エムのたわごと

年相応に病気になり手術、化学療法(抗がん剤)に放射線治療。
今は薬の副作用と仲良く暮らす日々の日記をのんびりと・・・。

抗がん剤の副作用・・・ブラックなたわごと?

2008-02-29 | ちょっと一言
抗がん剤の副作用の記憶を体がまだ覚えていた。

ラジオから聞こえてきた言葉の中に「・・・キセル・・・」という部分があって、
それを聞いた途端、体中が総毛立ち吐き気を催した。
「キセル」という語は私が投与を受けた薬名の一部分と同じで、
それが刺激になって、当時の記憶が体中を駆け巡ってしまったらしい。
このごろ年相応に忘れっぽくなってきているのに、
こんなことだけは覚えている体の皮肉なメカニズム・・・
無防備だった心身が、記憶に振り回されたのには驚くばかり。


手術~退院~経過観察の後に、
先へ向けて医師と相談しながら方針を決めた。
私の場合、抗がん剤の投与は点滴で。
2パターンの薬剤をそれぞれ複数回受けるのだけれど、
初回は入院しての点滴開始。

抗がん剤点滴開始のための入院2日目。
幾つかの薬剤を合計3時間にわたっての点滴。
病室のベッドで投与開始、看護士さんが頻繁に様子を観察に来た。
たいした副作用も表れず2泊3日の入院終了。

しかし、
家に戻った夜から体中の違和感。
どうにも表現しようの無い状態が一晩中続き、
翌朝、家族が出勤後しばらくたった頃からそれは始まった。

重い箱を乗せられたような痛みが襲ってきた。
「重い箱」は短時間のうちに「象」へと変わり、
しまいには「戦車」にでも轢かれているかのような痛さ、苦しさが間断なく続く。
骨が砕けてしまいそうなすさまじい痛みの中で病院に電話を入れた。

ところが私の訴えを聞いた結果、電話の向こうから返ってきた答えは、
「病院に来ても処置のしようが無い」
・・・だから
「鎮痛剤を服用して家で休んでいるほうが体の負担は少ない」
・・・とのこと。
冷静に判断すればそうなんだろうけれど・・・
鎮痛剤の効果もまったく得られず、
息を殺しての我慢は3日間も続き、
その後、2日間をかけて徐々に収まっていった。

2回目の点滴を受ける日に医師の診察を受けたのだが、
あの痛みを理解してはもらえなかったと感じた。

結局、薬への反応が強く出てしまう体質ということで、
3週間に1度点滴する予定だった薬液の量を1/3に減らし、
1週間に1度というやり方に変えて様子を見ることになった。

この、身をもって体験した苦しさから学んだことは、
「我慢強い」という私の数少ない長所の1つは、
こと病気に関する限りしまっておいたほうがいいのではないかということ。
あの日、
激痛をこらえて、
出来るだけ冷静に正確に自分の症状を伝えた電話が間違いだったと思えてならないのだ。
たとえ結果は変わらなかったとしても、
電話なんかせずタクシーか救急車で病院に行っていれば・・・
ベッドの上で、のた打ち回る様子を見てもらっていれば・・・


さて、この暴論をあなたはどう考えるだろうか。


模範的な患者としての発言ではないと思うけれど、
やはりこれがあの経験で感じた私の本音。
「エム」は「ブラック・エム」に変身~とでもしておこうかしら・・・

写真:
エドガー・ドガ作/「手袋をした歌手」  黒い手袋が印象的!



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (一条綾香)
2008-03-03 21:51:31
点滴を受けているときは、
己が内部を侵食されていく感があります。

氷のようなそれが、じわじわと私の内部を駆け巡っていくのを感じながら、
私の身体は徐々に凍てつき死者のそれになります。

己のものではない凍てつく熱を注入されていく、
恐怖にも似た感覚。
でもそれは、生きていくために必要な行為であって。

点滴を受けるたびに、私は、
死と生の双方を体感するのです。
返信する
一条綾香さんへ (エム)
2008-03-04 02:45:26
一条綾香さんの思い、とてもよく分かります。

張りのあるその声、活動的な日々の陰に、
シリアスな時間が潜んでいるのだということを改めて知りました。

やっぱり、じっくり語り合いたいです。

早く、雪が溶けて外出しやすい路面になりますように!
返信する
Unknown (一条綾香)
2008-03-04 15:17:20
はい、じっくり飲みたいです(笑)
返信する
一条綾香さんへ (エム)
2008-03-13 04:06:26
ええ、しこたま飲みましょう(笑)
返信する