悪い種子 地獄へ行くぞ!大吾郎!

エロ満賀道雄がお送りする少し面白い話とマンガの話とか。なぜ? それは暇だからです。

とうとう『中学生殺人事件』を読んだ!!

2008年11月20日 21時00分12秒 | マンガ
この10年来、探しに探し続けていた川島のりかずの『中学生殺人事件』を読む事が出来ました。
といっても僕が手に入れたわけではなく所有している知人に読ませてもらったのですが、それでも感無量でした。だって10年探してたんだもの!

川島のりかずの作品はジャンル的にはホラーという事になるのですが、その他のひばり書房のホラー(リップウレモンまで含めても)とは明らかに違います。例えば幽霊やお化けが出る、古井戸のたたりがある、お母さんが蛇になる、大量のヒルに襲われる、生い立ちを語って最後に読者に向かって「君は死ぬ」と叫ぶ、といった怪奇譚は扱われません。扱ったとしても全く違うものになっています。ではどういうモノになっているかというと……発狂と殺戮、人間の内面の怖さがメインテーマ、という子供向けのマンガに描くには問題大有りなブツに仕上がっているのです。
『母さんが抱いた生首』では主人公の母親が女である自分と母である自分の葛藤の末発狂し情夫を殺戮(そして生首を抱く)、『悪魔の花は血の匂い』では富豪の娘になりすまし家を乗っ取ろうとする主人公兄妹と富豪家族が殺し合いの末発狂(家は浮浪者のたまり場に)、『呪いの針地獄』ではいじめっ子を呪い殺してたら自分も同じ死に方をする主人公(ママが少し反省)、というようにイヤーな読後感をもたらす作品をひばり書房にのみ残し消えていった唯一無二の漫画家、それが川島のりかずです。

そんな川島先生の作品の中で『中学生殺人事件』こそ最もレアで見つけられない、マスターピースと呼ぶべき作品なのです。いや、他にも持ってないのいっぱいありますが。
この作品の何が凄いって、まず当時実際起こった事件をすぐに漫画化しているという事です。まだ「実話ナックルズ」などがない時代にですよ。何を思ってマンガにしたのか今となっては知る由もありませんが、これだけで他の作家とは違うではありませんか。例えば今なら酒鬼薔薇事件をすぐに描き下ろし単行本化するようなものでしょうか。

実際の事件は、南野陽子ファンの中学生が彼女をレイプする計画を立てて、犯行後に家族に迷惑がかかる前に親を殺したというものだったと記憶しています。これはこれで酷い話ですが、『中学生殺人事件』の主人公はもっとイってしまってるというか凄い事になっています。
学校の成績が下がった事を父親に責められ、野球部でもチームから外され、家庭でも反抗的になっていく主人公ですが、「学歴など関係ない進路がある、それは芸能界だ」などと言ってさらに叱られます(当たり前)。
追い詰められ少しずつ壊れていく主人公はある日憧れのアイドル東野陽子の導きを得て「自分の世界」を作り上げる決意をします。その為には家族を殺してしまわないと……と殺戮に向かうのでした。この後は何ページも「ブス!」「ザクザク!」「ギャー!」という描写が続くのですが、全てが終わった後の「奴らの血はなんて汚いんだ」という主人公のセリフは子供に読ませちゃダメ絶対!な迫力に満ち満ちていましたよ。

この作品が川島の、そしてひばり書房の最後に出版した本になりました。たまたまでしょうが何か因果っぽくもありますね。そして川島の消息も知れないそうです。
ひばり自体は実はまだ倒産していないそうですが、ひばり書房の社長も音信不通らしいので復刻は難しいでしょう。
しかしヤフオクで高騰している現状もどうにかしたいので、いつか復刻して欲しいものです。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ケン)
2008-11-21 09:51:11
いやー私の大好きなジャンルです。この本、中野のまんだらけに売っていたような気が…
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まんだらけに (エロ満賀)
2008-11-23 15:14:27
たまに参考出品されるみたいです。
それでもン万円するようですよ。
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