

「あだし野の露きゆる時なく、鳥部山の烟立ちさらでのみ住みはつる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世はさだめなきこそ、いみじけれ」
高校のテキスト用に買った中道館の「徒然草」(吉澤貞人著)を何十年かぶりに全部ページをひっくり返しました。この年になってからこそ、「もののあはれ」が理解できます。血気盛んな高校生に世の無常を説くのは「豚の耳に念仏」「馬に真珠」のようなものです。
「命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年をくらすほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず惜しと思はば、千年を過すとも、一夜の夢の心ちこそせめ。住み果てぬ世に、みにくき姿を待ちえて何かはせん。命長ければ辱多し。長くとも四十にたらぬほどにて死なんこそめやすかるべけれ」
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