奈良県立桜井高等学校第65回卒業生の皆さん、卒業おめでとう。
卒業アルバムに、皆さんへ贈る言葉として「心如工画師」を選びました。「心は工(巧)みなる画(絵)師のごとし」と読みます。昨年読んだ宮本輝の『水のかたち』という小説で出会ったのですが、もとは『華厳経』に書かれている言葉のようです。少し難しいので、小説の主人公(50歳の普通の家庭の主婦)の言葉をそのまま引用しておきます。
「心は絵師の如し、じゃないのよ。巧みなる、っていう言葉が付くのよ。つまり、心に描いたとおりになっていくってことなのよ。心には、そんな凄い力がある…」
「だから、不幸なことを思い描いちゃいけない。悲しいことを思い描いちゃいけない。不吉なことを思い描いちゃいけない。楽しいこと、嬉しいこと、幸福なことを、つねに心に思い描いていると、いつかそれが現実になる。お伽噺みたいだけど、これは不思議な真実だ。」
心に思い描いたことが現実になるなんて、そんな甘いものではないかもしれませんが、「心にはそんな凄い力がある」という言葉には深い意味があるように思います
心の在り方が自らの人生を決めるということでしょうか。