lunas rotas

いつまでも、完成しないことばを紡いでいこう

「ドナルド・キーン自伝」

2011-07-01 02:54:49 | Weblog
  自分が大学を卒業した翌年、西新宿の高層ビル街でドナルド・キーンさんが歩いているのを見て、友達と話しかけてみようかどうしようかと迷っていたら見失ってしまった経験を思い出す。

  標題の本を読んだ。文庫本「ドナルド・キーン自伝」。戦時中の日本語教育が垣間見えたり、日本文学がドナルド・キーン氏によってどんなふうに欧米で紹介されていったのかが少し分かる。この方が日本文学を世界に広めてきた力はすごい。だけどそのすごさを気負わずサラリとやっているようで、それがまたすごい。というか、本当に好きでやっているのだなと思わせられる。と同時にこの本を読んで思ったのは、ドナルド・キーンさんってかなりの変わり者だろうということ。そして、80歳をすぎて自分の人生を振り返る自伝を書くときに、さまざまな出来事よりも、人との触れ合いや友人たちとの交流についてばかりが書けることに羨ましさのようなものを感じた。