21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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科学的ではない 『科学的特性マップ』

2017-08-14 14:54:51 | 記事
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■ 核廃棄物 最終処分場 建設 ■
科学的ではない
核廃棄物最終処分場建設のための『科学的特性マップ』
県内にも処分場の適地は存在している?!


原発の使用済み燃料から生じる高レベル放射性廃棄物の
最終処分場建設について、経産省所管の最終処分場建設の事業を担う
「原子力発電環境整備機構」(NUMO)は、昨年秋に大津市を含む全国の
主要都市で市民を対象に行った「地層処分セミナー」において、
来年度中に、地下300メートルに建設する処分場の候補地の
適否に関する科学的データを公表するとしていました。
このため去る7月28日、経済産業省は、最終処分場建設の適地を
示した地図であるとする「科学的特性マップ」を初めて公表しました。 

朝日新聞の記事をご覧ください。
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170729000387.html

黄色の部分は主に火山や活断層などが存在しているために
処分場には「好ましくない」不適な地域とされています。
緑色の部分は処分場として「好ましい特性が確認できる可能性がある地域」、
なかでも濃い緑色で示されている部分は、海岸から20キロ内に
位置しているため廃棄物の輸送の面から、より「好ましい」地域と
されています。緑色の「好ましい地域」は国土全体の6割5分、
そのうちの「より好ましい」地域(濃い緑の部分)は全土の3割を
占めており、この濃い緑の部分には全国の自治体の半数以上の
約900の自治体が存在しています。
 
この地図からしますと、一見したところ国土の3分の2は「適地」
ということになり、このためあたかも国土のどこにでも最終処分場を
建設することが可能であるかのような印象を受けます。
しかし、緑色の部分の「好ましい」という意味は、実際には地質学的に
最終処分場の建設に適している土地であることを意味しているわけではなく、
単に、少なくとも処分場建設に際して必ず避けるべき地域を示したもの
にすぎません。すなわち、この「科学的特性」を示したとされる地図は、
いわば消去法で、火山や活断層などの誰が考えても最も不適切な地域を
除いた地域を「適地」と称しているに過ぎません。
濃い緑の部分は単に輸送上便利であると考えられるために、
うすい緑の部分「より適地」とされているだけであり、
地質学的に海岸に近いほうより安全で適地であるという科学的理由から
「より適している」とされているわけではありません。
これらのことを考えると、経産省が公表したこの「科学的特性マップ」は
科学的な根拠が希薄な極めて雑なものであることは明らかです。

核廃棄物の最終処分場の適地を決めるのは容易ではなく、
いずれの国おいても候補地の選定には苦労しています。
一般的には、地質学的に長期にわたり地層が動いたことがない場所や、
あるいは乾燥した(湿気の少ない)広い強固な岩盤などが適している
とされていますが、日本にこのような地質学的に適した土地が
あるかどうかは疑問であり、米国の専門家は火山の多い日本には
このような適地は存在していないのではないかと指摘しています。
フィンランドは世界初の処分場の建設を終え実用に供しようと
していますが、この処分場は欧州大陸に多いとされている
数億年の長期にわたり地層が動いたことがない場所に建設されたもので
あろうと推測されます。また米国では、全米で唯一の候補地とされた
ネバダ州のユッカマウンテンに最終処分場がいったん建設されましたが、
2009年、新大統領に就任したオバマ氏が、安全上の理由から
この処分場を放棄することを決定しています。
また地下に埋められた放射性廃棄物はそのまま十万年保管する
とされていますが、日本学術会議は2012年に「万年単位におよぶ
超長期にわたって安定した地層を確認することは、
現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」と疑問を呈しています。

上記ように核廃棄物の最終処分場の建設にはさまざまな複雑で困難な
問題が横たわっているのですが、経産省によりこのような「科学的」と
称される地図がいったん公表されてしまうと、あたかも活断層と
火山地帯を避ければどこでも適地であるという、科学的に乱暴な
考え方が独り歩きして既成事実化され、そのために国から「適地」と
された自治体が調査を受け入れざるを得ないという事態が進んでいく
のではないかと懸念されます。

この地図によれば滋賀県内の場合も、活断層のある地域を除き
大半の地域が「好ましい」地域とされており、なかでも高島市北部と
長浜市北部が、海岸に近い(港に近い)ために
「(輸送面から)より好ましい地域」に分類されています。
しかし、滋賀県は近畿1400万人の水源である琵琶湖を擁している
ことを考えるならば、県内に最終処分場をはじめとした核関連施設を
設けることは許されないと考えられます。

かつて、2006年秋に余呉町(当時)の町長が処分場建設の予備調査に
応募しようとして騒ぎになったことがありました。このときは、
知事の動きは鈍かったのですが、幸い町民のみなさんが半数以上の
反対署名を集め町長に断念させることができました。私はこの騒ぎのとき、
東京から来た市民グループ「核のゴミ・キャンペーン」と方々と一緒に
当時の嘉田由紀子都知事に面談した際、「滋賀県は福井県の原発地帯に
近いこともあるため、再びこのようなことが起きかねない。このため、
この際、滋賀県内には核関連施設を建設しないとする条例を定めるか、
知事がその旨を宣言すべきではないか」と要望しましたが、
知事は同意しませんでした。この経産省による「科学的特性マップ」
のために、再び余呉町での騒ぎのようなことが県内で起きないとは
限りません。今後、私たち住民はしっかりとこの問題に関心を持ち、
国の動きに対する自治体の対応を監視していく必要があります。

《脱原発市民ウォークin滋賀》は、2011年5月から始められた、
様々な立場の自由な市民による、毎月行うことを原則としているデモです。
誰でも自由なスタイルで参加できます。ぜひ足をお運びくださり、
脱原発に向けてあなたの意思を表明してください。

2017年8月15日
《脱原発市民ウォークin滋賀》呼びかけ人の一人:池田 進
電話/FAX:077-522-5415
Eメール:ssmcatch@nifty.ne.jp

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