21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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関電マネー・スキャンダル

2019-10-15 16:42:10 | 記事
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◆◆電力業界の体質が露呈した関電マネー・スキャンダル◆◆
  ◆腐敗の根源は巨額の原発マネー◆


みなさんもご存知のように、関西電力の役員らが原発が立地されている福井県高浜町の元助役から計3億2千万円もの金品を受け取っていたことが明らかになりました。新聞などの報道によれば、これは関電の工事を受注することに成功し利益を得た企業から元助役へ裏金が渡され、その一部が関電の役員らにキックバックされたものであるとされています。その経緯の正確な詳細はまだ不明ですが、おそらく関電が元助役の要求に従い、元助役の息がかかっている建設会社へ工事を発注したことが、このスキャンダルの直接の原因であると考えられ、裏金捻出のために工事費が通常よりも高値だったのではないかとも推測されます。
 
なぜこのような誰が考えても非常識な闇取引とも言えることが行われたのでしょうか。それは関電が何が何でも原発事業を推進し利益が上げようとしていたからです。関電をはじめとした大手電力会社が福島原発事故の後も原発を推進しようとすることの背景には政府による強力な原発推進政策が存在しています。1970年代以降、国は原発を推進するために様々な施策を講じてきました。このため巨額の「原発マネー」が動くことになり、この巨額のマネーが電力業界や受け入れ自治体などに腐敗をもたらしているのです。このたびの関電マネー・スキャンダルはその一端が露呈したに過ぎません。
 
国による原発推進の主な施策の一つは、原発が立地されている自治体に交付される電源三法(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法)に基づく交付金です。この交付金は原発が立地される自治体や地元による反対を抑え原発を受け入させるためのものであり、この交付金がなければ原発を受け入れる自治体はないと言っても過言ではないでしょう。つまり、電源三法交付金は日本の原子力開発を支えるために欠かすことができない法的な仕組みなのです。

たとえば「原発のコスト」(岩波新書、2011年11月、大島堅一)によれば、資源エネルギー庁が公表している資料に基づいて計算すると、たとえば135万kwの原発の場合、「原発1基あたり、建設期間を10年とした場合、運転開始までに449億円が自治体に交付され、運転開始以降は地元自治体に主に固定資産税を中心とした収入がもたらされる。運転開始後も年間20億円程度の交付金が出され、運転開始後30年を超え、原発が老朽化すると新たに原子力発電設立地地域共生交付金が追加され、30~34年目は30億円程度が自治体に入る。これらをすべて合計すると、原発1基あたり1240億円が45年間のあいだに交付される」とされています。

原発(原子炉)はその建設時期や運転期間、発電容量が様々であるため各原発についての交付金の額も様々であると考えられますが、仮に原発1基あたり平均1000億円程度が交付されているとするならば、これまでに建設された50数基の原発について出された交付金は合計5兆億円余に達しているのではないかと推測されます。原発が立地されている自治体の多くは、このように巨額の交付金で「原発マネー漬け」にされているため、今では交付金なしでは予算を組むことができない状態に陥っており、原発をやめたくても止められない状態に置かれています。一方、これらの交付金の財源は電源開発促進税ですが、この税の納税義務者は大手電力会社であり、最終的には電気料金に転嫁されます。このため実質的には国民が電源三法による交付金を負担していることになります。
 
原発推進を容易にしている国のもう一つの施策は電気事業法により定められている「総括原価方式」と称される電力料金の決定方式です。この方式は発電・送電・電力販売費、人件費などの発電事業を営むために要するすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬(利潤)を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決定するというものです。この方式により電力料金を決定することが法的に認められているため、電力会社はどのような経営を行っていても、すべての費用をコストとして計上することができます。たとえば地元対策のためにいくら多額の資金を投入しようとも、またこのたびの関電マネー・スキャンダルに見られるように地元対策のために不公正で不要な費用を支出しても、経費として計上しさえすれば自社の利益に悪影響が及ぶことはありません。このため電力会社は常に安泰なのです。どのような経営をしていても利潤が保障される、このことが関電に限らず電力業界全体に腐敗をもたらしているのです。
 
たとえば電力会社は地元対策としてしばしば地元に億円単位の多額の寄付を行っています。関電の場合は、2010年までに福井県と原発がある県内の4市町に匿名で少なくとも150億円(1970年以降高浜町に45億円)を寄付しています(2013.8.21朝日など)。また中部電力など原発関連の6社・団体は福島原発事故後、原発や核関連施設が存在する6自治体に対し、計31億余を寄付しており(2012.8.20朝日)、中国電力も未着工の上関原発計画に関して2007年以降36億円を寄付しています。一方、東北電力は原発が休止している村に数億円を寄付しており、福島原発事故を起こした東電も建設中の青森県東通原発に関して地元に4億円の寄付を行うことを計画しています。

また電力大手は寄付行為以外にも様々な不明朗あるいは不公正な行為を行っています。たとえば九電は2011年、住民が原発再稼動に賛成しているように見せかけるため、社員にテレビ番組に賛成意見を送らせる「やらせメール問題」を引き起こしています。また、玖珠原発計画(石川県玖珠市)は、途中で計画は中止されたものの、用地買収にあたって暴力団が介入していたとされています。様々な巨額の原発マネーが動くためにこれまで原発推進を巡ってこのように様々な不祥事が生じおり、不正行為が行われてきました。
 
関電の社長が最近代表を辞任した電気事業連合会は、その「行動指針」において「我々は、社会の一員として事業活動の原点は社会との信頼関係にあることを自覚し、法令順守はもとより公正で透明性のある事業を着実に展開する・・・」、「本指針に反するような事態が発生したときは・・・権限と責任を明確にした上、自らの処分を含めて厳正な処分を行う」としています。関電の経営陣が即刻退陣すべきことは電事連の行動指針からも自明です。

原発の安全性がほんとうに確立されているならば、これまでに述べたような巨額の「原発マネー」が必要になることは考えられません。したがって、上記のように原発推進を意図して国により電力業界と地元を手厚く「おんぶにだっこ」する体制が敷かれていることは、国も電力会社も立地自治体も、原発が潜在的に非常な危険性を有していることを認めていることの何よりの証拠であると言えます。このような「原発マネー」体制が存在する限り今後も電力業界による不祥事・不正行為が跡を絶たないことは明らかです。

2019年10月13日 

《脱原発市民ウォーク・イン・滋賀》
 呼びかけ人のひとり:池田 進
 連絡先:〒520-0812
  大津市木下町17-41 
  電話/FAX:077-522-5415

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