21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

<脱原発 市民ウォーク in 滋賀> の 活動報告、お知らせなど を掲載 ♪
ときどき、トピックも ~☆

脱原発 市民ウォーク in 滋賀 9月の予定

2022-08-09 11:24:46 | 記事
◆ 第107回 脱原発 市民ウォーク in 滋賀 ◆

8月1日、大阪第二検察審査会は、関電旧経営陣に対する大阪地検特捜部の
不起訴処分を全て覆し、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」と発表しました
(議決は7月7日付)。

同日、美浜原発3号機では、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが
発覚しました。水漏れがあったのは、1次冷却水ポンプにつながる封水注入
フィルター室付近です。8月10日の美浜3号機再稼働の延期は必至です。

大阪地裁仮処分も間もなく出され、司法の力でも再稼働は止められていきます。
動いている原発を司法の力で止める世界史上2例目となります
(6年前の大津地裁仮処分決定が初)。

老朽原発は廃炉しかない!
老朽原発の再稼働止めて、若狭から、日本から、世界から原発をなくしましょう!

1450万人の近畿の水源=びわ湖と私たちの未来=子どもたちを守りましょう!
参加無料! 予約不要!


<とき・ところ> 
2022年 9月17日(土)13:30  JR・京阪膳所駅前集合  

★コース = ときめき坂 ~ 元西武大津ショッピングセンター前 ~ 関電滋賀支社前~
       ~ びわ湖畔

☆主 催=21世紀 脱原発市民ウォーク in 滋賀 実行委員会
☆呼びかけ人・・・池田進(原発を知る滋賀連絡会 電話077-522-5415)
         岡田 啓子(ふぇみん@滋賀 電話077-524-5743)
         稲村 守(9条ネット・滋賀 電話080-5713-8629)



老朽美浜3号、高浜1,2号機再稼働NO!


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■■ トピックス ■■

<7.24 老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会>


発言は中嶌哲演さん(弁天崎にて)



発言は松下照幸・美浜町議(弁天崎にて)



美浜町役場前をデモ行進



関電原子力事業本部へ抗議の声



関電原子力事業本部へ抗議の声



関電原子力事業本部へ抗議の声



関電原子力事業本部から再度の町内デモに出発(左上が事業本部)



7.30 第10回脱原発市民ウォーク in しが近江八幡2021 (左が西村しずえさん)


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「脱原発 市民ウォーク in 滋賀」 チラシのダウンロードは ⇒ コチラ

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ドイツは なぜ「脱原発」を 実現することができたのか

2022-08-03 11:21:52 | 記事
《 第106回脱原発市民ウォーク in 滋賀のご案内 》

7月に入ってコロナウイルスが再び大流行しており、
落ち着かない日々が続きますが、次回の脱原発市民ウォークを
8月6日(土)におこないます(午後1時半、JR膳所駅前広場)。
どなたでも自由に参加できます。
ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。



■■ ドイツ、脱原発に向けて再生エネルギーに急転換 ■■
■■ 今年中に原発ゼロを達成へ ■■
■■ ドイツはなぜ「脱原発」を実現することができたのか ■■


ドイツは福島第一原発の大事故を受けて、事故後短期間のうちに、2022年末までに脱原発を実現する方針を決定し、この十年間脱原発政策を推進してきました。その結果、今や最終局面を迎えており、今年末までに「原発ゼロ」が実現される見通しとなっています。

ドイツにおける各エネルギー源の割合は、脱原発政策により福島事故以前の2010年から2020年にかけて以下のように変化しています。日本と比較した数値は以下のとおりです。
 


上記の表から分るように、ドイツでは再生可能エネルギーの大幅な導入が脱原発の実現と石炭火力発電の削減に大きく貢献しています(上記の2020年のドイツの数値は日本経済新聞審2021年3月10日付けデジタル版による。2020年のドイツの数値と日本に関する数値は環境エネルギー政策研究所などによる)。

日本の場合、福島原発事故当時の原発への依存度は25%であり、事故当時のドイツにおける原発依存度と大差はなかったのですが、2022年の時点で10基の原発で再稼動が認められているものの稼働率は低く、そのため原発への依存度は2~3%程度に留まっており、その代わりに石化燃料(石炭・石油・天然ガス)への依存度は約85%にも達しています。以下に、参考として2021年に日本政府が決定したエネルギー基本計画における2030年における目標値を示しておきます(第6次エネルギー基本計画2030年再エネ電源構成比率36-38%へ|Flexbee (tepcoventures.co.jp)

再生可能エネルギー  36~38%  火力発電  41%
原子力        20~22%  水素・アンモニア火力発電 1%

これらの数値からドイツはすでに2020年の時点で、再生可能エネルギーに関して日本の2030年における目標値をほぼ達成しており、また温暖化ガスの発生源である火力発電に関しては、日本の2030年における目標値をほぼ達成していることが分ります。

また、メルケル政権当時に制定された再生可能エネルギー推進法(EEG)では、再生可能エネルギーの比率を2035年までに55~60%に引き上げることが目標として明記されており、2050年までに80%に引き上げることが意図されています。
 
一方、日本では福島原発事故以後、民主党政権時代に、2030年代中に原発を最終的にゼロにするという方針が掲げられたことがあったものの(日本経済新聞2012年9月7日デジタル版など)、自民党が政権に復帰してからは、政府は「原発への依存度を最小限にとどめる」としながらも「脱原発」に向けての具体的政策を立案せず、事故後に全原発の稼動が停止されたのを受けて民主党政権下で新たに設置された原子力規制委員会により設けられた原発の安全性に関する新規制基準に合格した原発は稼動させるという方針を貫いてきました。しかし、それに留まらず、最近になって政府はウクライナ紛争による燃料価格の高騰などを理由に、原発の「最大限の利用」という方針を打ち出すに至っています。すなわち、岸田政権の看板政策とされる「新しい資本主義」の柱の一つと位置づけられている「クリーンエネルギー戦略」について、経産省は去る5月13日に中間的な検討結果をとりまとめていますが、そのなかで、再生可能エネルギーとともに原発の「最大限の活用」を明記するに至っています(朝日2022年5月13日デジタル版など)。

福島第一原発の大事故を教訓に原発政策を大転換したドイツ、福島原発事故を起してしまったにもかかわらず、実質的に原発政策を大きく転換することなく、原発をできる限り再稼動させ、原発への依存を続けようとする日本、どうしてこのような大きな違いが生じているのでしょうか。以下に、ドイツが完全な脱原発に至る過程について、その大筋について説明を記し、ドイツと日本の違いについて考えたいと思います。


Ⅰ ドイツにおける脱原発実現の過程

【福島原発事事故後の迅速な政策転換】

福島原発事故以前、ドイツには全部で17基の原発が存在していました。福島原発事故当時のメルケル政権は、事故発生から4日後に「原子力モラトリアム」を発令し、すべての原子炉の安全点検を命じました。その結果、1980年以前から稼動させている7基の原発を直ちに停止させました。その後、これらの7基の原発と事故以前からトラブルで停まっていた1基の原発を廃炉にすることを決定しました。また、メルケル政権は前年の2010年に、電力業界の要請を受け入れて、原子炉の稼動年数を平均12年延長することを決めていましたが、この措置も凍結しました。その後、2011年5月に、残りの9基を2022年12月31日までに順次停止することが決定されました。メルケル首相はかつて理論物理学者であり、原子力擁護派と見なされていたのですが、映像などを通じて福島第一原発事故の惨状を知って、脱原発を決断したとされています。

【メルケル政権以前から脱原発の素地が存在していたドイツ】

以上に記したように2022年の年末までに脱原発を達成するとしたドイツの政策はメルケル政権の決断により可能となったものですが、実はメルケル政権以前から、原発反対を方針に掲げる環境政党「緑の党」が存在しており政界において存在感を示していたことなど、脱原発に向けての様々な素地がすでに存在していました。脱原発に向けての素地にはいくつかの要因が存在していますが、一番大きく重要な要因はやはり1986年に起きたチェルノブイリ原発事故ではないかと考えられます。

・チェルノブイリ原発事故の影響
チェルノブイリ原発事故が起きた当時(1986年)、日本では大半の原発関係者は、「あの事故は型式が大きく異なるソ連の原発において起きたものであり、あのような大事故が日本で起きるはずがない」(注:ソ連の原発は「黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉」であり、原子炉格納容器は設けられていなかったとされています。日本の場合は沸騰水型軽水炉あるいは加圧水型軽水炉であり、いずれも格納容器が備えられています)と、未曽有の大発事故であったにもかかわらず、まるで他人事としてしか受け止めておらず、微量ながらチェルノブイリ原発事故に由来した放射性物質が日本でも検出されていたものの、原発事故の怖さについて真剣に考えようとはしませんでした。また私たち大半の市民における反応もほぼ同様であり、チェルノブイリの事故を深刻には受け止めていませんでした。当時、ドイツでも、原発推進派は「チェルノブイリ原発事故は社会主義国だから起きたものであり、西側では起こり得ない」などと主張していました。しかし、欧州一円に放射性物質が拡散し、ドイツでも南部で土壌や野菜、家畜などが放射性物質と汚染されたため、ドイツ人の原発にたいする不信感は一挙に強まりました。

・「緑の党」の存在
メルケル政権が脱原発に向けて迅速に方向転換することの素地となったもう一つの大きな要因は環境政党「緑の党」の存在であろうと考えられます。

日本での反原発運動は1960年代から始まっていますが(たとえば、早くも1964年に三重県南島町(現・南伊勢町)に中部電力の芦浜原発計画に反対する運動が開始されています)、一方、ドイツでは以前から原発に批判的な市民が少なくなく、このため1979年「緑の党」が結成され、今では環境政党として政界で大きな影響力を持つに至っています。緑の党は当然ながら議会で原発問題に積極的に取り組み、チェルノブイリ原発事故を背景に支持率を高め、1998年には社会民主党(SPD)と連立政権を樹立するに至っています。

【すでに、福島原発事故以前の2002年に「脱原発法」を施行していた連立政権】

1998年にシュレーダー首相率いるSPDと緑の党による連立政権が成立し、脱原子力政策を打ち出しました。同政権は2000年に原子力発電所を段階的に閉鎖することで電力会社と合意したのに続き、2002年には原子力法を改正し、原発の稼動年数を最長で32年間とすることを決定しました(4. 原子力開発動向 - ドイツの電気事業 | 電気事業連合会 (fepc.or.jp)

【メルケル政権による脱原発路線の転換:2010年に原発稼働年数を平均12年間延長】

その後、2005年10月の総選挙によりメルケルが属するキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)、社会民主党(SPD)による連立政権でメルケルは首相の座につきましたが、次いで2009年9月の総選挙で勝利し,SPDとの連立を解消,自由民主党(FDP)と連立して第2期政権を発足させました。しかし、この時期に地球温暖化問題が浮上しつつあり、ドイツ政府にとって温暖化ガス削減が重要な目標となったため、メルケル政権は2010年10月に、電力業界や産業界の意向を受けて原子炉の稼動年数を平均12年延長しました。

以上の経過から分りますように、偶然ではあるものの、ドイツでは、福島原発事故が起きた2011年3月の時点では、脱原発実現の時期は定かではなかったものの、ドイツが脱原発に向かうことについては基本的な合意ができていたということができます

以上に述べたように2011年の福島原発事故以前にドイツでは脱原発に向かういくつもの素地が存在していたのは確かです。しかし、ドイツが明確に脱原発に向けて舵を切ることになったのは、やはり福島原発事故後の首相メルケルの決断によるものであると言えるでしょう。
メルケルは「原子力発電所を安全に運転させることができるかどうかについて、首相として責任が持てない」として、議会において脱原発の決意を表明しました。以下にその内容を紹介しておきます。


Ⅱ 脱原発への向けての明確で迅速な方針転換:メルケルの連邦議会での演説

メルケルは福島原発事故を受けての方針について、事故から二カ月後の2011年6月9日に連邦議会で演説し、以下のように自らの考えを明確に示しています。

「(前略)福島事故は、全世界にとって強烈な一撃でした。この事故は私個人にとっても、強い衝撃を与えました。大災害に襲われた福島第一原発で、人々が事態がさらに悪化するのを防ぐために、海水を注入して原子炉を冷却しようとしていると聞いて、私は“日本ほど技術水準が高い国も、原子力のリスクを安全に制御することはできない”ということを理解しました。
新しい知見を得たら、必要な対応を行なうために新しい評価を行なわなくてはなりません。私は、次のようなリスク評価を新たに行ないました。原子力の残余のリスク(筆者注・一定の被害想定に基づいて、様々な安全措置、防護措置を講じても、完全になくすことができないリスク)は、人間に推定できる限り絶対に起こらないと確信を持てる場合のみ、受け入れることができます。
しかしその残余リスクが実際に原子炉事故につながった場合、被害は空間的・時間的に甚大かつ広範囲に及び、他の全てのエネルギー源のリスクを大幅に上回ります。私は福島事故の前には、原子力の残余のリスクを受け入れていました。高い安全水準を持ったハイテク国家では、残余のリスクが現実の事故につながることはないと確信していたからです。しかし、今やその事故が現実に起こってしまいました。
確かに、日本で起きたような大地震や巨大津波は、ドイツでは絶対に起こらないでしょう。しかしそのことは、問題の核心ではありません。福島事故が我々に突きつけている最も重要な問題は、リスクの想定と、事故の確率分析をどの程度信頼できるのかという点です。なぜならば、これらの分析は、我々政治家がドイツにとってどのエネルギー源が安全で、価格が高すぎず、環境に対する悪影響が少ないかを判断するための基礎となるからです。
私があえて強調したいことがあります。私は去年秋に発表した長期エネルギー戦略の中で、原子炉の稼動年数を延長させました。しかし私は今日、この連邦議会の議場ではっきりと申し上げます。福島事故は原子力についての私の態度を変えたのです。(後略)」(以上はドイツ在住のジャーナリト熊谷徹氏のレポートからの引用による:脱原子力を選択したドイツの現状と課題 (politas.jp)


Ⅲ 脱原発政策の遂行にともなう問題点

【再生可能エネルギーへの助成金制度に由来する電気料金の高騰】

以上に記したように、ドイツは福島第一原発の大事故を機会に完全な脱原発を目標に政策を実行してきたのですが、政策遂行の途上でいくつか問題が生じています。

そのひとつは原発の代わりとする再生可能エネルギーが拡大するにつれ、電力料金が上昇していることです。ドイツでは電力料金の中に、再生可能エネルギー拡大のための賦課金、電力税などの税金が含まれています。(注:日本の場合と異なりドイツでは送電事業者は需要の有無にかかわらず再生可能エネルギーにより発電された電力を買い取って送電網に送り込むことが義務づけられており、買い取りのための資金は、消費者が毎月の電力料金に上乗せられた賦課金として負担することになっています)。ところが、この賦課金と税が電力料金に中に占める割合は、1998年には24.5%だったのですか、再生可能エネルギーの拡大が進むにつれ年々増え続けており、たとえば早くも2010年にはすでに50.2%にも達していました。つまり電気料金の半分は国の環境・エネルギー政策に基づく賦課金や税金ということなります
このため、ドイツの標準世帯(年間消費電力量3500キロワット時)における電気料金の平均月額は2000年には40.66ユーロ(1ユーロ140換算で約5700円)でしたが2013年には83.80ユーロ(約1万2000円)と約2倍に達しています。

電気代の値上がりは特に低所得者にとっては大きな負担となります。可処分所得における電気料金の占める割合が5%以上である世帯を「電力の為に貧困に拍車がかかっている世帯」と定義する専門家もいますが、特にしわ寄せを受けるのは失業していたり、就職していても賃金が低すぎるために国による援助金の支給を受けて生活している市民です。2021年に電気代滞納のために一時的に電気を停められた世帯は約32万世帯に達しているとされています。

一方、電力の大口消費者である産業界からも再生エネルギー拡大のための助成金に対する様々な批判が存在しています。たとえばドイツにおける大口消費者向けの電気料金はEU28カ国中で5番目に高いとされており、このため産業界は再生可能エネルギーの助成金の伸びに歯止めをかけるよう政府に要求しています。

しかし、助成金についてはいろいろな議論があるものの、脱原発は今や既定の路線であり、このため産業界からも消費者団体からも、また政党や経済の専門家からも、「電気料金を引き下げるために原発を再稼動させるべき」とする意見は皆無であるとされています。助成金については上記のように問題視されているものの、再生可能エネルギーの発電コストは発電技術の進歩により年々低下しているため、将来的には電気料金がこれまでのような勢いで高くなっていくことはないのではないかとも考えられます。
(以上ドイツの電気料金に関する事情は主に前記のジャーナリスト熊谷徹氏のレポートによる:脱原子力を選択したドイツの現状と課題 (politas.jp)。

【ドイツにおける電力の輸出入と脱原発政策の関係】

日本では「ドイツが脱原発政策を採ることができるのは、たとえ電力不足に陥っても外国から電力を輸入できるからではないのか。日本では、外国から電離力を輸入することは不可能だからドイツのように脱原発政策を採ることはできない」という意見が聞かれたり、「ドイツは脱原発と言いながら実際にはフランスなどから原発による電気を輸入しており矛盾しているではないか」と評されたりすることがありますが、実態はどうなのでしょうか。果たしてドイツにおける電力供給は実際に外国からの輸入電力に依存しているのでしょうか。

ドイツは1998年に電力市場の完全自由化を実施しています。またEUは域内の電力市場を統合することを進めているためドイツの電力網は周辺国と結ばれています。このため、ドイツでは2003年以降、電力の輸出超過が続いています。福島第一原発の事故が起き、メルケル首相が脱原発の方針を明確にした2011年は、原発の約半数が停止されたために供給力が低下し輸入が一時的に増加しましたが、その後は再生可能エネルギーによる発電量が急激に増加しており、一方において、石炭火力発電が電力市場において強い競争力を維持しています。そのため輸出量は年を追って拡大しており、輸出量が輸入量を上回る状態が続いています。すなわち2017年には輸出から輸入を差し引いた純輸出量は53TWh(テラワット時:テラ=1兆)に達しています。このようにドイツは原発停止による発電量の減少分を、輸入電力に依存することなく、再生可能エネルギーなどで十分にカバーしており、そのうえでなお輸出を拡大させています。ただし、今後は脱炭素化のために石炭火力による発電量を減らしていく計画であるため、場合によっては電力の需給関係に変化が生じる可能性も考えられます。
(以上はドイツにおける電力輸出入の動向‐ドレスデン情報ファイル (de-info.net)による)

ドイツがフランスなどから原発による電力が含まれている電力を輸入していることは事実です。しかし、外国産の原発による電力を輸入しないようにすることは電力の統一市場においては事実上不可能です。けれども、輸入電力に含まれている原発由来の電力がドイツの全電力消費量(ここ数年は約6000億KWh前後》に占める割合はとるに足らないものであろうと考えられます。したがって、輸入電力に原発由来の電力が含まれていることがドイツの脱原発の意義を失わしめることはないものと考えられます。


《おわりに:日本は脱原発に向かうことができるか?》

以上、ドイツがどのようにして福島原発事故から11年後に、脱原発を達成することができるに至ったのか、簡単にその経過について記しました。ドイツの政策にまったく問題がないわけでありません。天然ガスを含めた火力発電の割合が2020年現在でもまだ40%近くを占めているため、今後脱炭素化を進めるにあたっては石化燃料による火力発電の割合を低下させていく必要があります。そのために、今後も再生可能エネルギーの割合を更に高めていくとされていますが、その道は必ずしも容易ではないのではないかと考えられるからです。しかし実現時期は定かではありませんが、おそらくドイツは世界の先頭を切っていずれ石化燃料の利用をゼロにすることに成功するのではないでしょうか。

これまでに述べたように、ドイツが脱原発を成功にこぎつけたことの背景にはいろいろな要因が存在しているのですが、成功に導くための政策はきわめてシンプルなものであったと言えます。すなわち、とにかくさまざまな問題点が存在していようとも、徹底して再生可能エネルギーの拡大を優先すること、この方針が脱原発を成功に導いたと考えられます。日本でも、福島原発事故以後、国のエネルギー基本計画において再生可能エネルギーの「大幅な導入」あるいは「最大限の利用」が一応政策として掲げられてはいますが、その内容は中途半端で具体性に欠けるものであり、その目標値はドイツにおける実績や目標とくらべると著しく劣っています。冒頭にドイツと日本における各電源の比率を比較した数値を示しましたが、日本の2030年における再生可能エネルギーの割合の目標値は2020年にドイツですでに達成されている数値と同じレベルのものに過ぎません(2020年のドイツの実績値は45%であるのに対して2030年における日本の目標値は36~38%)。これらの数値から分るように、再生可能エネルギーの利用に関して日本はドイツに大きく立ち遅れています。脱原発を目標とするならば再生可能エネルギーの大幅な導入以外に方法がないことはドイツの例からも極めて明らかなのですが、政府は原発の再稼働による活用には積極的であっても、再生可能エネルギーの大幅な導入に関しては明らかに具体性と積極的姿勢に欠けていると言わざるを得ません。

ドイツの場合、緯度が日本よりも高い位置に国土があるため、日照時間が日本よりも短く、このため太陽光発電は将来的に限界があるとされています。一方、日本の場合も、国土が狭く平地が少ないためにすでに太陽子発電用の土地が不足したり環境問題を引き起こしているなどの問題が生じているため、将来的に有力なのはやはり風力発電であろうと考えられます。ドイツでは、風力発電は北部の海に面した地域と海岸線に近い洋上において行われています。日本の場合、国土は狭いのですが、日本列島の海岸線の長さはドイツを大きく上回っているため、海岸線近くの陸上と海上に風力発電に適した場所が豊富に存在しています。このため、風力発電の技術開発で欧米に立ち遅れているという面があるにしても、将来的にドイツ並みに大幅に風力発電を導入することは可能であると考えられます。

脱原発に至る道が実際にドイツにより示されたのですから、未曽有の悲惨な事故、福島第一原発の事故を引き起こしてしまった日本は、今こそドイツを見習って、脱原発に向けて再生可能エネルギーである風力発電のこれまでにない大幅な導入に踏み切るべきです。

しかし、政府や政権与党には、原発再稼働の推進や、より安全性が高いと喧伝されている小型原子炉、いわゆる「小型モジュール炉」導入の動きなどはみられても、風力発電の大幅な導入を推進するための目立った動きは認められません。それだけでなく、国会議員を対象とした最近の調査では、原発を廃止すべきとする意見が減少しつつある一方で、「将来も原発を電力源とした保持すべき」とする意見が増えています。たとえば、さる7月1日に投開票された先の参院選の直後に行われた調査(東大・朝日の共同調査)による結果は以下のようなものです(調査対象者は参院選の当選者と非改選議員の計248人、回答者は計200人)
     
 原発をすぐに廃止すべき  将来も原発を保持すべき どちらとも言えない
2019年調査    34%           30%         36%
2022年調査    26%           45%         29%
(以上は朝日新聞2022年7月13日の記事による)

福島原発事故から10年半を経たいま、参議院議員の半数近くが原発を容認するに至っているのです。おそらくこのような傾向は衆議院議員においても同様ではないかと推測されます。このままでは日本がドイツを見習って脱原発への道を歩むことはほとんど期待できず、日本が脱原発へと向かう道は極めて厳しいと言わざるを得ません。しかしあきらめるわけにはいきません。これからも粘り強く、脱原発の実現にむけて、市民の力を発揮することに努めるしか道はありません。

2022年8月1日

《脱原発市民ウォーク in 滋賀》呼びかけ人のひとり:池田 進
 大津市木下町17-41 
 TEL:077-522-5415 
 メールアドレス:ssmcatch@nifty.ne.jp

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