菅直人首相は2日夜、首相官邸で記者会見を開き、自らの辞任時期について来年1月ごろを念頭に置いていることを示唆しました。東京電力福島第一原子力発電所の事故収束を、首相として確実に見届ける考えのようです。一方、野党が提出しました内閣不信任決議案は同日午後の衆院本会議で民主党などの反対多数で否決されました。賛成する構えだった民主党の小沢一郎元代表は本会議を欠席して造反しましたが、党執行部は党内の反発に配慮して、当初検討した除籍（除名）処分を見送りました。
民主党からは松木謙公議員と横粂勝仁議員が賛成票を投じたほか、小沢元代表など14人が採決を棄権しました。しかし小沢元代表グループの大半や鳩山前総理大臣などは反対に転じました。菅総理はこの結果に安堵の表情を浮かべていました。民主党県連代表・横山北斗さんは1日までは賛成する考えでした。しかし、菅総理が退陣の意向を示したことを受けて反対に転じました。横山北斗さんは「不信任案出して震災対応が遅れたらどうなるんだ」という声をマスコミが報じていたので、自分の判断が間違っていたのかなと思ったそうです。もし不信任案が可決されれば、菅内閣は総辞職するか、衆院解散するかを選ばなくてはならず、政局の混迷は必至で政治的空白は免れない状況でした。（マスコミ各社報道をまとめました）
【不信任案採決までの国会茶番劇の流れ】
15:24 賛成152票、反対293票で内閣不信任案が否決された。
15:22 民主党の松木謙公氏が造反。不信任案に賛成票を投じた。
15:19 「反対多数で内閣不信任案が否決確定」とNHKが報じる。
15:17 鳩山由紀夫・元首相は反対票。
15:05 内閣不信任案の採決が始まる。賛成は白、反対は青のプレートを議長に手渡す。民主党の小沢一郎・元代表は欠席。
13:52 「菅内閣不信任決議案への対応に関し、小沢氏が自主投票と発言したことを受け、一致して否決する方針を決めた。不信任案の否決が確実となった」と共同通信が報じる。
13:30 衆院本会議で内閣不信任案の審議が始まる。提出者を代表して、大島理森・自民党副総裁が趣旨弁明。「メドとはいつか。辞めるつもりなら即時に辞めなさい」と菅首相を厳しく追及。
13:25ごろ 内閣不信任案への賛否について、小沢一郎・民主党元代表は「今まで引き出せなかったこと引き出せたのだから、自主判断でいいだろう」 と述べたと、NHKが報道。菅首相の辞任意向を受けて態度軟化か。
13:00ごろ 民主党の岡田克也幹事長は2日の党代議士会後、菅直人首相の退陣表明に関連して「平成23年度第二次補正予算案と復興基本法案の成立は辞任の条件ではない」と記者団に語り、鳩山氏の発言を否定した。
12:30ごろ 鳩山由紀夫前首相が民主党代議士会で発言。「さきほど菅首相と会談した。二次補正予算にめどをつけた段階で身を捨ててもらいたいと伝え、首相と私の二人で合意した」と述べて、菅首相が二次補正予算の成立と引き換えに退陣するとの考えを表明した。同氏はこれまで不信任案に賛成する意向を示していたが、民主党内から82人が賛成すると可決される見通しだった（2日付け毎日新聞を元に作成）
菅政権の支持姿勢を明確にしている毎日新聞も、朝日と足並みを揃えました。不信任案を提出した自民党に対し「大義名分がない」と批判しました。今あえて「菅降ろし」をする意味はないと主張しています。
東日本大震災の復旧のさなか、自民党はあえて倒閣へ勝負に出ました。だが、納得するに足る大義名分が掲げられたとは言い難いものがあります。大震災を経た国会のさなかで決議案を出すからには震災、原発事故対応で「なぜ首相ではだめなのか」、さらに「誰ならいいのか」を十分説明する責任があったはずです。福島第一原発の事故は、菅政権だけでなく、原子力政策を推進してきた自民党の責任も大きいと問題視しています。読売は「救国連立模索なら理解できる」と自民党の立場を擁護しております。
マスコミも各社主張があると思いますが、政治家同様に発言に責任を持つようにお願いしたいものです。国民にとり、唯一の判断材料になるのはニュース報道だからです。今回の私的な感想は、前にも言ったとおり、まったくもって「国民不在の国会」であり、「党利党略の場」であり、エゴ丸出しの「国会茶番劇」だったことです。棄権造反した小沢一郎さんが「鳩山さんの顔も立った」というコメントが象徴しております。まず第一に顔をたてなくていけないのは、自分たちの顔ではなくて、国民の顔ではないでしょうか？民主党県連代表の横山北斗さんのコメントも幼稚で、呆れてしまいます。小沢一郎さんの顔色をうかがって、県民の顔色を見ようとしておりません。この国の低レベル政治運営が、日本の底力を崩壊させて、大震災を期に心ひとつになろうという機運を崩壊させております。ひいては、世界からも信用を失墜させております。グローバル経済の中で、日本が孤立化しているのは、低レベルの政治にも原因があります。政治をバカにするモノは自分をバカにするモノだと言いますが、本当に国民が低レベルなのでしょうか…。この時期、内閣不信任案が提出されなければならない理由が本当にわかりません！自民党と民主党の仕組んだ茶番劇に国民が踊らされ、被災地の方々を愚弄したのは間違いありません！冷却水を注入しなければならないのは、メルトダウンしている国会ではないでしょうか。今の政治の危機的状況に憤りを感じます。
【朝日新聞より】
震災で漁港が壊滅的な被害を受けた三陸沿岸で、漁が一部再開されているにもかかわらず、冷凍施設などが被害を受けた流通・加工業者が再建に踏み出せないでいる。政府の支援策による補助金の交付は7月以降になる見通しで、その前に自主的に修繕した場合は補助が認められないためだ。「魚は待ってくれない」。地元業者は嘆いている。
【警察庁より】
東日本大震災（余震を含む）の死者は、2日現在で1万5327人となった。警察に届け出があった行方不明者は8343人。
