3月議会で問題になった保育士無許可組合活動についての
第三者委員会報告 ↓ ↓
吹田市第三者委員会の調査報告書について
標記のことについて、本日、吹田市第三者委員会から市長に対し、調査報告書が提出されましたので、下記のとおり報告いたします。
記
1 吹田市第三者委員会について
? 設置目的
吹田市職員労働組合保育所支部の未届けの勤務時間内の組合活動及び当該活動に係る組織管理上の問題点を調査審議し、市民に対する本市の説明責任を果たすため、本年5月18日に設置されました。
? 構成
・ 委員長 弁護士 畑(はた) 守人(もりと)
・ 委員 弁護士 塩路(しおじ) 広海(ひろうみ)
・ 委員 関西大学法科大学院教授・弁護士 川口(かわぐち) 美(み)貴(き)
・ 委員 弁護士 堀(ほり) 政(せい)哉(や)
・ 調査業務補助員 弁護士 岨中(そわなか) 良(りょう)太(た)
・ 調査業務補助員 弁護士 張(ちょう) 泰(やす)敦(のぶ)
・ 調査業務補助員 弁護士 高橋(たかはし) 映(え)美(み)
2 吹田市第三者委員会の活動内容について
? 調査及び検討の対象
ア 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間において、保育所支部の執行委員長等の役員が勤務時間内に労働組合活動を行っていた事実の有無
イ 勤務時間内に労働組合活動を行っていた事実がある場合には、その内容、経緯及び法的評価(職場離脱の適法性、職場離脱時間中の給与の支給の適否)
ウ 上記イにおいて違法であると評価される場合には、違法状態が生じた原因、吹田市の組織管理上の問題点及び今後取るべき措置に関する提言
? 調査方法
ア ヒアリング調査
保育所支部執行委員19名、市立保育園等の園長等20名、市当局の管理者(総務部長等)9名及び市職員労働組合の役員1名を対象に実施しました。
イ アンケート調査
調査の対象となる執行委員のうち、27名については、ヒアリング調査に代わるアンケート調査を実施しました。
ウ 資料調査
必要に応じ、本市が保管する資料の調査を行いました。
? 活動時間 8回の会議を含め、延べ約280時間の活動を行いました。
3 調査報告書の要旨について
別紙のとおりです。なお、調査報告書の全文については、市のホームページ(新着お知らせ)に掲載します。
4 本市の今後の対応について
調査報告書の内容を踏まえ、適切に対処してまいります。
1 吹田市職員労働組合保育所支部の執行委員会については、昭和54年ころ、吹田市当局(保育園課長)によって勤務時間中に職務専念義務免除申請不要の有給扱いで開催することが認められた(当初は月1回)。その後、順次回数の増加が認められて、平成7年ころ以降は、所属長(園長)の口頭の了承のみによって、原則として月3回、定例的に開催されるようになった(通例、第一火曜日及び第二水曜日にそれぞれ午後2時から、第四水曜日は午後4時30分から、いずれも勤務時間終了後まで継続)。
この開催状況は、平成24年2月まで、ほぼ変わらなかったが、保育所支部は、平成24年3月以降、勤務時間中の執行委員会開催を取りやめ、勤務時間終了後に開催するようになった。
2 平成23年度に勤務時間中の保育所支部執行委員会に出席したことがある職員数(退職者除く。)は合計45名、職場離脱回数は合計602回、職場離脱時間は合計1590.08時間、職員1人・1か月当たりの平均(勤務時間中の執行委員会開催が取りやめられた平成24年3月を除く。)では、職場離脱回数2.16回、職場離脱時間5.69時間であった。
3 保育所支部執行委員会の勤務時間中の開催については、条例の定める要件を手続的にも実体的にも満たしておらず、法令違反の職場離脱であると評価せざるを得ない。
また、適法な交渉以外の労働組合活動について給与を支給することは法令の規定により禁じられているから、対象執行委員らには、上記時間中の給与を受領する権限はなかった(不当利得)というほかない。
4 本件の発生原因としては、労働組合に毅然と対応できない風土、職務専念義務等に対する認識の低さ等があったのではないかと考えられる。
また、本件からは、①判断権限を有しない者による勝手な判断、②上司に対する報告・相談が不適切、③法令違反等を客観的に検証する仕組みが不十分で、内部監査も十分機能していない等の組織管理上の問題点が窺われる。
5 法令違反の職場離脱をした執行委員らに対しては不当利得の返還を求めるのが相当であるが、その対象・範囲については、時効期間や証拠資料の有無・内容、回収の可能性、回収コスト等、諸般の事情を総合考慮し、合理的な範囲を決すべきである。
6 関係者に対する措置については、法令違反の職場離脱を行った保育所支部執行委員、これを許してきた直属の上長である園長、及びこれを漫然と放置していた管理者は、地方公務員法第29条第1項の懲戒事由に該当するものであるが、処分の当否及び内容については、現時点で引き続き勤務中の者に対して、証拠上認定しうる各人の具体的な関与状況及びその落ち度や悪質性の程度、原状回復(給与返還)に対する協力の有無、過去の類似事例における処分状況等を総合的に勘案するなど、慎重な検討が必要である。
7 組織管理上の措置としては、極めて基本的な事項であるが、「公金から給与の支払いを受けている」ということ等について、今一度基本に立ち帰り、職員の意識改革を図るとともに、職務の遂行方法に関する基本原則を徹底する必要がある。
また、新たに内部基準等を定めた場合には当該基準等を所管する部署が自らその実施状況を調査・確認することを定例化するほか、法令違反等の有無を客観的に検証するため、外部監査制度の導入等も真摯に検討すべきである。