21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

脱原発 市民ウォーク in 滋賀 1月の予定

2022-11-23 21:52:15 | 記事
老朽原発うごかすな!大阪地裁は美浜3号機運転禁止仮処分を至急出せ!

 
◆ 第109回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆

40年超えの老朽原発再稼働の日本初の実績作りのため、昨年たった3カ月の営業運転で
テロ対策施設未完成で運転停止し、今年に入りその建設が完了したと称して、2カ月半も前倒しで
8月10日に再稼働するはずの老朽原発・美浜3号機では、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚しました。

その後もいろいろ事故が発生して、8月30日に前日発表で関電は無理やりその美浜3号機を再稼働させています。
そして、今度はまだ「老朽」になっていない高浜4号機の原発でも10.21再稼働予定日にトラブル発生して、
運転先延ばしのおまけまで付けてまさに「てんぱってる」関電をご承知のはずの大阪地裁の裁判長は
老朽・美浜3号機運転禁止の仮処分をいつまでも出さないでいますが、年越すおつもりか?!

これら関西電力の失態、原発自体のふがいなさ、取り扱う人々の頼んなさをどうみるのでしょうか?!
それとも今や統一教会問題等々「アベ政治のつけ」が回ってきて、死に体の軍拡・原発推進の岸田政権と
心中したいのでしょうか?!

1450万人の近畿の水源=びわ湖と私たちの未来=子どもたち孫たちを守りましょう!
ご一緒に歩きましょう! 参加無料! 予約不要! 

<とき・ところ> 
2023年 1月21日(土)13:30  JR・京阪膳所駅前集合  

★コース = ときめき坂 ~ 元西武大津ショッピングセンター前 ~ 関電滋賀支社前~
       ~ びわ湖畔

☆主 催=21世紀 脱原発市民ウォーク in 滋賀 実行委員会
☆呼びかけ人・・・池田進(原発を知る滋賀連絡会 電話077-522-5415)
         岡田 啓子(ふぇみん@滋賀 電話077-524-5743)
         稲村 守(9条ネット・滋賀 電話080-5713-8629)


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<12月の予定>

12月は12.4老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会とデモに参加しましょう。
13時、大阪中之島・関電本店に大結集をしましょう!!


関電は40年廃炉の法律破り例外の60年も超え、岸田政権の後押しで
70年、80年と運転延長を追求



11月5日の第14回脱原発市民ウォークinしが近江八幡で呼びかけるにしむらしずえさん。
1450万人の近畿の水源:びわ湖と子どもの未来を守る湖東のデモは1年を超えた。

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「脱原発 市民ウォーク in 滋賀」 チラシのダウンロードは ⇒ コチラ

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福島第一原発の大事故から11年半  政府が原発回帰へと原子力政策を大転換

2022-11-09 16:09:24 | 記事
《第108回脱原発市民ウォーク・イン・滋賀のご案内》

今年も余すところあとひと月少々となりました。次回の脱原発市民ウォークを
11月19日(土)におこないます(午後1時半、JR膳所駅前広場)。

誰でも自由に参加していただけます。
ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。
(10月は老朽化原発である関電美浜原発3号機の運転停止仮処分に関して大阪地裁の
決定が下された場合は集会と市民ウォークをおこなう予定でしたが、
決定は下されなかたため10月の脱原発市民ウォークは中止いたしました)。


■■福島第一原発の大事故から11年半■■
■政府が原発回帰へと原子力政策を大転換■
■岸田首相が次世代原発の開発・新増設、原発再稼働の加速、運転期間の延長による原発の最大限活用の方針を表明■


岸田首相は去る8月24日、非公開で行われた脱炭素の実現に関して検討を行うための第2回GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議(注1参照)において、「政治判断」の名の下に、原発の新増設・建て替え、次世代原発の開発、再稼動の推進・加速、運転期間の延長などについて検討を進める考えを示しました(注2参照)。福島第一原発の大事故以後、政府は一貫して原発の新増設・建て替えは想定していないとしてきたため、これは福島原発事故以来の極めて大きな政策転換を意味しています。岸田首相はかつて5月27日の衆院予算委員会では「政府においては現時点では新増設・建て替えは想定していない」と発言しており、7月の参議院選挙に際しても新増設などについてまったく触れていなかったため、突然の方針転換であると言えます。このGX実行会議に出席していた経済界の代表である十倉雅和・日経連会長は「非常に高く評価したい」と述べているなど経済界からは歓迎の声があがっています。

(注1:GXすなわちグリーン・トランスフォーメーションとは太陽光発電や風力発電など温室効果ガスを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムや産業構造を変革させて成長につなげることを意味するとされていますが、最近は原発も含める動きが欧米などで現れています)

(注2:経産省に設けられている学識経験者・消費者団体の関係者などや原子力や電力業界の代表者など21人の委員から構成されている審議会「原子力小委員会」において検討するとされており、すでに9月22日に、同委員会で本格的議論が開始されています)

このたびの原子力政策の変更に関する岸田首相の指示は福島原発事故後の「できるかぎり原発に依存しない」社会を目指すという大きな社会の流れを覆す大転換を意味しています。なぜこの時期に突如岸田首相が原発の新増設・建て替えを中心的な内容とする原子力政策の大きな変更を求めたのか、その理由は定かではありませんが、より直接的な理由としては、ウクライナ紛争に端を発して「電力(供給)危機」云々が声高に叫ばれていることが考えられます。また、福島原発事故後も一貫して経団連を中心とした財界・経済界から原発推進に向けての圧力がかけられてきたという国内の関係者の動向も背景に存在していることは間違いありません。さらに、一方において、EU議会が2022年7月に原子力による発電を持続可能な経済活動に含めることを認めており(欧州議会、天然ガスと原子力を持続可能な活動とするEUタクソノミー委任規則案を承認(EU) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)、フランスをはじめとしたいくつものEU内の国が、原発の新設計画を打ち出し、原発への依存度を高めるなど原発利用に積極姿勢を示すに至っているという海外の動向も政策変更に影響を与えているものと考えられます。

【GX実行会議において岸田首相が示した原子力政策変更の主な内容】

岸田首相が上記のGX実行会議で示した原子力正確に関する主な方針は以下のとおりです。
(1) 原発の新増設・建替え、すなわち次世代原発(革新炉など)の開発・建設
(2) 既存原発の最大限の活用、すなわち原子力規制委員会の審査を終えているが未稼動の7基の原発の再稼動の促進
(3)運転期間の延長、
(4)使用済み燃料の再処理・廃炉・最終処分のプロセスの加速化

政府によるこれらの方針が主に目標としているのは、将来的にエネルギーを安定して確保することを念頭において、まず運転期間の延長により既存の原発をこれまで以上に長い期間使用できるようにすること、ついでその間に原発の新増設を推進することであろうと考えられます。以下にこれらの主な方針の概要について記します。

方針Ⅰ 原発の新増設・建て替え

原発の新増設あるいは建替えを方針とすることは福島第一原発事故以後の最大の原子力政策の転換です。具体的には、たとえば「革新軽水炉」と称される次世代原発の導入を念頭においたものです。経産省が7月に示した開発に関する将来の計画案では次世代原発とは以下に示す5種類であるとされており、上記の経産省原子力小委員会の委員長である山口彰氏(原子力安全研究会理事:元東大教授、元日本原子力学会会長)も次世代原子炉に関する経産省の方針を是認しています(2022年10月18日付け朝日新聞)。

《次世代原子炉」の種類》

革新軽水炉:最新の安全設備が設置されるか、現存の技術の延長線上にある原子炉。海外での建設実績があるとされている。経産省の案では「最優先に取り組む」とされており、2030年代の商用運転が目標。三菱重工や日立・GEが開発に名乗りを上げている。

小型軽水炉(小型モジュール炉=SMR):出力が数万~30万キロワット程度の小型原子炉。既存の原発より冷却が容易であり、既存の軽水炉の安全性を向上させたものとされている。米国やフランスで建設が進められるなど海外で有力視されており、自民党内にはSMRを推進する動きがある。しかし大型の軽水炉と同じ発電量を得るには数多くの建設することが必要とされる。

高速炉:金属の液体ナトリウムで冷やす方法が想定されているが、ナトリウムは発火しやすく扱いが容易ではない。事故やトラブルが相次いだ《高速増殖炉もんじゅ》の廃炉が2016年にきまっている。

高温ガス炉:冷却にヘリウムガスを使用する。日本原子力開発機構が研究を行っているが、発電の技術はまだ確立されていない。

核融合炉:重水素と三重水素(トリチウム)を高速で衝突させて核融合させる際に生じるエネルギーを活用する。日米欧で研究されているが、未だ研究段階の未来技術に過ぎない。

政府は、福島第一原発の事故後、「原発への依存度を可能な限り低減する」とする一方で、新増設の余地を残しておくために次世代原子炉の技術開発について検討を進めていました。しかし、上記の高速炉、高温ガス炉、核融合炉はまだ技術的に研究開発段階にとどまっており、実用化の見通しは不明です。またSMRは海外では有力視されているものの日本の電力会社はコストなどを理由に消極的です。以上のような状態のまま政府として新増設を打ち出しても現実性に欠けるため、経産省は今年4月に次世代革新原子炉を議論する審議会を立ち上げ、海外で建設の実績がある上記の「革新軽水炉」を次世代原子炉の候補に入れました。このため政府が目指している次世代原子炉の本命は、もっとも早い30年代に商業運転が開始できるとされている「革新原子炉」であると考えられます。

《次世代原発建設の問題点》

次世代原発による原発の新増設・建て替えは前述のように経済界・財界から歓迎されており、また民間でも、シンクタンクの「日本エネル―経済研究所」は「脱炭素を目指すなかで原子力はクリーン電源になる。増設や建て替えの議論を今から始めるのは、本当は遅いくらいだ」(同研究所理事の山下ゆかり氏:2022年8月25日付け朝日新聞)と積極的な姿勢を示しています。しかし、次世代原発の建設・稼動には大きな問題点がいくつも存在しています。

まず問題なのは、次世代型原発としていくつものタイプが挙げられているものの、本命とされる「革新軽水炉」なるものの内容が明確でないといことです。すなわち既存の軽水炉とのと違いが定かではありません。既存の技術の延長線上にあり、最新の安全設備を搭載するとされており、「 革新軽水炉の既存炉との違いは、(1)耐震性が強化されている、(2)航空機が衝突しても耐えられる、(3)炉心冷却の手段が多様化されているなどとされています。しかし、原子力規制委員会の審査に合格し再稼動されている(あるいは再稼動を準備している)既存の原発の場合、これらの特徴の大半をすでに備えているものと考えられます。したがって、いったいどこが「革新」なのか、どこが「次世代」なのか、疑問に思われます。この点に関して、経産省は市民団体「原子力資料情報室」からの革新軽水炉の定義についての確認の問い合わせに対して、「福島第一原発事故後の新規制基準に適合するものは既存の原発も含め革新軽水炉であり、また欧米や中国で稼動中または建設中の原子炉も含まれる概念である」と答えています(要請 原発新設に関する世論調査について | 原子力資料情報室(CNIC))。つまり、次世代原発である「革新軽水炉」として建設される可能性が最も大きい原子炉は、多少の改善が施されるとしても、現在のレベルの原発すなわち新規制基準に合格している既存の原発と基本的に大差ないものに過ぎないということになります。これでは政府が主張する「次世代原発の建設」という命題の中身は、単に既存の原発を新増設することと何ら変わりがないということになります。すなわち、この政府の原発に関する新方針は、「次世代原発」を装って、これまで控えてきた既存の原発の新増設を推進することに他なりません。このようなもっともらしく「次世代原発」を称して、これまで控えてきた原発の新増設を行おうすることは国民の目を欺く行為であり、原子力行政への信頼を失わせるものと言わざるを得ません。ほんとうに「次世代原発」を目指すのであれば、少なくとも安全性が既存の原発よりも大幅に改善されたものでなければ意味がありません。

「革新軽水炉」に関するもうひとつの重要な問題点は原発の建設や発電に際してのコストです。原発の建設費は、福島原発事故以前は100~150万キロワット級の原発の場合、4000億円~5000億円でしたが、事故後は、事故防止のために規制が厳格化されているため、欧米では1兆円を越しています。日本で建設する場合も1兆円規模が必要であるあるものと考えられます。このため、大手電力会社からは国に資金援助を求める声がでており、政府は発電所の新設のために検討している新たな支援策に革新原子炉を含める方針であるとされています。すなわち、「革新軽水炉」の建設は、結局は国民の負担となる国の補助金なしでは成り立たないといことになりかねません。さらに、発電コストの問題が存在しています。発電コストに関しては、経産省の試算でも2030年時点で原発よりも太陽光発電の方が安くなっており、次世代原発が稼働するころには、コストの差はさらに拡大すると予想されます。

また、原発が稼動されるに至るまでの期間が長いことも問題です。原発新設の計画から稼働に至るまでには少なくとも10年以上は要するとされているため、革新軽水炉を建設しても稼働に至るのは早くても2030年代です。このため原発の新設は2030年代に至るまでは現在の電力需給に貢献することはなく、また温暖化ガスの削減に役立つわけでもありません。一方、日本で実際に建設しようとする場合、はたしていずれの電力会社がどこに建設するのかが定かでないという点も問題です。福島原発事故後、原発への不信感が強いため、国が旗を振っても手を挙げる電力会社があるのかは定かではありません。

上記のような種々の問題点の存在を考えるならば、「次世代原発」という言葉だけが先行しているだけであり、革新軽水炉の実現可能性は極めて不透明であると言わざるを得ません。

方針Ⅱ:既存原発の最大限の活用を意図した既存原発の再稼働の加速・促進

政府による原子力政策の転換については、すでに経産省の審議会である原子力小委員会で9月22日から本格的議論が始められており、原発の新増設や運転期間の延長も検討されることになりますが、最初に大きな論点となるのは今秋中に対策をまとめるとされている既存原発の「再稼働の加速」という問題です。これまでに原子力規制委員会の審査を通過し、地元の同意を得てすでに再稼動している原発は10基存在しています。この他に、規制員会による主な審査は通過しているものの再稼働には至っていない原発が7基存在しています。このため岸田首相は上記の8月に行われたGX実行会議において来夏以降これら計17基の原発の再稼動を進める方針を示しました。

上記の17基を原発のうち規制委による審査を終えているものの再稼働に至っていない7基の原発の2022年9月現在の状況は以下のとおりです。

東電柏崎刈羽原発 6号機、7号機:再稼働時期は未定、テロ対策に重大な不備があっため核燃料の移動が規制委により禁じられており、また地元の同意が現時点では得られていない

東北電力女川原発 2号機:工事中、24年2月に運転再開予定

日本原電東海第二原発 再稼働時期は未定、避難計画が未定のため地元同意が得られず

関電高浜原発 1号機:工事中(23年9月稼働予定)、2号機:工事中(23年7月稼働予定)

中国電力島根原発 2号機:工事中(23年にも稼動?)


上記の再起稼動には至っていない原発7基のうち、当面問題となるのは再稼動へのめどがまったく立っていない柏崎刈羽原発6,7号機と東海第二原発です。柏崎刈羽原発の場合、基本的なテロ対策の不備が相ついで発覚し、そのため規制委員会の命令により運転が許されていない状態にあります。また再稼働に必要な地元新潟県の知事の同意も得られていません。東海第二原発の場合は地元の同意が得らえていないだけではなく、重大事故が起きた際の自治体による避難計画が未だに策定されていないという問題が存在しています。

岸田首相はGX実行会議で「国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」と発言していますが、経産省原子力小委員会における意見は「事業者と国がそれぞれの役割をしっかり果たしていくことを必要とする」という内容のものに留まっており、現時点では再稼働加速のための具体策が存在しているわけではありません。しかし、このような状況の中で、最近はウクライナ紛争の余波で天然ガスなどが高騰するなど燃料供給を不安視するという状況が現れており、電力供給の「危機」が政府、電力業界などにより声高に主張されるようになってきているため、エネルギーの安定供給を切り札にして、この機会に乗じて、強引に原発再稼動を推進するのではないかと懸念され、先行きは極めて不透明であり予断を許せません。

方針Ⅲ 運転期間の延長

原発の運転期間をどのように設定するかは、原発の施設や機器の老朽化という観点から原発の安全性に本質的に関わる極めて重要な問題です。原発の運転期間は福島原発事故後に「原則40年+場合により1回に限り、さらに20年」とされていますが、経産省はこの運転期間について、電力の安定供給などを理由にもっと延長できるようにする法改正の検討に入っていると報じられており、延長の手段として以下の二つの方法を考えているとされています。

1:上限を設けず、設備の状態などに応じ原発ごとに判断する。
2:稼動していない期間を「40年」の運転期間から除く

政府の方針は、運転期間が原子炉等規制法における現行の40年+20年という規定を同法
から削除し、より長くすること、すなわち「原則40年、一度だけ60年まで延長」という現行の規定を変更し、運転期間を60年を超えて延長することを考えています。国の方針を受け、原子力規制員会は、10月5日、原発の運点期間を原則40年と定めた原子炉等規制法の規定を削除することを容認する意向を示しています。すなわち、2017年に規制委員会委員となり今年の9月27日に委員長に就任したばかりの山中伸介氏は「運転期間の上限を一義的に決めることは科学的・技術的に困難」として、原子炉等規制法を所管する規制委員会は、運転期間の原則を何年にするかは「政策判断」として関与しない立場であるとしており、同日の記者会見で「規制委が意見を申し上げることはない」と述べ、40年という原子炉等規制法における規定を削除するとする経産省の方針を容認しています(2022年10月6日付け朝日新聞、東京新聞デジタル版など)。

しかしながら、運転期間に関する判断を規制委員会ではなく経産省に委ね、政策判断の問題であるとすることは、原発の老朽化に起因する事故発生の危険性いうことを考えるならば、明らかに間違った判断であると言わざるを得ません。政策判断の結果にしたがって原発の老朽化が進行するわけではないからです。運転期間の問題、すなわち老朽化の問題は、確かに政策判断という要因が絡むものの、何よりもまず科学的技術的な問題であること、すなわち規制員会が関与すべき問題であることは明らであるからです。

経産省は規制委とも協議し、原子炉等規制法も含めた改正に向けて協議するとしていますが、上記のように規制員会による科学的・技術的な観点からの検討と判断を欠かすことができないことは明らかです。現行の「原則40年、最長60年」のルールは議員立法によるものであり、民主党政権下で当時野党の自民党も賛成したものです。当時の政策判断によるものではあったものの、このルールには、ある時点ではまだ使用が可能であるとしても、どこかの時点で運転継続を認めないとする区切りをつけることにより、福島原発事故を踏まえて将来的に原発への依存度を減らしていくという方向性を示すという意味が込められていたのです(その証拠に、この意図を反映して、福島原発事後以降のいずれのエネルギー基本計画においても「可能な限り原発への依存度を低減する」という方針が明記されており、また実際に事故後に21基の廃炉が決まっています)。この40年ルールの直接的意図は老朽化原発による事故のリスクを下げることでした。このたび政府は運転期間を現行よりも長くすることは意図していますが、たとえ「運転期間の上限を一義的に決めることは科学的・技術的に困難」であるとしても、運転期間が長くなれば長くなるほど中性子の照射による原子炉中心部の老朽化などが進むなど、長くした分だけ事故が発生する確率が高まることは自明です。したがって、より長くするという「政策的判断」は、事故のリスクを40年とした場合よりも増大させることにはなっても、決して事故のリスクを低減させることには結びつきません。

原子力規制委員会は、かつての規制機関である「原子力保安院」が原発推進の立場である経産省内に設けられていたために安全性確保という観点から原発を規制するという役割を十分に果たしていなかったことを反省して新設された行政組織です。民主党の政権下で、原発推進の姿勢をとる経産省ではなく環境省の外局として原子力規制委員会を設置し、同委員会の事務局として原子力規制庁を置くこと、ならびに同委員会を国家行政組織法3条2項の委員会(いわゆる「三条委員会」)として独立性を高めることなどを定めた法律が制定されることにより誕生した組織であり(福島原発事故の翌年、2012年6月に衆参両院で可決)、原子力規制委員会設置法の第3条(任務)において「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(再処理と廃棄を含めた原子炉に関する規制に関することなど)を任務とする」と規定されています。原発の運転期間をどの程度が適切とするかは原発の安全性確保に関わる極めて重要な問題であり、科学的・技術的側面からの検討を欠かすことができない原発規制における課題であることを考えるならば、運転期間の問題が上記の条文に示されている規制員会の任務のうちに含まれることは明らかです。それにもかかわらず規制委員会が運転期間の問題すなわち運転期間の延長問題に直接関わらないのであれば、それは法で規定されている規制員会の任務の放棄を意味しており、規制委員会の《独立性》は揺らぎ、国民の信頼を失いかねません。規制委員会の独立性を考えるならば、経産省が運転期間の問題に関わることには限界があると考えるべきです。運転期間の問題はあくまでも科学的技術的な検討を踏まえての規制委員会の自主的主的判断に委ねるべきです。

ところが、運転期間の問題は政策問題であり関与しないとしていた原子力規制委員会はつい最近になって、すなわち11月2日になって、原発の運転期間に関する現行の40年+20年ルールを撤廃するとした政府の方針を受け入れた規制見直しの案を発表しました。この案では、運転開始30年後からは10年を超えない期間ごとに規制委による設備劣化の評価を義務づけ、60年を超える場合でも同様の評価を行い、安全と評価されれば60年を超えて運転を可能とするというものす(2022年11月3日付け朝日新聞など)。この案に従うならば米国におけるような80年運転も可能になるという事態も考えられます。

なぜ独立性が高いとされる規制委員会の新委員長は一度「運転期間の延長は政策判断によるべきものであり、規制委は関与しない」と明言しながら、経産省の審議会における検討もまだ不十分な段階で、審議会における検討作業に先行して政府の方針をそのまま受けいれる案を示すことにしたのでしょうか?

理由は定かではありませんが、新委員長が「規制委は関与しない」と判断した要因の一つは、原発推進の立場にある経産省、自民党内の原発推進を意図する議員連盟の存在、原発の新増設などを求める電力業界、岸田首相の方針を全面的に支持する経済団体などによる圧力が強まりつつあることではないかと考えられます。たとえば、福島原発事故後、規制委発足の当時は規制委員会を所轄する原子力規制庁の幹部すなわち規制長官、次長、原子力規制監のトップ3は警察庁と環境省の出身者であり、原発を推進してきた経産省以外の出身者でしたが、2022年7月になって、トップ3はすべて経産省出身者で占められるに至っています。次いで9月には、発足以来の規制のメンバーであり、続投が自然な流れと思われていた二代目委員長の更田豊志氏が委員会から退いたために発足当初の委員会のメンバーはすべていなくなりました。このような状況を考えるならば今後原発推進に向けて規制委員会に対する圧力は一段と強まるのではないかと考えられます。たとえば、岸田首相は4月に「規制の審査についても、合理化、効率化を図りながら、どこまで再稼働できるのかを追及していかなければならない」とテレビで発言し、規制委員会による審査のやり方にまで干渉するような発言を行っています(首相の発言は2022年9月19日付け朝日新聞)。発足から10年を経て、今や原発規制の要である規制委員会の独立性が疑わしくなりつつあると言わざるを得ません。

方針Ⅳ:使用済み燃料の再処理・廃炉・最終処分のプロセスの加速化

政府は使用済み燃料からプルトニウムを回収して再び原発で使用する「核燃料サイクル」を推進しているものの、そのための中核施設である使用済み燃料の再処理工場(青森県六ヶ所村)は1993年に着工したもののトラブル続きで未だに完成しておらず、今や総事業費は14兆円を超す見込みです。また、再処理工場が完成し稼動させたとしても、回収したプルトニウムが果たして既存の原発で消費することができるかどうかは不明であり、国際的に問題視される余剰プルトニウムが増加するだけという事態にもなりかねません。一方、福島原発の廃炉作業は、事故で溶けた燃料等が冷えて固まった「燃料デブリ」の取り出し作業が困難を極めるなど、先行きはまった不透明であり、また核廃棄物の最終処分場の建設も北海道の二つの町・村で選定プロセスの調査が開始されてはいますが、地元の反対は根強く、実現の見通しは不明です。このたびのGX実行会議で、国はこれらのプロセスを加速化するとされてはいるものの、そのための具体的方策・方針は示されていません。

再処理工場の問題も、廃炉や最終処分場の問題も、解決が容易ではない科学的・技術的要因が大きく関係しているため、政府が行政的な圧力をかけても解決に向けて「加速」させることができるわけではなく、このたびの国の方針はいわば「絵に描いた餅」に過ぎません。
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以上、さる8月24日に開催された政府の第二回GX実行会議で政府・経産省が示した原発政策の大きな変更の内容とその問題点について記しました。

国は福島原発事故に数回改訂されたいずれのエネルギー基本計画においても、原発の新増設・リプレースについてはまったく言及していませんでした。これは福島原発事故がもたらした被害が極めて広範囲に及ぶものであったことを踏まえて、国民の多くが、大事故を起こす潜在的な危険性を常に有している原発はもうこれ以上必要でないと考えていることを政府が重視してきたことによるものです。

しかし、岸田政権はこのような国民の意向を無視して原発政策の大転換に踏み切りました。岸田内閣が原子力政策を大きく転換することにしたことの理由は、先に述べたように、脱炭素化の手段として温暖化ガスを排出しない原発は有効であるとして、欧州など原発回帰の動きがあること、よりウクライナ紛争に端を発した「エネルギー危機」を回避し電力の安定供給を可能にすること、ならびにこのような状況を背景に電力業界・経済界・産業界が原発の推進を強く求めていることであると考えられます。

しかしながら、GX実行会議の直後の8月27日・28日に朝日新聞が行った単純に「原発の新設に賛成か反対か」を問うた調査ではが賛成が34%、反対が53%であったとされています。この調査結果は国民の多くは原発の新増設に関しては依然として反対であることを意味しています。すなわち、原発が脱炭素化の有効な手段であるとしても、あるいはエネルギーの安定供給に役立つものであるとしても、国民の多くは原発に反対なのです。たとえ原発にこのような利点があるとしても、このような利点が存在しているからといって、自然災害、ヒューマンエラー、テロ攻撃などの破壊行為が原因で極めて広範囲に被害が及ぶ大事故が起きる可能性が常に潜在的に存在しているという原発の致命的な欠点が消失するわけではありません。このため国民の多くは原発の新増設に反対なのです。

また、政府は原発の運点期間を延長することを意図していますが、運転期間が長くなればなるほど老朽化の度合いも大きくなり、その分事故が起きる確率も大きくなることは科学的に考えて自明です。すなわち、運転期間の延長は事故が生じる確率を小さくするものではなく、より大きくするものであることは明らかであるため、原発の安全性確保という視点から、賛成するわけにはいきません。今後も、少なくとも現行の40年ルールを維持すべきです。

また、政府は再稼働の審査を終えている原発の再稼動を意図しており、岸田首相はGX実行会議において「国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」としています。当面は東電柏崎刈羽原発と日本原電東海第二原発の再稼動を推し進めるようですが、両原発とも地元合意さえ得られていないと言う状況にあるため、再稼動への具体的方策は存在していません。再稼動させるために強権的な強引な手法を採るならば非常な混乱を招くことになるでしょう。審査を終えている原発の再稼動は、電力会社、周辺自治体とその住民の手に委ねるべきです。このため、再稼動に向けて政府が介入することには市民として強く反対いたします。

人災とも言うべき福島第一原発の事故という未曽有の大災害を起こしてしまった事実を置き去りにして、目先にとらわれて安易に原発政策を変更することは断じて許されません。

2022年11月9日

《脱原発市民ウォーク in 滋賀》呼びかけ人のひとり:池田 進
 大津市木下町17-41 
 TEL:077-522-5415 
 メールアドレス:ssmcatch@nifty.ne.jp

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