名前を忘れた罪

―忘れてもいいこと、
 そして忘れてはいけないこと―

2011-05-06 07:29:07 | 
雨はとてもおしゃべり
聞いてもいないことを
なんでもしゃべりたがる

だから忘れてしまったのかな、
いちばん先に
何を伝えるべきだったのかを。

ほんとのきもちは
ぶつけるようなものじゃない
じっときみの言葉を待っていた
花はもう散ってしまったよ


どうして気付かなかったかな

いまはまだつぼみだけど
つぎに出会ったら、

ほんとのきもちを教えてほしい。

二つの瞳

2011-05-05 08:46:38 | 
右目には獣
左目には神がいた
痛みを起こすのは
いつも左だった
右のほうはただ
黙ってそれを見ていた

神が、
初めて見たのは雨だった。
獣が、
初めて見たのは風だった。

あの日、憶えた
細やかな感情を次に忘れたとき
左目は色を失い
右目は光を失うだろう。