1.はしがき
サイエンスの世界で生きてきた私が、茶道という芸術の世界の事を語る資格はありませんが、通常と違う観点から茶道の世界を観察して見たいと思う。
始めてお茶の味に興味を持ったのは中学生のときの事。理屈を追求する癖のある私は、お茶の生産に関する本を探しまくり、玉露というお茶は直射日光を避けて栽培すること等などを知った。
2.緑茶とコーヒー
昭和のはじめ頃は、人と会うと “ま、お茶を一杯どうぞ” が最初の挨拶であった。日常使われるお茶はそれ程高価なのものではなかったが、玉露となると、すごく高価でめったに飲む事はできなかった。一方、コーヒーは高価な特別な飲み物で、渋谷にはクラシック音楽を聴きながらコーヒーを提供する喫茶店があり、そのことだけで全国的に有名になったくらいであった。
何十年も経た今日はどうだろう。喫茶店と言っても日本茶を提供する店は殆どない。一方コーヒーは、スターバックスを始め、提供する店も、コーヒーの種類も多数ある。特徴のある一定の味を安定的に提供するための機械も何種類もあり、その機構はかなり良く出来ている。ボタンを押すと、コーヒーの豆引きから始まる装置まで見かけるようになった。一方日常飲むお茶はポットボトルがやたらに増えて、電車の中でも行儀作法などお構いなく飲む若者が増えてしまった。
以上は味の世界でのお茶に関しての考察ですが、“茶道”という芸術の世界となると、もっと考えさせられることがたくさんある。
3.静かな日本の芸術
茶道は勿論、音楽も絵も、日本の芸術は何となく静かな印象がある。外国の油絵などは賑やかな感じがしてならない。日本の庭園と外国の大掛かりなガーデンは全く違う美しさだ。印象的、感情的に表現すると、日本の芸術は、ひっそりとそこに全てが一体となって存在している。一方、外国の芸術の裏側には科学的な裏づけがある。建築などはピタゴラスの定理をはじめ、遠近法などの理屈がしっかり裏方を務めている。
個人個人の才能で考えると日本人の繊細な感覚は世界で最高レベルだと思う。その様な感覚が、組織的に動く産業では大きな力を発揮し、自動車産業、テレビなどの分野で世界一の地位を獲得したのだと思う。
4.茶道の将来
誠におこがましい素人の発言ではあるが、私は、伝統ある日本の”茶道“を世界に広めるには、その背景にサイエンスを持つ事が必要だと思っている。そのような試みを関心のある茶道の先生方と一緒にやってみたいと思っている。2007.11.1. 散歩道
サイエンスの世界で生きてきた私が、茶道という芸術の世界の事を語る資格はありませんが、通常と違う観点から茶道の世界を観察して見たいと思う。
始めてお茶の味に興味を持ったのは中学生のときの事。理屈を追求する癖のある私は、お茶の生産に関する本を探しまくり、玉露というお茶は直射日光を避けて栽培すること等などを知った。
2.緑茶とコーヒー
昭和のはじめ頃は、人と会うと “ま、お茶を一杯どうぞ” が最初の挨拶であった。日常使われるお茶はそれ程高価なのものではなかったが、玉露となると、すごく高価でめったに飲む事はできなかった。一方、コーヒーは高価な特別な飲み物で、渋谷にはクラシック音楽を聴きながらコーヒーを提供する喫茶店があり、そのことだけで全国的に有名になったくらいであった。
何十年も経た今日はどうだろう。喫茶店と言っても日本茶を提供する店は殆どない。一方コーヒーは、スターバックスを始め、提供する店も、コーヒーの種類も多数ある。特徴のある一定の味を安定的に提供するための機械も何種類もあり、その機構はかなり良く出来ている。ボタンを押すと、コーヒーの豆引きから始まる装置まで見かけるようになった。一方日常飲むお茶はポットボトルがやたらに増えて、電車の中でも行儀作法などお構いなく飲む若者が増えてしまった。
以上は味の世界でのお茶に関しての考察ですが、“茶道”という芸術の世界となると、もっと考えさせられることがたくさんある。
3.静かな日本の芸術
茶道は勿論、音楽も絵も、日本の芸術は何となく静かな印象がある。外国の油絵などは賑やかな感じがしてならない。日本の庭園と外国の大掛かりなガーデンは全く違う美しさだ。印象的、感情的に表現すると、日本の芸術は、ひっそりとそこに全てが一体となって存在している。一方、外国の芸術の裏側には科学的な裏づけがある。建築などはピタゴラスの定理をはじめ、遠近法などの理屈がしっかり裏方を務めている。
個人個人の才能で考えると日本人の繊細な感覚は世界で最高レベルだと思う。その様な感覚が、組織的に動く産業では大きな力を発揮し、自動車産業、テレビなどの分野で世界一の地位を獲得したのだと思う。
4.茶道の将来
誠におこがましい素人の発言ではあるが、私は、伝統ある日本の”茶道“を世界に広めるには、その背景にサイエンスを持つ事が必要だと思っている。そのような試みを関心のある茶道の先生方と一緒にやってみたいと思っている。2007.11.1. 散歩道