名前を忘れた罪

―忘れてもいいこと、
 そして忘れてはいけないこと―

臨終

2012-06-19 03:35:04 | 
白銀の中に潜む刃に
切り裂かれた未来を
貴方は最期の瞬間に見た
全てを飲み込む銀色の刃は
幼い幻想の全てを灰に返した

木霊する私の叫びは
無常な血の涙に変わった
次の瞬間、世界の半分は頽れた。

あの子の命を返してください
あの子の命を返してください

叫びは全て掻き消されて
亡骸は無残に踏み躙られ
叫びは
叫びは
全て掻き消され
踏み躙られた亡骸に
貴方が最期に見たものは








絶望



悼む心と痛む心

2012-06-08 02:09:18 | 
どちらも生きてる間だけ。


多くの人に本当に必要とされる
そういう方が早くに亡くなられて
本当に残念でならないと思う気持ちと、

人生の時間を無為に過ごし
そのほとんどを無駄にしている
申し訳ない気持ちと、

生を終えて死に向かった、
その先に何があるのか
誰にも分からない。
何故なら死んだ人間は
二度と戻る事は無いから。
悼む心も痛む心も、
死を迎えたその瞬間にすべてが失われる。


じゃあその後に残るものは何だ?




欠け落ちたbinary star

2012-06-03 00:17:31 | 
もうどこにもいかない

なにもしたくない

なにもみたくない

なにもききたくない

なにもいらない

たったひとつのぞいて

さよならのいみもわからない

おともたてずにそれは

ちいさくくずれおちた

ひとつだけひとつだけ

ちいさくくずれおちた

かなしみもいたみもなにもない

ただそこにあるのは

のこされたそらのはじっこ

やぶれたどんちょうのむこうがわ

つきだけがわらっていた

おともたてずに

ちいさくくずれおちたそれを

やぶれたどんちょうのはんたいがわ

いやしいうすわらいで

ふたつのほしがわらっていた