抗がん剤の副作用の記憶を体がまだ覚えていた。
ラジオから聞こえてきた言葉の中に「・・・キセル・・・」という部分があって、
それを聞いた途端、体中が総毛立ち吐き気を催した。
「キセル」という語は私が投与を受けた薬名の一部分と同じで、
それが刺激になって、当時の記憶が体中を駆け巡ってしまったらしい。
このごろ年相応に忘れっぽくなってきているのに、
こんなことだけは覚えている体の皮肉なメカニズム・・・ . . . 本文を読む
ずっと、Aさんという人に会ってみたいと思っていた。
人を魅きつける方だと人づてに聞いていた。
先日やっと、
その機会を作ってくれる人が現れ、おかげで初対面!
Aさんの人をそらさない会話の中にあふれる情熱、ざっくばらんで人懐こい瞳・・・
仕事抜きの、この自由時間は本当に楽しかった。嬉しかった。
なかでも、いちばん嬉しかったのは、
Aさんが時計を見て、「お、時間だ」と言って薬を出した時だった。
「 . . . 本文を読む