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三角関係

2006年09月07日 | 過去の記事

 

愛宕山という落語のなかに次のような場面がある。

「口ばっかり達者で、もう息切らしとるがな。まあ、大阪者は高い山なんか登ったこと

ないやろうからしゃあないわなあ。」

「何言うてまんねんな。大阪にかて山はあります。茶臼山、真田山、天保山。」

「あんなものは山やない。コブや。地べたがボっと膨らんでるだけや。」


さて、奈良県にも大台ケ原など高い山はありますが、平成17年4月14日、大和三山と

言われている200mもない三つの山が国の名勝に指定されました。

199mの畝傍山(うねびやま)、139mの耳成山(みみなしやま)、152mの天香具山

(あまのかぐやま)がそれです。

これらの山は奈良県中部の橿原市にあり、畝傍山~耳成山、畝傍山~天香具山の

距離が3.1km、耳成山~天香具山間が2.5kmの偶然かどうかは知りませんが二等

辺三角形になっており、三山に囲まれた地は独特の一つの空間を作っているかのよ

うな感じです。

三山に囲まれた中には694年遷都し710年平城京に都が移るまで藤原京があり、藤

原京跡が残っています。


三山が三角形の関係になってるからかどうかは知りませんが、中大兄皇子(後の天

智天皇)と大海人皇子(後の天武天皇。中大兄皇子の弟)との額田王(ぬかたのお

おきみ)をめぐっての三角関係は有名な話ですが、中大兄皇子が詠んだこの三角関

係の歌が万葉歌集にも残されています。


耳成山にも、三人の男性にプロポーズされて、決められず最後は自殺してしまうとい

う縵児(かづらこ)伝説があり、また畝傍山にも桜子伝説という複数の男女が関わる

悲恋物語が残ってます。


天香具山だけが「天」の文字を冠してますが、飛鳥時代には、天から降ってきた山と

いう言い伝えが広く浸透していたようで、万葉歌にも多く歌われています。


百人一首の中にも持統天皇の「春過ぎて 夏来にけらし 白たへの 衣干すてふ 

天の香具山」の句は御存知の方も多いと思います。

畝傍山・耳成山がはっきりした形をしているのに比べて、天香具山ははっきりしない

山の形です。


また、耳成山と天香具山が男、畝傍山が女に見立てられるのが通説になっているよ

うです。