大相撲・時津風部屋序の口力士に対する傷害致死事件。
元親方を除く、兄弟子たちの実行正犯部隊に対し、なんと執行猶予付きの寛大判決が言い渡されたのでした。
参考までに、傷害致死罪(刑法205条)の法定刑は、3年以上20年以下の有期懲役とされています。
元親方が中心となり、兄弟子たちが、気にくわない新人を相手に、命を落とすまで執拗に暴行を加え続けたこの事件は、ヤミに包まれた大相撲界の醜態を世間にさらけ出したものと言えます。
もともと、相撲は、土俵の上で、裸の人間が力のせめぎ合いを見せる健全なスポーツです。
力士の力量により、序の口から横綱まで、順位が定められています。多少の番狂わせがあるとしても、一般的には、横綱と序の口との勝負では、勝敗は、おのずと決まっています。
新人が、序の口から登板し、体力も技も磨き、順次上位にのぼるシステムからみても、新人が、兄弟子に簡単に勝てるわけがありません。
それにもかかわらず、「ぶつかりげいこ」の名のもとに、金属バットまで持ちだして新人に制裁を課す兄弟子たちの行動は、リンチ以外のなにものでもありません。
部屋を代表する親方ともあろう者が、新人にリンチを加え、兄弟子たちも、一緒になって暴行を加える体質は、暴力団同士のリンチ集団と何ら変わるところがありません。
日本を代表する国技が泣いています。
野球の練習をするならともかく、相撲の稽古に金属バットは不要でしょう。
金属バットを使って新人を殴打すれば、いくら体が大きくても、致死の結果は、十分に予想がつきます。
そんなリンチの実行部隊に、執行猶予付きの寛大判決がはたして妥当なのでしょうか。
相手の死が十分に予想される暴力沙汰に、甘すぎる制裁では、相撲界の浄化はできません。
兄弟子たちも、何でも親方のせいにすればいい、というものではありません。
大相撲八百長疑惑事件をはじめ、今回のリンチ事件などにより、私には、大相撲を神聖な国技として見ることができなくなりました。
八百長試合も、観衆をバカにしています。
大相撲は、旧態依然たる部屋制度の解体から始める必要があります。
高見山、小錦、曙、武蔵丸辺りの頃は良かったのにな・・・嘆息!
結局、国技と言いながら、日本人力士が全くと言って良いほど活躍せず、脇役に甘んじていることが問題なのだと思います。
女性が土俵に上がることも未だ許されない世界です。
角界には伝統、風習があって全てを合理的に近代改革することが、果たして正解なのでしょうか?
相撲協会幹部、部屋親方の資質も大事では?