのは、その欠点のせいで人から悪く思われた分を、率直さによって埋め合わせる為である。
31、誰からかいったん善いことをしてもらうと、その人に悪いことをされても甘受しなければならなくなる。
32、それ自体不可能な事はあまりない。
ただ我々には、ぜひとも成し遂げようという熱意が欠けているのである。
33、真の雄弁は、言うべき事は全て言い、かつ言うべき事しか言わないところにある。
34、憐みとは、多くの場合、他人の不幸の中に我々自身の不幸を感じる気持ちである。
それは、いつか自分が陥るかもしれない不幸に対する巧妙な備えである。
35、大多数の人の感謝は、もっと大きな恩恵を受けたいという密かな欲望に過ぎない。
36、謙虚は、誉め言葉を固辞する様に見えるが、実はもっと上手に誉めてもらいたいという欲望に過ぎない。
37、いったいどうして我々は、自分に起った事を細大もらさず覚えているだけの記憶力を持ちながら、同じ人にその話を何遍したかを思い出すだけの記憶力がないのだろう。
38、軽蔑すべき人間に限って軽蔑される事を恐れる。
39、我々は自分の実力以下の職に就けば大物に見える可能性があるが、分に過ぎた職に就くと、しばしば
小物に見える。
40、傑出した資質を持っているから、その人は偉いと考えてはならない。
彼がその資質をどう活かせるかを見るべきである。
41、友情においても恋においても、人は往々にして
知っている色々な事によってよりも、知らないでいる事のおかげで幸福になる。
42、我々の気分が穏やかであるか荒れるかは、生涯の重大事によってよりも、むしり毎日起きる細々とした事の運びが、思わしく行くか行かないかによって左右される。
43、若くても美しくなければ何にもならないし、美しくても若くなければ何にもならない。
44、女にとって地獄とは老いである。
45、中正穏健な裁判官における正義は、自己の栄達への執着心に過ぎない。
46、最も賢明な人々も、どうでもよい事においては
賢明だが、彼ら自身にとって最も深刻な事柄において賢明であるためしは、まずない。
47、自分は人に好感を与える、という自信は、えてして人を不愉快にする決め手になる。
48、真の苦行は全く人に知られる事のない苦行である。そうでないものは虚栄心によって楽になる。
49、賢者を幸福にするにはほとんど何も要らないが、愚者を満足させる事は何を以てしても出来ない。
ほとんど全ての人間がみじめなのはその為である。
50、国の中に贅沢にふけり過度の文明化があるのは亡国の確かな前兆である。
なぜなら全ての個人が自分自身の利益に汲々として、全体の幸福に背を向けるからである。

この箴言集は350年前、フランス人が書いたものですが、現在の日本人にも理解し納得できます。
350年の時を経ても、フランス人と日本人という人種が違っていても、人間の本質は何ら変わらない様です。
箴言640項目の内、短くて分かりやすい50項目を選んでみました。


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オールウェイズ(開高健)

2013年04月02日 | 日記・エッセイ・コラム

最近、「ベトナム戦記」や「オーパ」を書いた開高健の
単行本未収録全エッセイ「オールウェイズ」を読んでいます。
下巻の103ページに「誰でも50歳になれば自伝を書きたくなるという言葉を思い出してペンをとる事になった」とありました。
私が50歳の時は富士山頂上からパラグライダーで飛び降りることばかり考えていたので、自伝など全く考えてはいませんでした。
ところが私も65歳になり、かなりボケかけているので過去の記憶が無くならない内に、開高健をみならい
自伝的ブログを書いてみることにしました。
有名な小説家や芸能人や学者やノーベル賞受賞者、大成功し大金持ちになった会社社長などの自伝は
興味がありますが、私の様な一般庶民の自伝ほど
退屈で、くだらなくて、興味のないブログはありません。
そのため出来るだけ人目にふれぬよう去年の7月8日に書いたブログ「現代語裏辞典(筒井康隆)」の最後のほうに付け加えました。
自伝的ブログの内容のほとんどはくだらないものですが、少しだけ面白そうな内容を簡単に要約すれば次の様になります。
普通、人は病気になり痛みに耐える体験をしないと、
健康である事のありがたみは解りません。
普通、人は貧乏になり買いたいものが何も買えない
体験をしないと、お金の大切さを本当には解りません。
普通、人はグルメの本やグルメレポーターが取材するテレビ番組やミシュランの星の数などを参考にして選んだ有名店で食べて、おいしい料理に感動します。
私はその様な有名店には一切行きません。
どうしても、おいしい料理に感動したいなら朝飯も食わず、昼飯も食わず、プールで1㎞泳いでいつもの居酒屋「十三屋」に行きます。
600円のあん肝にビールから始まり、なす田楽、クジラ生姜焼き、ししとう焼き、玉ヒモ、菜の花からしあえ、最後は200円のミンチカツ(キャベツにマヨネーズ付)に雲海水割りを飲めば、間違いなくミシュラン3つ星の
料理より絶対においしいと思うのです。
有名店の高くておいしい料理を食べなくとも、自分を軽い飢餓状態にする事により下町の居酒屋の食べなれた、いつもの安い料理がとんでもなくおいしく感じる事が出来るのです。
普通、人は「幸せ」になりたいと日々努力します。
私はマイナス20度の極寒の北海道で胸まで雪に埋まりつつラッセルし、ライフル銃で倒したエゾ鹿の解体に向かいます。(今年の1月28日早朝)
その様な過酷な経験をすれば、何気ない日々の暮らしが幸せに感じます。
幸せになりたいと努力するのではなく、自分を過酷で
不幸せな状況に置くことにより何気ない普通の暮らしが幸せに思えるのです。
普通、人は「生きがい」を見つけようと日々努力します。
私は命がけの危険な趣味をして、死ぬかもしれないと覚悟を決めます。
死を身近に感じる事により、日々の何気ない生活の中で、花を見ても空を見ても雲を見ても「生きがい」を感じる事が出来るのです。
人はつらい体験をしないと感性を高める事が出来ないのです。
オールウェイズ下巻93ページに「安易な生活をしていると男は腐る。頭から腐っていく。それで腐りたくないので出ていく」とあります。


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