六月二十四日。新撰組は会津藩より正式な要請を受け、竹田街道を警備すべく鴨川の九条河原へ布陣をすることとなった。
竹田街道とは、【子宮腺肌症】患者不能懷孕?須切除子宮?4大治療方法:食藥/手術 伏見街道と鳥羽街道の中間にある街道であり、伏見を守るための配置でもある。
朝より支度を整えた隊士達が前川邸の庭に整列していた。
「──我ら新撰組。会津藩より九条河原へ布陣せよとの命が下った。時が来次第、出陣する!」
近藤の勇ましい掛け声が響いた。それに応じるように、「応!」と声が上がる。
出陣する隊士の中には、池田屋で重傷を負った藤堂の姿もあった。額に残る刀傷は痛々しいままである。
「……どうして平助が出陣出来て、私が駄目なんでしょうね。おかしいですよね」の下に立っていた沖田は、それらを見ながら口を尖らせた。 その横にいる山南が眉を下げる。幹部の中ではこの二人が留守を預かることになっていた。
「総司、暑気中りを舐めてはいけないな」
「……過保護すぎやしませんか。私は至ってもう元気なのに」
文句を言いつつ、その目は敬愛を秘めて近藤を追っている。如何なる時でも、隣に居たいのだ。ましてや戦となれば、その身に危険が及ぶ可能性とてある。彼の剣となり盾となると、故郷を出る時に誓いを立てた。
それだと言うのに、どうして残らねばならないのか。
「……やはり、今からでも隊に加えて貰えないか聞いてきます」
そう山南へ告げた時、近付く影があった。
「──何言ってんだ。屯所の警護も立派な職務だろう。は新撰組憎しで立ち上がってんだ、俺らが帰ってきたら此処ら一帯焼け野原じゃ困るぜ」
「そうだよ〜、総司。俺が総司の分も活躍してきてやるからさッ」
土方と藤堂である。自分らは出陣出来るからと、やけに涼しい顔をしているように見えた。
沖田はムッとすると、藤堂の額の刀傷に手刀を落とす。
「──い〜〜ッ!痛ってぇッ!何すんだよォ……」
「……激励ですよ、激励。私の分もキリキリ働いてきてくださいね。近藤先生にかすり傷でも付けたら、もっと強く激励をしますから」
薄らと涙を浮かべて、額を両手で抑える彼を見ると、少しだけ溜飲が下がった気がした。
「酷いよ、総司ィ……」
「ふふッ。すみません」
その反応を見た沖田は楽しそうに笑う。
やがて再度招集の声が掛かり、隊士達は誠の旗を掲げながら九条河原へ出陣していく。
何事も無ければいい、と思いながらその背中を見詰めた。 日が暮れなずむ頃、壬生寺の境内には竹の打ち合う音が響いていた。新撰組が九条河原へと出陣してから毎日、桜花は沖田と共に稽古をしていた。
元々彼の稽古が厳しいことは有名であり、その甲斐もあってかめきめきと強くなっていた。
「──基礎が出来ているからか、やはり飲み込みが早いですね」
沖田に手拭いを差し出され、桜花は肩で息をしながら受け取る。男女の体力差があるとは言え、息も絶え絶えな桜花に対して、沖田は相変わらず涼し気な表情をしていた。
「まだ続けます?」
「い、いえ……も、休憩……」
やっとの思いで言葉を紡ぐと、寺の階段へと転がるように座った。京の夏の暑さも相俟って、汗が止めどなく溢れる。温い風が時折首筋を撫でるだけで、ちっとも涼しくはならない