今回は、アニマル・メディスン イノシシ Wild Boar の巻です。
写真は、ネットからお借りしました。
動物として
イノシシ 鯨偶蹄目 イノシシ亜目 イノシシ科
学名:Sus scrofa 英名:Wild Boar
ブタの原種とされ、数多くの亜種がいるが、
5属から成る。
■バビルサ属(Babyrousa)■
●バビルサ B. babyrussa 英名:Babirusa
スラウェシ島とその東の小島にだけ分布。
無毛に近い。
■モリイノシシ属(Hylochoerus)■
●モリイノシシ H. meinertzhageni 英名:Giant forest hog
アフリカ大陸の赤道近辺に分布。
大形種。目の下に突起を持つ。
■カワイノシシ属(Potamochoerus porcus)■
●カワイノシシ P. larvatus 英名:Bushpig
サハラ砂漠以南のアフリカ、マダガスカル島に分布。
●アカカワイノシシ P. porcus 英名:Red River Hog
サハラ砂漠以南の西アフリカに分布。
やや小形で美しい種。
■イボイノシシ属(Phacochoerus aethiopicus)■
●イボイノシシ P. aethiopicus 英名:Desert Warthog
サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布。
両目の間隔が広く、目の下と牙の上に大きな突起を持つ。
●ケープイボイノシシ P. africanus 英名:Common Warthog
アフリカ南部に分布。イボイノシシの亜種とされることもある。
■イノシシ(Sus)属■
最大のグループで、主なものとして以下がいる。
●イノシシ S. scrofa 英名:(wild) boar
世界中に分布。
●コビトイノシシ S. salvanius 英名:Pygmy hog
ネパール、アッサム地方、ブータンに分布。
ノウサギ大の小形種で、イノシシで唯一絶滅が心配されている。
●ヒゲイノシシ S. barbatus 英名:Bornean Bearded Pig
マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島に分布。
長毛のひげを持つ。
●スンダイボイノシシ S. verrucosus 英名:Javan warty pig
スラウェシ(セレベス)島、ジャワ島、フィリピンに分布。
頭部の両側に各3個の突起を持つ。
イノシシはもともと、ユーラシア大陸南部、
アフリカ、日本などに分布していたが、
アメリカ大陸、オーストラリア、ニュージーランドなどにも
人間によって持ち込まれて再野生化し、
生息域を大きく広げることとなった。
生息域や種によって、体格にかなりの差がある。
アメリカや中国では、
体重300~400キロを超える大型種がいるが、
日本に生息する2亜種は小柄で、
ニホンイノシシは80~150キロ、
リュウキュウイノシシは50~70キロ程度である。
ニホンイノシシ
リュウキュウイノシシ
平均としては、
体長 90~180センチ
体重 40~200キロ
肩高 45~100センチ
【以降、イノシシ属イノシシの説明】
低山帯から平地にかけての森林地帯、草原などに生息。
水場を好み、林地に隣接する水田や農耕地など、
人里に出没することもある。
昼行性だが、特に早朝や夕方に活発に行動する。
人間の近くに棲むものについては、
夜行性になる傾向がある。
成熟したオスは単独で生活するが、
若いオスは、小群を形成することもある。
メスは通常、子と家族単位の群れを形成し、
50頭程の大きな群れとなることもある。
食性は雑食性。(動物性は1~3割程度)
植物性としては、イモ、チガヤなどの根茎、
葉、果実、ドングリなどの木の実、
タケノコ、キノコなどを食べる。
動物性としては、昆虫類、ミミズ、サワガニ、
カエル、トカゲ、鳥の卵などを食べる。
また、大形動物の死肉も食べる。
アジアのイノシシには、
頭頂から背にかけ、剛毛のたてがみを持つものが多いが、
ヨーロッパのイノシシには、たてがみはほとんど見られない。
子は体に縞模様があり、『ウリボウ』とよばれる。
視覚はあまり良くないが、優れた嗅覚と聴覚を持つ。
嗅覚は特に優れており、犬並みとされ、
地中にある動植物も探し出して食べる。
剛毛がない鼻鏡(鼻先)は柔らかく、触覚は鋭敏で、
見慣れないものは鼻鏡で触れて確認する。
また、鼻先は強靭な武器にもなり、
オスで70キロ以上、メスで50~60キロ程度の石を
押し上げて動かすことができる。
オスは、非常に鋭い牙を持ち、
鼻先でしゃくり上げるようにして攻撃する。
メスは牙が短いため、牙を用いた攻撃をする事は少ないが、
代わりに大きな顎で噛み付くことがある。
学習能力、記憶力は高く、
一度学習したことは、半年以上記憶しているとされる。
このため、一度「餌場」と認識した場所には
繰り返し侵入し、人間から害獣とされることが多い。
体格に見合わない、優れた身体能力を持つ。
時速約45キロの速さで走り、
助走なしで1メートル程度の高さを跳び越える。
一方、跳び越えるよりも
くぐり抜けることを選ぶ習性があり、
成獣も、高さ20~40センチの隙間を
くぐり抜けて突破することがある。
直進しかしないと思われがちだが、
他の動物と同様、急停止や急な方向転換もする。
泳ぎも巧みで、川や海峡を数キロ泳ぎ渡ることもある。
寄生虫を落としたり、体温調節のため、
水浴や泥浴をする習性がある。
非常に神経質で、警戒心が強く、
見慣れないものは避けようとする習性があり、
餌場や寝床、水場は頻繁に変える。
不用意に近づいたり、不意に遭遇した場合は、
たてがみを逆立てて威嚇音を発し、
突進してくることがある。
不意に遭遇した場合は、
目線を外さず、しばらく動かずにいるか
向かい合ったまま、ゆっくりと後退するのがよいとされる。
アニマル・メディスンとして
<< イノシシが象徴するもの >>
対峙、勇気、力、戦士、騎士道精神、自信、怖れ知らず
強い決意、不屈の闘志、誠実さ、繁栄、豊かさ、変革
イノシシは、動物のスピリットの王国において、
最も攻撃的で、勇敢な戦士の一員である。
怖れ知らずで大胆不敵なイノシシは、
戦士、騎士道精神、激しい闘志を象徴し、
イノシシのメディスンは、
何事にも正面から立ち向かう勇気、
自分を信じて突き進むパワーを包含する。
イノシシはわれわれに、
自分では気づいていないかもしれないが、
誰もが皆、戦士のような側面を持っていること、
人生のあらゆる問題と対峙するための
勇気を携えていることを伝えている。
イノシシはわれわれに、
勇気を出して、真実を見るよう伝えている。
自分や他人に対して、嘘をついていないか。
目を背け、先送りにしている問題はないか。
時に立ち止まり、自分の心に深く問いかけ、
考えてみるよう促している。
自分に降りかかった問題や自分に課された課題と
真正面から向き合って対処するのなら、
その“戦い”において、
もう半分勝利したも同然であると
イノシシは伝えている。
重要なのは、内なる戦士の精神を奮い立たせ、
意識・無意識を問わずに避けてきた問題や
人物と対峙することであると
イノシシはわれわれに伝えている。
さらにイノシシは、
われわれが何よりもまず向き合うべきは、
自分の中にある“恐れ”であると伝えている。
自分の中の恐れと向き合うことは、
自分の弱点に気付くことにつながる。
弱みを強みに変えていくことは、
霊的な成長をもたらしてくれる。
イノシシは、自己の発見、変革、効率を象徴する。
目標を達成するためには、
自分に与えられた能力や強みを
効果的に使うだけでなく、
自分をよく省みて、
弱みがあれば強みに変えていくこと、
自己発見と自己変革がより重要であると
われわれに教えている。
イノシシは危険を察知すると、
死力を尽くして家族を守る。
攻撃と防御は表裏一体であり、
イノシシは獰猛さを象徴すると同時に、
守護、保護も象徴する。
イノシシは、われわれが闘争や
人生の困難に直面している時、
大きなサポートを与えてくれる。
イノシシは、決断力、意志の強さを象徴する。
目標を定め、走り始めたイノシシは、
意識を深く集中しており、
その行く手を阻んだり、進路を変えさせることは
非常に困難である。
イノシシはわれわれに、
自分の人生の決定権は自分自身にあること、
人生の岐路においては、常に意志を強く持ち、
一度自分で決めたことは、
何が起きてもやり遂げるよう伝えている。
さらに、それがたとえ失敗に終わったとしても、
他の人や物のせいにしない勇気も持つよう、
イノシシはわれわれに伝えている。
雄々しく突き進むイノシシは、
男性性、強い生命力や性衝動、繁栄を象徴する。
一方、メスは多産で、愛情深く子育てをすることから、
豊かさ、富、幸運も象徴する。
地下に伸びる根や葉を掘り当てるイノシシは、
母なる大地や地球との繋がりが深く、
地上のあらゆるものとも関わりを持ち、
母なる大地の恩恵を象徴する。
イノシシは掘り当てた食べ物を
仲間や家族に分け与える。
イノシシの富は、仲間と共有する富である。
イノシシはわれわれに、
身近に困っている人がいるのなら、
自分の富を分け与えるよう伝えている。
そうすることで、われわれの
霊的な豊かさが増すと教えている。
イノシシは非常に神経質で、
知らないものに対しては強い警戒心を持つが、
仲間や家族はとても大事にする。
イノシシは、何種類もの声色を使い分け、
仲間とコミュニケーションを取っている。
イノシシはわれわれに、
もっと周りの人とコミュニケーションを取り、
自分の気持ちを伝えたり、
相手の気持ちを考えるよう伝えている。
イノシシの視力はあまり良くないが、
聴覚と嗅覚は非常に優れている。
イノシシは五感を駆使し、
常に周囲を意識しており、
われわれにも、もっと五感を研ぎ澄ませ、
自分の周りで何が起きているのか、
周りの人が何をしているのか、
もっと注意を払うよう伝えている。
さらにイノシシはわれわれに、
目に見えているもの、表層に惑わされず、
その下に隠れた真実を見通すよう
教えている。
イノシシのトーテムを持つ人は、
意志が強く、計画的で効率を重視し、
夢を実現するため、骨身を惜しまず努力する。
非常に社交的で、思いやりがあり、
他者に分け与えることに喜びを感じる。
家族やパートナーに対しては誠実である。
他人の否定的な意見に左右されたり、
恨みを抱くようなことはせず、
どんな時も、堅固な自己を保持する。
世界中で何世紀にもわたり、
王、戦士、指導者、戦略家、軍隊の将校、
シャーマン、オカルト実践者などは、
イノシシの魔力は、動物のスピリットの中で
最も強力なもののひとつと考え、
重要な局面において、
イノシシのトーテムを召喚していた。
また、イノシシはしばしば紋章にされていた。
英国 リチャード3世の紋章
世界中で古くから、
イノシシが登場する数多くの神話や伝承がある。
北欧神話、ギリシャ神話、
ヒッタイト(現在のトルコ)神話においては、
人間は悪いことをすると、罰として
イノシシに変身させられるという話が
数多く残っている。
北欧神話において、
イノシシは、豊穣の神フレイと双子の妹フレイヤの聖獣であった。
フレイは、馬よりも速く走ることができる
『グリンブルスティ(“黄金に輝く剛毛”の意)』という名のイノシシに乗り、
空や水面を疾走していた。
黄金に輝くグリンブルスティが通ると、
漆黒の闇も真昼のように明るくなったことから、
イノシシは太陽の象徴でもあった。
北欧民族は、戦士がイノシシの装飾付きの兜や
マスクを身につけると、
女神フレイヤの庇護を受けると信じていた。
また、豊かさや繁栄を象徴するイノシシは、
ユール(北欧のクリスマス)に欠かせないものであった。
イノシシは、翌年の豊かな収穫を祈念したり、
新年の神聖な宣誓を行う際、
供物として神に捧げられた。
ケルト文化において、
イノシシは神秘に満ちた神聖な生き物であり、
ケルト人はイノシシをトルクと呼び、
戦争・戦闘の際の盟友としていた。
アイルランドの伝承においては、
『トルク・トリアス』というイノシシの王が登場する。
トルク・トリアスは女神ブリジッドの獣であり、
異世界に生きる存在であった。
トルク・トリアスの彫刻
ケルト人は、イノシシの頭は健康や力強さ、
あらゆる攻撃からの防御・守護を象徴すると考え、
イノシシの牙で作ったお守りを身につけていた。
ケルトの司祭は、
イノシシを霊的なパワーの化身として崇めた。
人が死ぬと、魂が死後の世界に無事に移動できるよう、
イノシシの力を借りるとして、
墓にイノシシの肉を供えた。
ケルト神話の狩猟神にして冥府神、
多産や豊作とも関係の深いケルヌンノスは、
しばしばイノシシとともに描かれた。
ギリシャ神話においては、
エリュマントス山に棲む怪物のような大イノシシ
『エリュマントスの猪』が登場する。
ヘラクレスに捕らえられるエリュマントスの猪
ネイティヴ・アメリカンの一部の部族では、
戦闘の際、イノシシに似せたマスクを被り、
敵を脅かしたり、威嚇していた。
日本においても、古くから
白いイノシシは神の使いであり、
縁起がいいものとされてきた。
また、イノシシを山の守り神・霊獣とし、
イノシシを祀る神社仏閣も数多く存在する。
ヒンズー教において、
イノシシは生命と繁殖力の源として崇められた。
三最高神の一柱であるヴィシュヌ神は、
第3のアヴァターラ(化身)をイノシシとした。
第3のアヴァターラ ヴァラーハ
イノシシは頭が良く、神経質で臆病でありながら
時に激しい怒りを爆発させ、渾身の力で体当たりする。
イノシシのメディスンは強力であるが、
一筋縄ではいかないエネルギーでもある。
イノシシのメディスンは、
人生で直面する課題や不快な状況を通し、
己の恐れを勇気に変える強力なメディスンである。
イノシシはわれわれに、
自分の弱さと正面から向き合うこと、
人生で遭遇するさまざまな困難に怯まず、
全力で立ち向かい、対処していく重要さを教えている。
《逆位置》
向き合わなければならなかった問題、
状況、感情が表面化しようとしている。
どうして今まで避けてきたのか、
真剣に考えなさい。
自分に嘘をついていないか。
他人に嘘をついていないか。
嘘を止め、正直になりなさい。
自分にもっと自信を持ちなさい。
自分の意思を強く保ちなさい。
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