21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

脱原発 市民ウォーク in 滋賀 12月の予定

2023-10-13 15:31:57 | 記事
■老朽原発高浜1・2号機&美浜3号機うごかすな!
■中間貯蔵地どこでも嫌だ!
■使用済み核燃料の行き場はない!
■上関や仏国に持出すな!
■対馬市長の英断支持!
■岸田政権の原発暴走反対!
■原発放射能汚染水流すな!
■世界の海を汚すな!

 
◆ 第118回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆

「老朽原発うごかすな!原発回帰への暴走をとめよう!-という声と行動が、
若狭・福井と関西・中京の都市圏をむすんで広がりつつあります。
・・・「一食断食」をよびかけます。

少しひもじさを体感しながら、フクシマの被災者に心を寄せ、
自らの子孫の未来に想いをはせるために、いつでも、どこでも、だれでも、
ひとりでもできる実践です。」(中嶌哲演・『はとぽっぽ通信』2023.6) 

1450万人の近畿の水源=びわ湖と私たちの未来=子どもたち孫たちを守りましょう!
<とき・ところ> ご一緒に歩きましょう! 参加無料! 予約不要! 


2023年 12月9日(土)13:30  JR・京阪膳所駅前集合  

★コース = ときめき坂 ~ 元西武大津ショッピングセンター前 ~ 関電滋賀支社前~
       ~ びわ湖畔

☆主 催=21世紀 脱原発市民ウォーク in 滋賀 実行委員会
☆呼びかけ人・・・池田進(原発を知る滋賀連絡会 電話077-522-5415)
         岡田 啓子(ふぇみん@滋賀 電話077-524-5743)
         稲村 守(9条ネット・滋賀 電話080-5713-8629)


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<集会案内> 













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「脱原発 市民ウォーク in 滋賀」 チラシのダウンロードは ⇒ コチラ

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「交付金」など様々な手段で地方に原発施設を押しつける国の原発推進政策: 交付金漬けになる地方の中小自治体 山口県上関の使用済み燃料中間貯蔵施設、青森県六ケ所村の再処理工場・むつ市の中間貯蔵施設

2023-10-03 20:27:11 | 記事
《 2023年10月:第117回・脱原発市民ウォーク in 滋賀のご案内 》

これまでにない猛暑の夏が過ぎ、ようやく過ごしやすい季節になりました。
次回の脱原発市民ウォークを10月7日(土)におこないます
(JR膳所駅前広場:午後1時半)。

どなたでも自由に自分のスタイルで参加できます。
都合のつく方はぜひ足をお運びください。


「交付金」など様々な手段で地方に原発施設を押しつける国の原発推進政策:
交付金漬けになる地方の中小自治体
山口県上関の使用済み燃料中間貯蔵施設、青森県六ケ所村の再処理工場・むつ市の中間貯蔵施設



去る8月18日に、山口県上関(かみのせき)町で、町長が中国電力・関西電力の使用済み燃料の中間貯蔵施設建設に関する調査の受け入れを表明しており、また、9月12日には長崎県対馬市の議会が、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を選定するための第一段階である「文献調査」の受け入れの促進を求める請願が賛成多数で採択するなど(注参照)、今年になって地方での原発施設の受け入れに関する動きが活発になっています。(注:しかし、比田勝尚・対馬市長は文献調査に応募しない方針を9月27日に市議会本会議で表明しました)

上関町や対馬市に限った話ではありませんが、原発施設の誘致を考えるのは、ほとんどの場合、過疎化による人口減少や高齢化、地場産業の衰退などにより財政状態が厳しい小さな地方自治体(市町村)です。これらの自治体は財政状態の悪化をくいとめ改善するための手段として、様々な形で国が用意している原発関連の交付金に頼ることを考えます。このため、国は原発政策を推進するために、すなわち原発関連施設を地方に受け入れさせるために、原発そのものだけではなく関連施設も対象にして、様々な交付金制度を設けています。特に、岸田政権が脱炭素実現のためと称して原発を最大限に活用する方針を掲げてからは、原発の再稼働の促進、原発の新設などを視野にいれた新たな交付金制度が考えられ、実行に移されつつあります。

国の原発に関連した交付金の制度は複雑でわかりにくいのですが、私たちが思っている以上に交付金の対象は多方面に広がっており、その金額も膨大なものとなっています。このため交付金の影響力も極めて大きなものになりつつあります。このため私たち市民は国による原発関連の交付金の動きに無関心でいるわけにはいきません。以上の意味から、原発関連の交付金など、いわゆる「原子力マネー」の実情・実体を理解していただくために、まず初めに、原発施設を誘致した場合に関連した国の交付金の類がどのように支払われることになるのか、最近注目されている山口県上関町の使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設を実例として、具体的に説明します。次いで、「電源三法交付金」と称されている原発施設の建設に関する国の交付金制度の全体像について、その概要を示すとともに、原発推進のための最近新たに設けられている交付金制度などについて説明します。

Ⅰ:山口県上関町が燃料中間貯蔵施設の調査を受け入れた背景と建設に関連した各種交付金について

上記のように去る8月18日、山口県上関町の西哲夫町長が、中間貯蔵施設(注参照)の建設に向けた中国電力と関電による調査を受け入れることを表明しました。あくまでもまだ調査受け入れの段階ですが建設が実現されれば、完成すれば、青森県むつ市に次いで国内で二カ所目の中間貯蔵施設になります。

(注)「中間貯蔵施設」:本来であれば各原発の使用済みの核燃料は原発内のプールで保管された後、青森県六ケ所村の使用済み燃料の再処理工場に搬入されるはずなのですが、再処理工場の完成が大幅に遅れているため現在のところ搬入できません。このため使用済み燃料は原発敷地内のプールに保管されていますが、プールの保管容量に余裕が少なくなりつつあり、原発によっては、このまま放置するとプールは満杯になり使用済み燃料の保管場所がなくなり、その結果、原発による発電を続けることができなくなりかねません。電事連の調査では、今年3月末の時点で、国内にある原発内の貯蔵容量2万Ⅰ350トンのうち7割以上が埋まっています。関電高浜原発では、あと4年で発電敷地内の貯蔵施設が満杯になります。このような事態を避けるために窮余の策として計画されたのが中国電力と関西電力の共用による中間貯蔵施設です。再処理工場への搬入が可能になるまで、一時的に使用済み燃料を原発の敷地外に保管するための施設です。いつ再処理工場に搬入され実際に再処理が実施されるようになるかは現時点ではまったく不明です。このため、中間貯蔵施設が最終処分場と化してしまうのではないと懸念する声もあります。

中間貯蔵施設に関しては、調査受け入れだけでも、知事が同意するまでに、最大1.4億円が国から交付され、次いで知事同意後の2年間に最大9憶8000万円が交付されます。さらに、建設や運転段階では貯蔵容量に応じて(保管料を意味していると考えられる)交付金が出されます。また、実際に建設されれば固定資産税が入ります。このため、上関町の町長は「交付金や固定資産税が入れば、町の財政が安定するのは間違いない」としています。また、西日本新聞(2023年9月8日デジタル版)の社説によれば「立地調査から50年間の操業期間が終えるまでに、約350憶円の交付金が支給されることになる。これが受け入れの決め手になった」とされています。

上関町の場合、同町内に原発を建設する中国電力の計画が以前からあるため、関連の交付金がすでに支払われてきました(注1参照)。原発建設計画は福島原発事故後に中断されていますが、再開されれば、上記の中間貯蔵施設に関連した交付金以外に、原発建設に関連した交付金の収入が今後期待できるとされています。また一方において、上記のように原発関連の交付金が中断されているため、その後、高齢化・過疎化などにより財政が窮迫しているとして(注2)中国電力から何度も多額の寄付を受けています(注3参照)
(注1)発建設計画に関して国からすてに多額の交付金が出ています(金額:1984~2010に総額45憶円:原子力発電施設等立地地域特別交付金、当時の人口3500人)。以上は〈「原発のコスト」:大島堅一、岩波新書,2011年12月刊〉より。しかし2009年4月から敷地造成などの準備工事に着手していたものの、福島原発事故後に工事が中断され、交付金の支給も止まっています)

(注2)この40年で人口は3分の1の2310人に。高齢化率6割近い。町税収入は2億円に満たない。

(注3)中国電力は07~100年に24億円、震災後の18年に8億円、19年に4億円を上関町へ寄付しています。


Ⅱ:原発施設に関する国の交付金制度:電源三法交付金の概要について

次に、原発・原発関連施設を対象とした国の交付金制度について、その概要を示します。原発に関する地方自治体への交付金は「電源三法」と称される法律に基づいた「電源三法交付金」の制度に基づいています。この交付金は基本的には原発の立地に関するコストを対象としたものです。しかし、実際には交付金の対象は原発だけでなく原発関連施設(使用済み燃料再処理工場や使用済み燃料の中間貯蔵施設、高レベル放射性廃棄物最終処分場など)をも含めた多様なものとなっています。特に岸田内閣が脱炭素の手段として原発を推進することを、原子力基本法などの関連法規を改正することにより、政策として正式に決定しており、このため、最近は原発の再稼働や新増設、プルサーマル発電などを推進するための交付金などが設けられるようになっています。

電源三法とは、具体的には「電源開発促進税法」、「特別会計に関する法律(旧 電源開発促進対策特別会計法)」、「発電用施設周辺地域整備法」と称される法律を意味しています。これらの法律の主な目的は、電源開発が行われる地域に対して補助金を交付し、これによって電源の開発(発電所建設など)の建設を促進し、運転を円滑にすることであるとされています。

1960年代以降、日本の電力は、火力発電所に比重を強めていましたが、1973年に起きた第1次石油危機のために、火力発電所に依存する日本経済は大きく混乱しました。この経験を受けて、1974年に火力発電以外の電源を開発することによって電力に関するリスクを分散し、火力発電への過度の依存を脱却することを目的として、電源三法が制定されたとされています。電源三法による地方自治体への交付金は「電源三法交付金」と称されています。このような電源三法の体系は1974年に作られました(以上の電源三法に関する説明は主に「ウィキペディア」などによる)。

原発の新設が決まると、環境への影響に関する評価の開始時点から交付金の支払いが開始され、その後は、運転開始、稼働期間を通じて支払われることになります。支払われる交付金は、大きくは5種類の交付金から成る「電源立地地域対策交付金」と「原子力発電施設立地地域共生交付金」です。

・原発1基あたり45年間に1240憶円の電源三法交付金(2010年当時)
資源エネルギー庁による2010年3月の資料(「電源立地制度の概要」)に基づけば、135万キロワットの原発の場合、建設期間を10年とした場合、運転開始までに449憶円が自治体(立地市町村に支給される場合もあれば立地道県に支払われる場合もあります)に支払われ、さらに運転開始後も年間20億円程度の交付金が出され、運転開始後30年を超え原発が老朽化すると「原子力発電施設立地地域共生交付金」が追加され、30~34年目には30億円程度が自治体に入ります。これらをすべて合計すると、原発1基当たり1240憶円が45年間の間に支給されることになります。(以上、資源エネルギー庁の資料に関しては前掲書「原発のコスト」による)。福島原発事故後から現在までに、とくに岸田政権により脱炭素を理由に原発推進の政策が決定されてからは、後に述べるように新たな内容の交付金制度なども設けられているために、また関連法の改正により運転期間が60年超になる場合も考えられるため、上記の1基あたり1240億円という電源三法に基づく交付金の総額は、今後さらに大きなものになるものと考えられます。

・交付金の財源
電源交付金の財源は「電源開発促進税」と称される税金です。この税は消費者が支払う電気料金に含めて徴収されるため、税制に基づく需要がなくても、すなわち交付金支払いの必要性がなくても、資金的には毎年確保されます。このように税収に余裕があるため、使途が次第に拡大され、2003年度からは地場産業振興、コミュニティバス事業、外国人講師の採用による外国語授業などにまで支援の対象になっている事例も存在しています。もともと交付金の使途は、公民館や体育館、温水プールなどの公共施設に限定されていましたが、現在も公共施設が主な使途となっています。以下に交付金の使途の例として、山口県上関町、再処理工場が建設中の青森県六ケ所村、中間貯蔵施設を誘致した青森県むつ市の場合を示します。


Ⅲ:交付金使途の実態:原発施設を立地している自治体の財政に大きな影響を及ぼしている交付金

《山口県上関町の例(町予算歳入の大きな部分を占める原発と中間貯蔵施設の交付金)》

先に述べたように、山口県の上関町(人口約3500人)は上関原発の建設を対象に1984~2020の間に約45億円の交付金が支払われており、その結果、2011年度一般会計当初予算歳入(44億円)のうち、税収部分は歳入部分の5%にあたる約2億千万であったのに対して、原発がらみの歳入はおよそ3分の1に当たる約14億円に達していました。このため、交付金は中国電力からの多額の寄付(2007年以降24億円)とともに、原発受け入れの原動力になっています。このように、交付金は地元自治体を原発がらみの資金漬けとも言うべき状態にしてしまいます。その後、福島第一原発の大事故のため原発の建設が中断されたために原発建設に関係した交付金は中断されていますが、中間貯施設の建設が決まれば前述のように中間貯蔵施設の建設に伴う交付金が長期〈50年間〉にわたり支給されることになるため、町の予算において交付金が占める割合が高い状態が今後も長期にわたり続くものと考えられます。

《青森県六ケ所村の例(使用済み核燃料の再処理工場):「再処理の事業がなくなれば、貧しい過去に逆戻りだ」の声も》

青森県六ケ所村((人口2021年3月31日現在:約1万100人)に建設中の核燃料サイクルの中核施設である再処理工場は、1993年に着工されたのですが、未だに完成しておらず今後の見通しは不透明です。しかし、これまでに極めて膨大な費用が投入されており、2021年6月28日の 日経(デジタル版)によれば、「経済産業省の認可法人である〈使用済燃料再処理機構〉(青森市)が、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の総事業費が14兆4400億円になったと発表した」とされています。

核燃料サイクルの中核施設である再処理工場の計画は、上記のように、通常の原発新設とは比較にならない、これまでに例がない極めて大規模の事業です(通常の原発の建設費は、以前は5000億円~6000憶円程度、最近は安全対策費などにより大幅に増えており、場合によっては1兆円超になるとされています)。このため、建設工事開始から今年で30年が経ちますが、この間、通常の原発建設に伴う交付金をはるかに上回る膨大な額の交付金や関連費用が国から支出されているものと考えられます。しかし、交付金など関連費用の総額がどの程度のものであるか、その全体像は定かではありません。このため、交付金などに関して、最近明らかにっている事柄だけを以下に記すものとします。

六ケ所村は春から夏にかけて吹く「やませ」のために農業は振るわず、不漁も続き、農家は出稼ぎをせざるを得ませんでした。高度成長期に石油コンビナート建設計画が国策として浮上したものの、賛否で村を二分されましたが計画はとん挫、そのあと1980年代に再処理工場建設が計画され、1993年から建設工事が開始されました。

六ケ所村では、再処理工場に関して、かつて賛否で村が二分されることもありましたたが、高齢化や転出などにより、今では反対派はわずかであるとされています。工事着工の1993年以降、様々な交付金が入り続けるため、再処理工場はいまだに未完成なのですが、「再処理の事業がなくなれば、貧しい過去に逆戻りだ」、「ずっと未操業が一番」との声さえあるとされています。村内には再処理事業を担う日本原子力燃料㈱や関連会社の関係者も多数いるため、今では表立って反対する声はわずかであるとされています。再処理施設に関する1985~2021年の工事発注額は約5兆円ですが、そのうち9000億円超を県内の企業が受注しています。そのうえ、多額の固定資産税が地元自治体に入るなど、稼働せずとも村や県は経済的に潤うことになります。さらには、再処理工場が稼働すれば税収が増えることが期待できます。

・六ケ所村、交付金漬けの構図:
六ケ所村の2022年度の一般会計の歳入は約150億円ですが、このうち日本原燃にかかわる電源立地地域対策交付金が約15%を占めており、約22億円に達しています(朝日デジタル版2022年9月8日による)。再処理工場は建設から操業段階に変わると交付単価が上がり、固定資産税も入るため、村の財政にとって再処理工場が操業するに至るかどうかは大きい問題です。村の幹部は「稼働すれば税収が30億円増える」と期待しています。

 使用済み燃料が搬入されなくても、再処理工場が稼働しなくても、誘致に手を上げた六ケ所村には国から交付金が入ることになります。肝心の使用済み燃料が搬入されない以上、核のリスクにさらされることもありません。このため、上記のように「ずっと未操業が一番だ」という地元の本音も聞かれるという有様です。原子力施設の是非を巡って住民が分裂し、施設受け入れに賛成した住民だけ残った結果、このような、まさに「交付金漬け」という状況が生じていると言えます。

(以上、六ケ所村の状況に関する説明は、主に2023年9月10日付け「47News」デジタル版の「核のまちを受け入れたら、今後どうなる」と題された共同通信の記事によるものです)

・青森県むつ市の例(中間貯蔵施設):財政悪化の打開策は50年間で1000億円の「核燃料税」
青森県むつ市(人口約5万4000人)は2003年に東電と日本原電との合弁会社による中間貯蔵施設の誘致を表明しましたが、一方において、交付金獲得の手段として、貯蔵される使用済み核燃料の量に合わせて課税する独自の「核燃料税」を導入することに関して、国の同意を得ました。このため貯蔵開始か50年間で1000億円以上の税収が独自財源として見込まれています。最終的に5千トンを最長50年間保管とされています。むつ市の今年度(2023年度)の一般会計当初予算総額は405億とされていますから、今後予算総額が大きく変動しないとすると、「核燃料税」により2年半分の予算が賄われることになります。むつ市の場合、税金として事業者から徴収する形をとっていますが、この独自の税制は国の許しを得たものであるため、実質的には、国による交付金に代わるものであると言えます。
むつ市は赤字団体へ転落するかもしれないとい危機感から中間貯蔵施設を誘致したという経緯があります。当時、宮下宗一市長(現青森県知事)は「国策に依存していると皆さんは見ると思う。だが自主財源として確保できれば、未来をつくる資金になる」としていました。


Ⅳ:電源三法交付金に代わる原発施設立地自治体への対策、原発の強力な推進を意図した様々な名目による新たな制度や交付金の出現

電源三法交付金の制度による様々の内容の交付金は福島原発事故よりも以前から支給されていますが、交付金という形式以外にも、上記の青森県むつ市の例にみられるように、「核燃料税」と称される地方税を電力会社から徴収することを原発施設が立地されている道県や市町村に特別に許可することにより、国が自治体へ財政支援を行うとなどの方法も採られています。

一方、福島原発事故後における国のエネルギー基本計画では、事故を反省して「原発への依存度をできる限り減らす」ことが原則とされてきましたが、岸田政権になってからは脱炭素社会実現のためという名目で原子力政策を大きく転換しています。すなわち、原発の運転期間を60年以上にするための法改正に伴い、原子力基本法までをも改正して基本法に原発推進を明記するなど、原発推進に大きく舵を切っており、今年の2月には、原発を「最大限活用」する方針を閣議決定するに至っています。このような背景の下に、最近、強力な原発推進を可能とする新たな交付金が次々に設けられようとしています。以下に、電源三法による交付金制度と並ぶ立地自治体支援策である「核燃料税」と福島原発事故後の新たな交付金制度などについて具体的な内容を記します。

・核燃料への課税
《核燃料税》:これは各原発が使用することを計画している核燃料に対して課せられる、法定外普通税(地方税法に定めのある以外の税目の地方税で、普通税であるものを指します)の一つであり、電源三法交付金と並ぶ「原子力マネー」の一つです。都道府県が条例で定めることができる税金であり、原子力発電所の原子炉に挿入する核燃料の価格を基準にして、原子炉の設置者である電力会社に課せられます。原子力発電所だけでなく再処理施設での取扱いなどにも課税されており、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場に関しても、「核燃料物質等取扱税」として徴収されています。

直接的には電力会社がこの税を負担することになるのですが、課税された分は必要経費に算入することにより、最終的に総括原価方式(必要経費よりなる供給原価に一定の利潤を上乗せして料金を決定する、電気・ガス・水道に適用される方式)により消費者の電気料金に転嫁されることになります。つまり核燃料税は、最終的には消費者が負担することになります。

核燃料税は、福島原発事故後、稼働している原発の数が減っているにもかかわらず、大幅に増えています。たとえば、福島原発の事故直後の2011年の税収総額は201億円でしたが、2020年度には467億円に達する見込みであり、10年間で2倍に達しており、事故前の水準を上回っています。福島原発事故以前、各地の原発が動いていた2020年度の総額403億と比べても大きくなっており、電気料金に影響を及ぼす可能性も考えられます。

核燃料税は原発を動かす際に使用する核燃料の価格に応じて課税するという方式で始まったのですが、福島原発事故の影響で各地の原発が止まり、2011年度には立地6県で税収がゼロになりました。このような状況の中で、福井県が2011年秋、原子炉の出力に応じて課税する「出力割」という課税制度を始めました。これは原発が止まっていても一定の税収が得られる仕組みであり、他の道県も続いて導入しています。愛媛県は2014年に廃炉になった原発にも「出力割」の制度を導入、佐賀県なども同様の措置を講じています。

《使用済み核燃料税》:使用済み核燃料に対する課税に関しては、福井県が2016年に、使用済み燃料の県外への持ち出しを促すとする「搬出促進割」と称される制度を導入しています。次いで、2019年に、愛媛県と佐賀県が、四国電力伊方原発と九電玄海原発に保管されている使用済み燃料に関して課税を開始しています。また県だけはなく、立地されている伊方町と玄海町も課税を初めており、同一の原発に二重に課税するという状況になっています。また、前述のように、青森県むつ市は中間貯蔵施設に保管される使用済み燃料に関して課税を行うとしており、5年間で93億円の税収を見込んでいるとされています。
 使用済み核燃料税を全国で最初に福井県が開始した1976年からの全立地自治体による税収は、2020年度までに計1兆円を超えており、今後さらに増える見込みです。

このように課税が強化されていることの背景には、原発が止まって廃炉が進む一方で、立地自治体の収入となる固定資産税や電源三法交付金が減っているという事情があるものと考えられます。立地自治体の多くは「原発が動いていなくても、避難道路の整備など、財政需要がある」などとしていますが、税収の使途には、実際には温泉施設の維持管理など直接関係のない支出も目立っています。

 2016年の電力自由化までは、核燃料税と使用済み核燃料税の電力会社に対する課税分は利用者の電気料金に上乗せされていましたが、自由化後もこれらの課税分は電気料金に含めて回収されるため、消費者が負担する電気料金に影響を及ぼす可能性が存在しています。(以上、核燃料税、使用済み核燃料税などの税収額に関しては主に2021年1月11日付け朝日新聞デジタル版による)

・プルサーマル発電を推進拡大するための交付金
エネルギー資源の乏しい日本は、使用済み燃料を再処理して得られるプルトニウムを高速増殖炉「もんじゅ」の燃料として再利用すること、ならびにプルトニウムをMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料)の形で核燃料として再び利用することを意図して核燃料サイクル計画を進めてきましたが、高速増殖炉の開発計画は完成の見込みがなく事実上放棄されているため、プルトニウムの使い道は通常のウラン燃料とMOX燃料を併用する、いわゆる「プルサーマル発電」しか存在していません。一方、プルトニウムは核兵器にも転用できるため、保有量を減らすよう米国など国際社会から強く求められていることから、国内でプルサーマル発電を通じてプルトニウムの保有量が減らすことが必要とされています。

この二つの理由から、国はプルサーマル発電を推進するよう電力会社に求めています。政府は当面、2030年度までに12基以上の原発でプルサーマル発電の実現を目指していますが、現時点ではわずか4基の原発に留まっています。このため経済産業省は2022年度に、再処理により得られたプルトニウムをプルサーマル発電に用いることに新たに同意した原発立地自治体に交付金を出す方針を決定しています。
電気事業連合会によると、原子力規制員会による安全審査に合格し、再稼働を準備中の中国電力島根原発2号機や日本原子力発電の東海第二原発などでのプルサーマル発電が想定されているとのことです。

1993年に着工した青森県六ケ所村の再処理工場はトラブル続きで完成時期が何度も延長されており、現時点では2024年度中に完成とされています。再処理工場が実際に本格稼働すればプルトニウムの保有量がさらに増える可能性も考えられます。一方、プルサーマル発電には、運転中の原子炉の安定性がウラン燃料のみによる通常の発電よる場合よりも劣るこという欠点や、MOX燃料の価格がウラン燃料よりも格段に高いため、プルサーマル発電を行うことはエネルギー資源の有効利用という意味は有していても経済的メリットは存在していないという欠点が存在しています。このため、国がプルサーマル発電を推進拡大することを意図しても、実際にどこまで拡大することができるかは、大いに疑問です。
また、プルサーマル発電に関しては、2009年までに同意した自治体へ向けての別の交付金制度が存在していましたが、現在は打ち切られています。(上記の電気事業連合会による情報は2022年1月3日の日経デジタル版による)

・原発の再稼働を促進するための交付金

岸田政権は原子力政策を大きく変更し、脱炭素社会実現のためとして原発を積極的に推進することを掲げていますが、当面は福島原発事故後運転を停止している原発を1基でも多く稼働させることに注力することを方針としています。

現在、国内には33基の発電用原子炉が存在しています。このうち、福島原発事故のあと新しい規制基準の審査に合格して再稼働しているのは、去る9月15日に再稼働した高浜原発2号機を加えて、全国で12基となりました。すなわり、これまでに九州電力が川内原発1号機と2号機、玄海原発3号機と4号機を、四国電力が、伊方原発3号機を、関西電力が高浜原発1号機から4号機、大飯原発3号機と4号機、美浜原発3号機を再稼働させています。
原発が再稼働された際、立地道県は、地域振興計画を策定して国に申請すれば、最大5億円を受け取ることができます。ところが、2022年11月に経産省は、原発が再稼働された場合に立地自治体が受け取ることができる交付金について、原発が立地されている市町村に隣接する県にもこの交付金の対象を広げており、隣接県には最大2.5憶円を支給するとしています。

この改正は島根原発がある松江市に隣接する鳥取県が、原子力防災に等に要する費用について、国に財政支援を求めていたことを受けて拡充したものであり、特例として2023年3月までに再稼働に同意するなどの条件を満たした場合は、立地する県には最大10億円、隣接県は最大5億円とする規定も盛り込まれています。このような特例を設けるという措置を講じていることからも、国が再稼働に至る原発を1基でも増やすことに非常に注力していることが分かります。

原発が立地されている市町村に隣接している県は、この他に、敦賀原発2号機がある福井県敦賀市に隣接する滋賀県があります(以上、島根原発に関する説明は2022年11月10日のNHKデジタル版)。
     
また、2021年に福井県が老朽化原発の再稼働を受け入れた際には、国は1発電所当たり最大25億円の交付金を出すという支援策を提示していたとされています(2023年9月18日付け朝日新聞)。

・原発の安全対策を公的に支援することを意図した新たな制度の導入
 経産省は去る7月26日、脱炭素に関する審議会を開催しました。この審議会は、再生可能エネルギーの発電所を新設したり、火力発電所などで二酸化炭素の排出を減らす改修を行ったりした際、電気の小売り事業者の負担で原則20年間は発電容量に応じた固定収入が保証されるようにすることにより、投資の回収を支援する仕組み内容とする「長期脱炭素電源オークション」と称される新たな制度を今年度中に導入することを目指して行われたものです。ところが、経産省はこの会議において、既存の原発の再稼働を促すため、原発の安全対策にかかる費用は脱炭素の実現に貢献する投資であると位置づけることにより、上記の新たな支援制度の対象に加える検討を始めることを明らかにしました。

 全国の原発では、新たな規制基準に合格するために追加の安全対策が講じられており、電力各社によると、その額は再稼働した原発1基当たり2000億円前後と巨額の負担になっているとされています。昨年8月の時点で、大手電力11社における負担は少なくとも計5兆4千億円に達するものと見積もられていますが、総額は今後さらに膨らむ見込みとされています。

原発の安全対策に要する費用が脱炭素促進のための上記の新制度に対象とされることになった場合、安全対策のための費用は電気の小売り会社(大手電力会社、新電力)を介して、家庭などの消費者が負担する仕組みになっています。このため、再生可能エネルギーによる電気を売る新電力の利用者も原発推進を下支えすることになります。当初の条件は原発の新設や建て替えなど「運転開始前」の原発に対象が限定されていたのですが、この条件に既存の原発も含められることになると、この新制度自体は原発支援の色彩を強めることになります。審議会では「原発の安全対策で二酸化炭素が減るわけではないため、脱炭素促進を意図した新制度の趣旨に沿わない」などとする反対意見も出されましたが、原発の安全対策費がこの新制度の対象とされる可能性は大きいものと考えられます。(以上は2023年7月26日のNHKデジタル版、同日の朝日新聞デジタル版などによる)

・電力会社から原発立地自治体への多額の寄付
以上は国による原発立地自治体あるいは原発を保有する大手電力会社への支援策ですが、立地自治体への支援策の一つとして、これらの支援策に加えて、電力会社から立地自治体への寄付という手段が存在しています。電力会社により巨額の寄付が行われていることは、各地の原発が立地されている自治体で確認されています。電力会社による寄付は電源三法に基づく交付金とは異なり、法律に基づくものでありません。しかし、またその財源は元を正せば消費者が支払う電気料金です。

 たとえば、前述のように中間貯蔵施設の建設を受け入れようとしている山口県上関町は、これまでに中国電力による多額の寄付を受けています。以前から中国電力による原発建設計画がありました。福島原発事故後に計画は中断されているため原発建設に関連した交付金は途絶えましたが、計画中断後、上関町はこれまでに何度も町の財政難を理由に中国電力に寄付を要請しており、このため前述のように中国電力は2007~2010年に24億円、震災後の18年に8億円、19年に4億円を寄付しています。

また、関西電力は1970~2009年度に17回にわたり少なくとも44億円を原発が立地されている福井県高浜町に寄付してことが知られています。このうち6回は関電による寄付であることが明記されていますが、3回は匿名にされていました(以上は2019年10月20日付け朝日新聞デジタル版による)。

一方、原発の運転が停止されている、福井県敦賀市に立地されている日本原電(日本原子力発電㈱)の敦賀原発(3基,内1基は廃炉が決定)に関して、関電と日本原電が市道整備費として2018~2021年に15億円を提供することが明らかになったとされています(これは実質的に寄付ですが、両社は道路法に基づく負担金としています)。また、これとは別に、日本原電は2009~2013年に計19憶8千万円をこの市道建設のために寄付しており、原発災害発生時のアクセス道路として費用を負担したとしています。 

(おわりに)
以上、国の電源三法に基づく交付金を中心に、原発推進ために「原発マネー」がどのように投入されているのか、実例を交えて、ごく大雑把な説明を記しました。電源三法に基づく交付金の財源は電源開発促進税であり、この税は電気料金に含められる形で消費者が負担しています。また、大手電力会社による立地自治体への寄付など地元対策のための費用も、結局は消費者が負担することになります。大手電力の電気の消費者だけではなく、再生可能エネルギーによる「新電力」の消費者も同様に負担することになります。すなわち、原発は不要と考える市民も知らぬ間に原発推進に協力することになるというのが原発マネーの巧妙な仕組みなのです。原発施設の立地自治体を様々な形で「原発マネー漬け」にすることにより原発を推進しようとする国の姿勢は、今後強まる一方であろうと考えられます。この意味から、私たち電気の消費者である市民は常に「原発マネー」の動きに目を向けていかなければなりません。 

2023年10月1日

《 脱原発市民ウォーク in 滋賀 》呼びかけ人の一人:池田 進

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