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日曜日の試合 ラグビー・ワールドカップ

2007-10-09 14:29:56 | ラグビー
負け行くものの散り際にこそラグビーの美学あり

ひでぇ。最後の最後にテキストが消えた。書き直し。

南アフリカ37 vs. 20フィジー
アルゼンチン19 vs. 13スコットランド


クォーターファイナル4試合のうち、3試合までが最後まで逆転可能な点差で、かつ20得点以下の試合となった。残る南アフリカとフィジーにしても、最後の数分になんとか南アフリカが突き放したものの、後半の中盤の勢いは完全にフィジーで「食える」試合だった。
4試合全てが大会ベストマッチ候補。


予選と決勝トーナメントは別物。大会前のテストマッチと本戦は別物。
ある意味、当たり前のことを改めて思い知らせる4試合だった。

試す温存する無理しない。そんな予選に対して「上澄み」戦力で臨み、出し惜しみなし、紛れもない Best to Best の対戦となる決勝トーナメント。
待つ側には辛い1週間だったが、その間に休養治療もできれば、十分に研究作戦に充てる時間もある。


ベストエイトの中で、1番地味で弱いと思っていたスコットランド。「イタリアが上がってくれば良かったのに」そんなこと思ってました。ごめんなさい。
ここまで勝ち上がってきたチームならば、どこも隙あらば強豪を打ち倒す、そんな力を秘めているわけだ。

予想通り、ロースコアなキック合戦に始まった試合。それでもアルゼンチンが終始リードを保ち、少しずつ差を広げ…さて、2トライ以上の差がついて「攻撃に転じざるをえなくなった」時に、スコットランドはどんな姿を見せるのか? そう考え始めた頃に…やはり牙を隠し持っていた。
14番の突破力に、広くボールを回す展開力。見事にアルゼンチンを振り回し、予選失トライ最小の防御を見事に破ってトライを取り切った。

派手なこともやればできる。しかし「予選突破」というミッションのために、強靭な意志で作戦プランを遂行していたことが、よく分かった。
最後の最後、アルゼンチンにゴールラインを背負わせたことも見事。最終的には失敗に終わったが、何度かギリギリの位置にキックを蹴り込み、一か八かの勝負に出られる覚悟も見事。本当に見事でした。


一方、凌ぎ合いに切れることなく、今大会の「挑戦者」の立場を貫いたアルゼンチンも、もちろん見事。予選1位通過にも浮かれることのない姿勢を見ることができた。ヘルナンデスはこの試合も左足でドロップゴール1本。完璧なコントロールのタッチキックも何本も見せてくれた。
次は南アフリカ。



フィジーは、持ち前のモロさをやはり出しながら、「人の湧き出してくる怒涛のオフェンス」を見せてもらった。後半の2トライはいずれもビューティフル&ファンタスティック。
勢いに乗った時の陽気さ、客の雰囲気。ちょっと甲子園の沖縄代表の出ている試合を思い起こさせるものだった。

南アフリカは、予選から引き続いて、FWの強さを生かし切れずに不安残し。


こうしてスコッツとフィジーの最後の最後、相手を「食って」やろうという攻撃はもちろんのこと、仮に逆転不能な差がついた試合でも、最後に負けている側が見せる「自分たちの意地と誇りを賭けた」トライを奪ってやろうという連続攻撃がラグビーの魅力のひとつ。観客も、決して(早く終われよ)なんて態度を見せはしない。

翻ってオールブラックスとワラビーズ(オーストラリア)の最後のシーンを思い返すと…
リードしていても突き放せずに、後半の深い時間に逆転を許す。そこですぐさま「俺たちは負けるのか」という意識がチーム全体を支配してしまった。結局、最後まで意識を切り替えられずに、中途半端な反撃に終わった気がする。
死に物狂いの最後の攻撃は見られなかった。

このあたり、負けたことはもちろんだが、見ている側にフラストレーションが溜まった原因だったような気がする。(もちろん南半球贔屓の僕の見方として)


負け行くものの散り際にこそラグビーの美学あり

改めて、こう思った次第。