書感とランダム・トーク

人間の本質を根本原理から追求研究する内容さらに遡っては生物・植物その他をサイエンス的原理から考察する。どうぞ御寄稿を!

江戸の遺伝子               書感:藤田昇

2007年09月07日 | Weblog
江戸の遺伝子 徳川恒孝著 PHP研究所発行 2007年3月 ¥1,500。

江戸時代を、単なる日本だけの時系列だけでなく世界での出来事と連動しておられるため、網の目のようにあらゆるところと密接に関連していたことが実感できました。江戸時代という特異性が良くわかり、目からうろこが取れました。
会津藩の子弟が毎朝唱えていた「什の教え」を例として出してみました

一、年長者の言うことをきかねばなりませぬ。

一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ。

一、虚言を言ってはなりませぬ。

一、卑怯な振舞いをしてはなりませぬ。

一、弱いものをいじめてはなりませぬ。

一、戸外で物を食べてはなりませぬ。

一、戸外で婦人と言葉を交わしてはなりませぬ。

ならぬことは、ならぬものです。

そして、知識は、後の人生で必要になったときに必死に勉強すれば得ることが出来る。しかし、立派な人格をつくる教育は幼い内から徹底的に教えなければ血肉とならないと考えられていた。つまり、江戸時代の武士の教育とは、現在のような利益追求の世界を作ってしまった知識教育ではなかった。

現代の我々が享受している、日本の治安の良さや清潔で安全というこの優れた遺産を守りたい。というのが著者の趣旨と理解しました。

教育の基本は人格であるということを認識しましたが、さて、良き昔を取り戻すにはどうすればよいのか改めて考えさせられました。藤田 昇