ebakam art studio blog

眞壁 陸二

瀬戸内国際芸術祭閉幕

2010年10月31日 | Weblog
3ヶ月約100日の期間に渡った瀬戸内国際芸術祭も今日でフィナーレです。
最終日の男木島を見届け、お世話になった各家に挨拶してまわる。
僕の作った8作品のうち7作品の壁画が今後も島に恒久設置されることになりました。
ありがたいです。
夕方からは閉幕式に出席するために高松へ 歌あり踊りあり長めのスピーチありの華やかな閉会式だった。
ボランティアスタッフの「こえび」さん達が多彩な演出で盛り上げてくれました。

長いようであっという間の100日間。
僕にとっては制作期間から数えて200日。
色んな事があり色んな人に支えられ、様々な事を考えた200日だった。
ともあれ制作の機会を与えて下さった主催者に感謝!
温かく迎え入れて下さった男木島の皆々様に感謝!
そして関わってくれた全ての皆様本当に有り難うございました。

あいちトリエンナーレ

2010年10月30日 | Weblog
瀬戸内国際芸術祭が海の祭典と呼ばれたように、ほぼ会期を同じくしておこなわれた都市の祭典「あいちトリエンナーレ」に行って来ました。
愛知芸術文化センターや市立美術館、長者町会場と見て廻る。
感想としては「予想外に素晴らしい!」です。
予想を遥かに上回る作品のクオリティでした。
芸術文化センターが最もアツイ展示で、ツァイ・グオチャン、三沢厚彦+豊島秀樹、ジァン・ホアンらのインスタレーションは迫力満点だった。

建物の中だけの展示でちんまりやってそうな気配だったが大きな室内を堂々とした作品で満たし、本当に素晴らしい作品。
ハコの中なら中なりの良さもあり得るのだと新たな発見があった。
マッチョでパワフルなアーティストが三人並んでいたからそのように感じたのでしょう。
ドーンとやってる作品は見ていて無条件に感覚に響いてくる。
彼らに比べると僕の作品はまだまだひ弱だ、もっとガンバろ

次に向かった市立美術館はちょっとゴチャゴチャして見えてしまって今一つだった。
そんな中では島袋さんの映像+インスタレーションはカラッとしていて面白かった。

残念なのは市立美術館の建物が圧倒的にダサいこと!
バブル期に建てられた象徴的ハコモノ建造物は何故こうも悲惨な建築が多いのか?
折角の作品が可哀想です。
最後に長者町エリア、中には良い作品もあったが全体的は学園祭ムード。
場所、人数をもう少し絞るべき、良さがボケる。
ともあれ全体的にレベルはとても高かったしお客さんもかなり沢山いて驚いた。
50万人という発表は伊達ではなかった。
あいち、瀬戸内ともに大成功と言えるのではないでしょうか。
しかしいったいいつからこんなに現代アートに人が集まるようになったんだろう…

瀬戸内国際芸術祭あと1週間

2010年10月24日 | Weblog
7月19日に開幕した瀬戸内国際芸術も祭残すところあと1週間
先週10月21日の時点で入場者数が80万人を超えたそうです(日本経済新聞より)
それがどれほど正確な数字かは分からないが実際島に行くとあまりにも多くのお客さんに驚きます。
人気の家プロジエクトには入場制限も有る為に入場待ち1時間…
直島あたりでは午前中で入場整理券が配布し終え、船にも人が乗り切れないため整理券制、船会社も増便に次ぐ増便で可能な限り対応しています。
自分の参加している展覧会ですのでもちろん大成功は嬉しいかぎりなのですが、何故これ程まで集客があり人気になっているのか?終了前に分析と考察を一旦してみます。

まず、沢山の新聞、雑誌、TVなどのメディアによって事前にPRがうまくいっていた
(関係者各位の皆様に大変感謝いたします)
しかし何と言っても瀬戸内が美しい。島が楽しいそして船による移動が楽しいのです。
アート作品はたぶん 普通ぐらいのクオリティだと思います。
僕の個人的な感想ではそこまで凄い作品は ない
たしかに世界のトップアーティスト数名や国内作家も有名作家さんだらけだが、あのぐらいのアート作品ではこの集客の説明は到底出来ない。
つまりアートだけで芸術祭が成功した訳ではないと思うのです。
たぶん圧倒的に島と海が美しかったのでしょう。

そして「旅+アート」というセットがウケているのだと思うのです。
都会の美術館はいつ行っても空いてます。
アート単体なら高松にも美術館があるわけですがそちらはガラガラ、森村さんなど素晴らしい展示でしたが空いてました。
一方島での展示は行列、入場制限がかかるほどの大人気
何が違うのでしょうか?
優れたアート作品も展示の場所や見せ方によって見え方や来場者のワクワク感が変化するのだと思います。
我々は(全てかどうかは別として少なくとも僕個人は)、島でしか出来ないこと、あの場所だから出来ることを考えて現地で制作した。
出来上がった作品を持って来て設置しただけではない。
その場所から導きだされる作品だから面白いのでしょう。

確かに島、海+アートという意外性は非常に武器であった。
都会の美術館で見るのとは違い、そこに辿り着くまでに船に乗り島影と海を見るという過程がある
観客はその時点ですでに日常からある程度切り離されてアートに対する期待感が高まっている
そして集落、自然の中で出会う作品はその周囲の環境を味方にして、より作品を魅力的に見せる。

島に住む人々の協力ご理解、こえび隊の皆さんの活躍、実行委員会のスタッフ各位、この芸術祭に関わった全ての人間が成功を願いチャレンジしたからこそこの大成功となったのでしょう。本当にありがとうございました。

しかし一体いつからそんなに現代アートが人気になったのか?ひょっとしてただのブーム?という危機感
ブームで終わらせない為にさらに考えて行きます。

works更新しました

2010年10月20日 | Weblog
HPのworksのコーナーを久しぶりに更新しました!

開幕中と言うこともあり公開は差し控えさせていただいておりました。
芸術祭も残すところあと11日、
当初の目標30万人を大きく超えて先週末で70万人の入場者を記録!
最後の駆け込みで80万人超えもありそうです。
作品集の完成もあり、本日より男木島の作品のweb上での作品公開を始めます。
「男木島路地壁画プロジェクトwallalley」全8作品です。

芸術祭は10月31日までとなっております。お見逃し無く!

「美術館+オルタナティブの活動について」

2010年10月18日 | Weblog
「美術館+オルタナティブの活動について」と題された講義を聞く為に、お茶の水にあるオルタナティブスペース3331に行って来ました
講師をつとめたのは横浜美術館館長である逢坂恵理子さん、来年開かれる横浜トリエンナーレ2011の総合プロデューサーでもあります。
会場には多くの学芸員を目指す美大、芸大生が集まっていたため美術館法に基づき学芸さんにとって基本をおさいする話に始まった。
温度20~25℃湿度55%、24h警備の管理、保存研究…
美術館とはどのような条件が必要か?美術館の役割、社会との関わり方、等々

現代における美術館の成功例としてロンドンのテートモダン、パリのパレ・ド・トキョー、金沢21世紀美術館をあげられた、上記2つはリノベーション物件、ハード(建物)にお金をかけず、ソフト(作品)に予算をシフトしている。
金沢は有名建築家による新築設計だが今までの美術館にはあり得ない前面ガラス張りの開放的な建築である、さらに丸い、正面が無いためどこからでも入館することが出来る。兼六園という金沢最大の観光地の隣りにあるという立地条件の良さで年間100万人の入場者を記録する。
良くない美術館としてご自身の勤められる横浜美術館を挙げられていた(苦笑)
威厳に満ちた記念碑的な建築物は一般の人には入り憎い、敷居が高く感じてしまうものだ。
加えてテートモダンも金沢も無料開放部に素晴らしい作品がある。芸術に関心のあまりない市民も気軽に美術館へ足を運ぶようになっている。
しかしまだ評価の定まらない若いカッティングエッジなアーティストの作品はオルタナティブスペース(美術館やコマーシャルギャラリーとは別のスペース)が受け持つことが多い、ただ日本には非常にその数が少ない。
かつて佐賀町の食料倉庫や名古屋のICAなどがあったがいずれも短命。3331と横浜BankARTは今日本ではもっとも大きなオルタナティブスペースのひとつ。
持続させる為にどうすればいいのか?今後も課題となりそうです
NYのPS1は1971年からスタートし息が長く続く、民間からスタートしたが現在はMOMAの傘下にあるらしい。

その他にも直島や妻有のような屋外の家プロジェクトの例の紹介など今後のartの可能性について多くの事例にもとづいて語られました。

最後にアートの役割について「アートには1つの答えは無い、より多くのグレーを知ることであり、違うということを認めること自分と違う価値観を認めること」とおっしゃていた。
全くそのとうり!全くもって共感します。
そうなんです美術、芸術、artの存在意義はそこにある。

自分の知らない価値に気づき、自分の知らない基準に驚き、自分の知らない世界を知る。
認め合うことが出来るのがart良いところ

この考えを拡大すれば戦争も人種差別も宗教による争いも無くなるんじゃないかな?

色んなことを考えさせられたし僕自身の考えを確信することも出来た。
素晴らしい講義でした。








ワークショップ第一回 モネ、セザンヌ以降

2010年10月18日 | Weblog
茅ヶ崎の鉄砲通りにある素敵なお店カロカロハウスにて全五回のワークショップを開催しています。

10月16日はその第一回目「モネ、セザンヌ以降」と題し講義をおこないました。
印象派のモネ、後期印象派のセザンヌ、二人の違いは「眼」と「脳」あくまでも視覚網膜にこだわったモネに対しセザンヌは構成と絵画の自立を宣言するような新しい絵画を模索する。

写真機の発明、産業革命と19世紀は絵画にとっても激動の時代となる。
いわゆる上手な絵を描けてもカメラの登場によって多くの画家は職を失うこととなった。「画家は何なぜ絵を描くか?」「絵画とは芸術とは何か?」との問いに答えなければ絵を描く動機が裏打ち出来なくなってしまった。
150年も前の話です、しかし現代に至っても多くの美大生や自称芸術家はそのような自覚に欠ける
もちろんそんな歴史や知識がなくても多くのアートは見ることが出来ます
ですが作り手は歴史や地域性を意識したほうが良いと思ってます。学べる所は学び、考えられるギリギリの所までは言葉で考える。
そして言語化出来ない感覚の部分を作品としたいのです。
その過程が無ければ偶然と天才性に頼るしかなく美術教育は成立しない。

これまでの多くの美術教育は造形重視ですが、僕としては鑑賞重視でやっています。「我こそは天才」と思い込むのではなく歴史上の天才に学び「自分ならこうやる」と考えて制作に入ってほしいのです。

次週はピカソの「キュビズム」を分析し、11月は「抽象絵画」と「アバンギャルド江戸絵画」、最終回となる12月には新たなる未来に向けて絵画はどうなって行くのかを研究する「現代絵画」をテーマに開催します。
詳細はお申し込みはカロカロハウスHPをご覧ください。まだ回によっては若干名の募集をしています

作品集完成!

2010年10月12日 | Weblog
ついについに作品集が完成しました
ギリギリでしたが芸術祭会期中に間に合いました!

島の風景と僕の作品とを人気フォトグラファーDYSK氏によって撮影してもらった作品集です。
テキストは「奇想の系譜」「奇想の図譜」などの著者である辻惟雄先生との対談です。
江戸絵画から現代アートの抱える問題まで熱く語りあってます。

ホワイトキューブを飛び出した作品は風景の中に存在し、島の景色を変容させる
自然の中、集落の中、生活空間の中に作品を設置することで今までに無い絵画の可能性を提示した作品です。
画集というより島の風景の中に作品がちょっと写っているというような構成になってます。
実際は実物を男木島で見て体験してほしいのですが、本にすることで記録しました。
まだ行ってない方には瀬戸内に行ってみたいと思って頂けるような、また、島に住む方には自分たちの住む島がこんなに美しいのかと自信を持って頂きたいと思い制作しました。

取り扱い店
直島「海の駅」、高松「マリタイムプラザ海の市場」、京都「恵文社」、横浜「BankART」、茅ヶ崎「カロカロハウス」、「LAMAcoffee」、「熊澤酒造 MOKICHI foods garden」、鎌倉「inuit furniture」
まだ納品されてない店舗または既に完売している店舗も既にありますので、在庫がない場合はショップスタッフにお問い合わせ下さい。


椅子展終了しました

2010年10月12日 | Weblog
小田原「菜の花」さんでの展示が終了しました。
沢山の方のご協力 誠にありがとうございました。
実験に次ぐ実験の展示となり必ずしも成功とまではいかなかったが
新たな人と出会えたことを財産にこれからの活動の糧としたい

元気な地方からの発信をしたいと思ってます
将来的にはホームタウン茅ヶ崎を中心にから鎌倉~箱根あたりまでの湘南西湘エリアを含めてホームタウンにしていきたい。
地場を盛り上げ、そして東京や外国の都市でも展示をする。
まずは自分の住む地域だ、やれることをやるだけ


椅子展 明日最終日

2010年10月09日 | Weblog
たった三日間の展示ですので もう明日が最終日です
明日は五時よりギャラリートークもおこないます
皆さんお誘い合わせの上是非おこしください

今日はあいにくの雨模様でお客さんの出脚がかなり悪かった、
加えて僕らを知ってる小田原の方が少ない
完全にアウェー状態です。
でも開拓なくして道は開けない
前例が無い事をやってるから面白い(大変だけど)

椅子展
眞壁陸二、石塚沙矢香、高根友香、木賀陽子、安藤芽伊実

うつわ菜の花
小田原市南町1-3-12
tel 0465-24-7020




明日から椅子展

2010年10月07日 | Weblog
まだ瀬戸内の旅の途中ですが、明日から小田原「菜の花」で椅子を使った展示が始まります。
不要となった廃校の椅子に絵を描いて作品に生まれかわらせる

僕は最近「日常の中のアート」を今提案しています。
住空間にアートがあることの楽しさを体験してほしいです。
現代アートは生活にもっと身近な存在であってほしいのです。

短い展示期間です。
10/8~10の3日間
10日午後にはギャラリートークやります