読売社説から 教師を足で蹴って逃げた子どもに対し、胸元をつかんで壁に押し当て大声で叱った。その行為を「体罰にはあたらない」と最高裁が判断したのは妥当な結論だろう。熊本県の小学校で7年前、教師が2年生の男児にした行為は、学校教育法で禁じられた体罰か。それが民事訴訟で争われた。体罰と認定して賠償を命じた1、2審に対し、最高裁は請求を退けた。 相手が教師であればもちろん、友だちでも蹴ってはならないことは本来、家庭がしつけておくことだ。教師が毅然とした態度で、厳しく指導したのは当然だろう。最近は、児童生徒に友だち感覚で接したり、度を越した悪ふざけや暴力的言動を見過ごしたりする教師の存在も指摘される。あくまで教える側と教わる側であることを、忘れてはならない。児童生徒の暴力行為が増加傾向にある。文部科学省の調査では、2007年度の発生件数は小中高校いずれも過去最高だった。対教師暴力は06年度より500件以上増え、7000件近くあった。生徒や保護者が教師らに対し、「クビにしてやる」などの暴言を吐くケースもある。こうした言動萎縮することなく、厳格な姿勢で臨むことが必要だ。 06年に教育基本法が改正され、「学校生活を営む上で必要な規律を重んずる」ことが明記された。07年には、政府の教育再生会議が第1次報告で、体罰とそれにあたらない行為を区別した終戦直後の通達の見直しなどを求めた。これらを受け、文科省も、教師が児童生徒の暴力行為から身を守るため、やむを得ず力を行使するのは体罰にあたらないことなどを明確にし、通知を出した。一方、教師による体罰もそれほど減ってはいない。07年度、体罰によって懲戒処分などを受けた教職員は、約370人いる。最高裁判決は、今回の行為が教育上適切だったと認めたわけではない。判決が「やや穏当を欠く」と指摘したように、教師が手を出すことは、児童生徒に恐怖心や反抗心を生みかねない。児童生徒を温かく見守りつつ、やってはならない行為には厳しい態度を示す。バランスが大切だ。容易ではないが、それこそプロの教師に求められる力量だろう。熱意があっても技量の追いつかない教師や、指導の難しい子どももいる。だからこそ、校長ら管理職や教育委員会の支援が欠かせない。保護者や地域住民の理解と協力を求めることも重要だ。
(2009年4月29日01時37分 読売新聞) 私は昨年12月の定例市議会でこの件に関連する質問をしました。
長くなりますが興味のある方はお読みください。
問題を起こす児童、生徒に対する指導について。
平成19年2月5日に文部科学省初等中等教育局長通知で、学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方に一定の見解が示されました。
この背景には、いじめ、校内暴力を初めとした児童、生徒の問題行動は、依然として極めて深刻な状況にあり、いじめにより児童、生徒がみずからの命を絶つという痛ましい事件が相次いでおり、児童、生徒の安心、安全について国民間に不安が広がっています。また、学校での懸命な種々の取り組みにもかかわらず、対教師あるいは生徒間の暴力行為や施設、設備の毀損・破壊行為等は依然として多数に上り、一部の児童、生徒による授業妨害等も見られます。さらに、学校の秩序を破壊し他の児童、生徒の学習を妨げる暴力行為に対しては、児童、生徒が安心して学べる環境を確保するため、適切な措置を講じることが必要です。このため、教育委員会及び学校は、問題行動が実際に起こったときには、十分な教育的配慮のもと、現行法制度下において、とり得る措置である出席停止や懲戒等の措置も含め、毅然とした対応をとり、教育現場を安心できるものとして、この目的を達成するため、問題行動を起こす児童、生徒に対し、毅然とした指導を行うよう通知したものであります。体罰については、学校教育法第11条ただし書きにいう体罰は、いかなる場合においても行ってはならないとしていますが、児童、生徒に対する有形力の行使により行われた懲戒は、その一切が体罰として許されないものではないとし、有形力の行使以外の方法により行われた懲戒については、例えば、以下のような行為は児童、生徒に肉体的苦痛を与えるものではない限り、通常、体罰には当たらないとしています。放課後に教室に残留させる、授業中、教室内に起立させる、学習課題や清掃活動を課す、学校当番を多く割り当てる等です。そして、児童、生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使は、もとより教育上の措置たる懲戒行為として行われたものではなく、これにより身体への侵害または肉体的苦痛を与えた場合は体罰には該当しない。また、他の児童、生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対し、これを制止したり、目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使についても、同様に体罰には当たらない。これらの行為については、正当防衛、正当行為等として刑事上または民事上の責めを免れ得るとしており、また授業妨害をしたりするなどの状況下において、教室内の秩序を維持するためには、児童、生徒を教室外に退去させることや、携帯電話などを教室に持ち込んだりした場合には一時的に取り上げることは教育上必要な措置として差し支えないとしています。今、申し上げた文科省の通知は、最近、社会問題化している学級崩壊やモンスターペアレントに対して学校側は毅然とした態度で臨むべきだとしたものであると同時に、子供の人権を過度に配慮した思想に警鐘を鳴らしたものだと思います。
吹田市においても、この通知や趣旨を学校や現場の教員に周知徹底しておりますか、所見をお伺いいたします。
答弁
生徒指導に関する御質問にお答えいたします。
社会や家庭が変化し、生徒指導にかかわる課題も多様化する中で、問題行動等の未然防止や解決には子供たちの規範意識の醸成が重要と考えております。本市におきましては、小中一貫教育を展開する中、組織的な生徒指導体制の確立と、一貫性、継続性ある生活規律、授業規律の確立を目指し、子供たちへの指導に当たっては、事の善悪を毅然とした態度で粘り強く指導するよう努めております。
また、出席停止の措置や懲戒等のあり方については、国の通知を十分踏まえ、その趣旨と内容を教職員に周知するとともに、日々の生徒指導に生かしてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
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