『独創的発想法』ー糸川英夫(1984年8月発行) 書感 金澤磐夫
ある会合で、独創と云うことに関しての講演を頼まれたので、参考にと思って、25年も前に発行された本ですが、先を見る糸川英夫先生の本を読みなおしてみた。正に今日の日本の状況を見通しているようで、読み出したら、一気に最後まで読むことになった。
第一章:日本人が独創力をつける方法
1.異なる文化のドッキングーーーーイスラエル人の独創性はどこから来たか?
イスラエル人は流浪の民だった。アインシュタインの独創性はどこから来たか?
ユダヤの文化とドイツ人の理屈ぽさのドッキング
2.海外一人旅のすすめ
日本人は群れたがる。集団にはよその人は声を掛けようとはしない。
たとえ難しくても外国人と何とか話をする努力をすれば必ず何か新しい事を発見する。
3.読書のすすめ
本を通じて、その本の著者と論争する。つまり、本の中身と自分の頭の中の考えがドッキングして、そこに新しいアイディアが生まれてくる。
第二章:消しゴムは独創力を妨げる
1.間違いは消さずに×をつける
糸川先生に板の振動の計算式―行列式の連続から算出する事を引き受けさせられたことがある。その時、消しゴムは絶対使うな!と云われました。研究の進め方に関しては、全く各自自由で、細かい手法にかんして指示することは全くなかった糸川先生が、この時ばかりは随分細かい事を指示するので不思議に思いました。
2.プロは常に反省の塊
音楽家におけるプロとアマチュアの違い。プロの音楽家は演奏が終わったあと、何時も厳しい顔をし、見ていて可哀そうになってしまうくらいである。
失敗を思い出すのは苦痛であるが、それを消しゴムで消さないで徹底的にその失敗原因を追求すれば、そこから新し独創のヒント得られる。
敗戦の教訓を忘れようとする日本人。消してしまうのが楽と思っているのだが、そこからは新しい考えは生まれてこない。
3.日本の過去を研究するユダヤ民族
明治革命で音楽教育はどうなったか?
天皇家の雅楽は意外と主流にはならなかった。西洋音楽が主流になった。『チョウチョ、チョウチョ』・『埴生の宿』、さらに『君が代』も。
トイレットペーパー騒動 ーーーー新聞紙を使えと云って抗議の電話を盛んに受けた糸川先生。
真珠湾攻撃でやられた失敗から、アメリカは何を考えるか?を想像しなかった日本軍。軍艦より航空機だったのだ。
第五章:点時代の新製品開発
1.マスク・ニードの発見
人間の好みの多様化、個性化の時代ではマクロ的なマーケット・リサーチでは本当のニードはつかめない。
2.商品弾性率の理論
フィンランドの経済学者・トルンクイストの商品弾性率と云う理論がある。所得や価格の変化率と需要の変化率の比で弾性率をはかる。つまり、所得増加率と購買慾求率の比を商品弾性率とし、商品をこの弾性率の順にグループ化するという考えである。
第一商品群:生活必需品=飲料,衣料、自転車
第二商品群:比較的贅沢な品=カラーテレビ、ステレオ、テープレコーダー
(感覚系に関連するもの)
第三商品群:マーガリン,紳士帽子、人絹糸
第四商品群:純贅沢な品=レジャー、ファッション(情緒に変化を与えるもの)
第五商品群:酒、マリファナ、宗教(情緒を安定化する)
第六商品群:生体加工業=整形、美容
3.ミッション・アナリシス
商品あるいはサービスが何を使命としているかと云う考え方。これが欠落していると
ただ単に新製品と店頭に並べても売り上げ増加にはつながらない。
たとえば机の使命は使う人によって違う。小学生、社会人、重役用では使う目的が違ってくる。
4.オールタネイティブ・コンセプト
5.アドホックチーム
6.プロフェッショナル・マネージャーの条件
7.N型とF型人間